今月の本の話題

2014.04.07

5月下旬刊行予定の創元海外SF叢書第2弾 キジ・ジョンスン『霧に橋を架ける』(三角和代訳)[2014年4月]

霧に橋を架ける
書籍の詳細を見る

 二つの月が浮かぶ世界に流れる、危険な“霧”の大河。帝国を東西に分断するこの河に初めての橋を架けるべく、一人の建築家が派遣される――難事業に挑む人々の苦闘と絆を描き、2012年ヒューゴー賞・ネビュラ賞ノヴェラ(中長編)部門を受賞した表題作を始め、世界幻想文学大賞受賞作「26モンキーズ、あるいは時の裂け目」、邦訳される前からファンの間で話題となった衝撃作「スパー」など、傑作11編を厳選収録。

 イアン・マクドナルド『旋舞の千年都市』上下巻(3月刊行)につづく《創元海外SF叢書》第2弾となるキジ・ジョンスン『霧に橋を架ける』は、近年各賞の常連として脚光を浴びる中短編の名手による、日本オリジナル&著者初となる邦訳短編集です。
 著者キジ・ジョンスンは、不思議に満ちた世界で出会い、触れ合い、時に離れることもある人々の姿を、ときに冷たく、ときに優しく、精妙な筆致で描きます。解説の橋本輝幸氏が「ハーラン・エリスンやアーシュラ・K・ル・グィンに通じる」と評するように、その切れ味は見事なものです。あるいは、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアやケリー・リンク、ミランダ・ジュライの作品などを連想される方もおられるのではないでしょうか。

 なお、本書のカバーイラストは、緒賀岳志氏の(今回が書籍初仕事となる)描きおろしです。PS Vita用ゲーム「GRAVITY DAZE」(2012)など、主にゲームの分野でコンセプト・アーティストとして活躍されている緒賀氏と、装幀の岩郷重力氏(WONDER WORKZ。)のコラボレーションによるブックデザインも、刊行の暁にはぜひ書店で手にとってご確認いただければと思います。本書のカバーは実は、ソデ(カバーの折り返したところ)までイラストが続いているのです。

収録作一覧(*は本邦初訳)
「26モンキーズ、そして時の裂け目」"26 Monkeys, Also the Abyss", 2008
「スパー」"Spar", 2009
「水の名前」"Names for Water" 2010*
「噛みつき猫」"The Bity Cat", 2012*
「シュレディンガーの娼館(キャットハウス)」"Schrödinger's Cathouse", 1993*
「陳亭、死者の国」"Chenting, in the Land of the Dead", 1999*
「蜜蜂の川の流れる先で」"At the Mouth of the River of Bees", 2003*
「ストーリー・キット」"Story Kit", 2011*
「ポニー」"Ponies", 2010*
「霧に橋を架ける」"The Man Who Bridged the Mist", 2011
「《変化》後のノース・パークで犬たちが進化させるトリックスターの物語」"The Evolution of Trickster Stories Among the Dogs of North Park After the Change", 2007

(2014年4月7日)




【2009年3月以前の「本の話題」はこちらからご覧ください】

本格ミステリの専門出版社|東京創元社
バックナンバー