今月の本の話題

2013.01.08

ヴィクトリア朝ロンドンを舞台に元警官モンクと看護婦ヘスターの活躍を描く傑作ミステリ! アン・ペリー『護りと裏切り』[2013年1月]

護りと裏切り(下)
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護りと裏切り(上)
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 このところ、BBCのテレビドラマ「SHERLOCK」や、ガイ・リッチー監督の映画「シャーロック・ホームズ」も続編も含めて大ヒットするなど、ホームズ・ブームが続いています。そんなホームズと同じ時代、ヴィクトリア朝ロンドンを舞台にした傑作ミステリをお届けします!

* * *

看護婦のヘスターは、友人のイーディスの兄であるカーライアン将軍が置物の甲冑の鉾槍(ほこやり)に胸を突かれて死亡したと知らされる。当初は事故だと思っていたが、妻のアレクサンドラが夫殺しで逮捕される。義姉の犯行を信じられないイーディスに相談されたヘスターは、弁護士のラスボーン、元警官のモンクとともに真相を探るが……。


 本書『護りと裏切り』の著者、アン・ペリーは1938年英国生まれ。歴史ミステリ分野のメジャー作家で、2009年にアガサ賞の生涯功労賞を受賞しています。ヴィクトリア朝を舞台にしたふたつのシリーズを執筆しており、英米で発行部数300万部を超えるベストセラーとなっています。元警官のモンクが活躍する本シリーズは現在18作を数え、絶大な人気を得ています。またこの作品は、アメリカン・ミステリ賞最優秀伝統ミステリ賞受賞作を受賞しており、非常に高い評価を受けています。

 本書の読みどころのひとつは、ヴィクトリア朝時代のロンドンの生活がいきいきと描写されていることです。事件は英国上流階級の邸で晩餐会がひらかれた日に起こっています。そこでの出来事、つまりひとびとの普段の営みのなかに、殺人事件の謎を解く手がかりが隠されているのです。ぜひとも、執事やメイドなども含めた登場人物たちが語る、さりげない人物評に注目して読み進めてみてください。

 本書の探偵役となるのが、元警官で現在は私立探偵をしているウィリアム・モンクと、看護婦のヘスターです。モンクはかつて市警の敏腕警部だったのですが、ある事故がきっかけで記憶を失っています。自分が何者か、どういう人間なのかを探りつつ、事件も追っていきます。看護婦のヘスターは、かつてクリミア戦争でナイチンゲールの看護団に所属していた独立心あふれる女性で、友人のイーディスに頼まれて事件の調査に乗り出します。ふたりの軽妙なやりとりも楽しいです!

 そして、彼らがふたりがたどりついた、事件に隠された戦慄の動機とは……。すべての真相はロンドンの中央刑事裁判所(オールド・ベイリー)で明らかになります。緊迫の法廷で暴かれる、ロンドンを震撼させる真実とは? ぜひお手にとっていただけますと幸いです。

 『護りと裏切り』は1月29日ごろ発売です。どうぞよろしくお願いいたします!

(2013年1月8日)




【2009年3月以前の「本の話題」はこちらからご覧ください】

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