今月の本の話題

2014.02.05

愛憎と友情の果てに、少女たちが辿り着いた驚愕の結末とは? 友桐夏『春待ちの姫君たち』[2014年2月]


夏を殺す少女
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皆さんには、学生時代に一番大切な親友はいましたか?

互いにそっくりな外見で、どこに行くのも一緒。友情の証しとして、相手に唯一無二のプレゼントを贈る。
もし、そこまで親密な相手との友情にヒビが入ったら?
それがきっかけで、クラスから孤立してしまったら?

「あたしの名前を、赤音だけに呼ばせてあげる――」

中学二年生の春、友人・春来(しゅんらい)から「唯一、彼女の名前を呼べる権利」を赤音がプレゼントされたシーンから、物語は始まります。そんな無邪気な、けれど特別な権利によって二人は友情を深めますが、その幸せは長く続きませんでした。
閉じた二人の関係に興味を持った、学校の中心的存在・舞によって、仲を引き裂かれてしまったのです。以降、赤音はクラスから孤立し、ひとりぼっちの日々を送るように見えました。ところが、そんな彼女には実は秘密がありました。 
それに気づいた舞は、赤音に対して文化祭である計画を実行しますが……。

本作は、2005年にコバルト文庫より刊行された同題の作品を大幅改稿したものです。小社刊行の『星を撃ち落とす』でも見られる、一筋縄ではいかない少女たちの策略を華やかかつ巧妙に描く著者の、ミステリとしての原点でもあります。
少女たちの緊張感のある日常生活が描かれていく中で、物語は二転三転し、怒濤のクライマックスを迎えます。

互いに傷つけ合いながら想いを募らせる彼女たちは、どんな決着を迎えるのか?

温かな春を待ちながら、凍てつく寒い日々が続く冬の読書にぴったりの一冊です。研ぎ澄まされた筆致で描かれる、繊細な少女たちをめぐる傑作ミステリをどうぞお楽しみください。


(2014年2月5日)




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