今月の本の話題

2014.04.07

鮎川賞作家・北森鴻最後の作品、『うさぎ幻化行』待望の文庫化【2014年4月】

うさぎ幻化行
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 飛行機事故で亡くなった、義兄が遺した「うさぎへ」と題した遺書と、不思議な音声メッセージの謎を、妹のリツ子が探る旅。当時の環境庁が選定した「残したい日本の音風景100選」(http://www-gis2.nies.go.jp/oto/)をテーマに、義兄の死の謎を追う主人公の姿を旅情豊かに描いています。作中に登場する音風景を思い描きながら、あるいは実際に聞きながらですと、『うさぎ幻化行』をより堪能できるかと思います。

 2010年1月25日、月曜日の朝、まさにこの原稿の到着とほぼ同時の悲報だったと記憶しています。その前の週末、「原稿送ったよ」という声をお電話でお聞きしたのが最後でした。詳しくは本書の西上心太さんの解説にありますように、『うさぎ幻化行』は北森鴻さんが最終稿まで手を入れた最後の作品となります。『花の下にて春死なむ』などの〈香菜里屋シリーズ〉、『狐罠』などの〈冬狐堂シリーズ〉、『凶笑面』などの〈蓮丈那智シリーズ〉等々、人気シリーズ同様に本作も長く読み継がれていっていただければ幸いです。

(2014年4月7日)




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