今月の本の話題

2013.12.05

静かな感動に満ちた、青春ミステリの新たなる傑作『ゴースト≠ノイズ(リダクション)』十市社[2013年12月]


教室で孤立する高校一年生の一居士架(いちこじ・かける)は、ある日前の席に座る同級生・玖波高町(くば・たかまち)から唐突に話しかけられた。その後、架は彼女の誘いにより、ともに文化祭の研究発表のための調べ物をすることになる。学校だけでなく、家にも――どこにも居場所のなかった架は、高町と過ごす放課後の図書室での時間に安らぎを見いだすが、相変わらず彼女の真意をつかみかねていた。 時を同じくして、二人の通う高校周辺では異様な動物虐待死が続く。なぜか高町が気に掛けるその事件の連鎖は、穏やかな日々を徐々に浸食してゆく――



『ゴースト≠ノイズ(リダクション)』は、もともと個人出版の電子書籍として、amazonが提供する「Kindleダイレクト・パブリッシング(KDP)」というサービスを利用して発表されました。
それがなぜ紙の書籍として、東京創元社より刊行されることになったかというと、本書担当編集者が電子書籍端末「Kindle」を使ううちに、偶然KDPという出版システムを知り、不思議なタイトルに惹かれて、原点となるオリジナル版の『ゴースト≠ノイズ(リダクション)』を購入したのがきっかけでした。

夢中になって600枚近いこの長編を読んだ後、できるだけ多くのひとに――電子書籍端末を持っていないひとにも是非読んでいただきたい、とりわけミステリを愛する方に手にとってほしい、と思いました。
個人出版の電子書籍から、商業作品としての紙の本へ。社としても初めての試みで、電子と紙という媒体の遠さから、本当に書籍化が可能か、実現までの道程が遠く感じられることもありました。

しかしどうしても、一人でも多くのひとに、自分が読了時に感じた感動を味わって欲しいという気持ちがありました。幸い作者の十市社さんからもご快諾いただけ、〈ミステリ・フロンティア〉より2014年1月末に刊行が決定となりました。
紙の書籍へと移行するにあたって、オリジナルの電子書籍版より、細部にわたり加筆と訂正が施されました。
一読忘れがたい、学園ミステリの傑作です。
(2013年12月5日)




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