今月の本の話題

2013.04.05

小説が政治を動かした。刑事事件弁護士が放つ、緊迫感に満ち満ちた圧巻の法廷劇! フェルディナント・フォン・シーラッハ『コリー二事件』[2013年4月]

本屋大賞「翻訳小説部門」1位『犯罪』の
著者が放つ、世論を揺るがした圧巻の法廷劇。

コリーニ事件
書籍の詳細を見る
 フェルディナント・フォン・シーラッハはドイツ出身の作家、弁護士です。ナチ党全国青少年最高指導者バルドゥール・フォン・シーラッハの孫として生まれ、1994年からベルリンで刑事事件弁護士として活躍しています。そして2009年、処女作である『犯罪』がドイツで大ベストセラーとなり、クライスト賞など多数の文学賞を受賞しました。2010年には第二作『罪悪』を、2011年には初長篇となる本書『コリーニ事件』を刊行しました。

 『犯罪』は日本でも2012年の本屋大賞〈翻訳小説部門〉第一位に輝くなど好評価を受けました。今月発売の『コリー二事件』は、ドイツの読書界だけでなく世論まで揺るがした、『犯罪』『罪悪』以上の衝撃作です!

* * *

新米弁護士のライネンは大金持ちの実業家を殺した男の国選弁護人を買ってでた。だが、被疑者はどうしても動機を話そうとしない。さらにライネンは被害者が少年時代の親友の祖父だと知る。──公職と私情の狭間で苦悩するライネンと、被害者遺族の依頼で裁判に臨む辣腕弁護士が法廷で繰り広げる緊迫の攻防戦。犯人を凶行に駆り立てた秘めた想い。そして、ドイツで本当にあった驚くべき“法律の落とし穴”とは。刑事事件弁護士が研ぎ澄まされた筆で描く圧巻の法廷劇。
 

 『犯罪』『罪悪』は弁護士の著者が現実の事件に材を得て、異様な罪を犯した人間たちの哀しさ、愛おしさを鮮やかに描く連作短篇集でした。一方、満を持して発表された本書はうってかわった本格的な法廷小説で、ドイツで発行部数35万部を超える爆発的なセンセーションを巻き起こしました。そして、作中で語られた驚愕すべき“法律の落とし穴”がきっかけとなり、ドイツ連邦法務省は省内に調査委員会を立ち上げました。まさに小説が政治を動かしたといえます。

 長篇でもシーラッハの文章の切れ味は変わらず、短い小説のなかにさまざまな登場人物たちの心情、葛藤、人生までもが凝縮されています。新米弁護士ライネンと、被害者側の公訴代理人として裁判に参加するベテラン弁護士が法廷で繰り広げる丁々発止のやりとりも、圧巻のひと言です。現役刑事弁護士だからこそ書ける非常にリアルな名場面をお楽しみください。

 『コリー二事件』は4月11日ごろ発売です。ぜひお手にとってみてください!

(2013年4月5日)





【2009年3月以前の「本の話題」はこちらからご覧ください】

ミステリ・SF・ホラー・ファンタジーの専門出版社|東京創元社
バックナンバー