今月の本の話題

2012.11.05

近未来を舞台にした、著者入魂の学園ミステリ! 石持浅海『フライ・バイ・ワイヤ』[2012年11月]

フライ・バイ・ワイヤ
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 飛行機を操縦する際、昔は昇降舵やフラップを、操縦桿から物理的な力で動かしていた。しかし半世紀ほど前から、すべて電気信号でコントロールするようになった。電気信号を伝えるワイヤによって飛ぶ。それがフライ・バイ・ワイヤだ。今のロボット技術につながる技術が、航空分野で実用化された、記念すべき言葉だった。

(本文より)

 宮野隆也のクラスに転入してきた、一ノ瀬梨香と名乗る二足歩行のロボット。これは病気のために学校に来られない子どもを遠隔操作で動くロボットを通じて登校させる実験だという。ロボットの研究では世界的に名を知られているさいたま工科大学の付属高校に通い、技術者を志す彼らは動揺しながらもこの実験を受け入れ、次第に彼女と普通のクラスメイトのように接していく。
けれど小さな疑念がクラスに不協和音をもたらし、悲劇は起こった。ある日の放課後、一ノ瀬梨香の背中は血で真っ赤に染まり、クラスメイトのひとりが血溜まりの中に倒れていた……。

* * *

 教科書はすべてタブレットになり、ディスプレイを搭載した生徒手帳にはGPSが組み込まれ、お小遣いはそこに入金するような、近未来の進学校が舞台となっています。『BG、あるいは死せるカイニス』『温かな手』など不思議な設定下での謎解きを得意とする石持ミステリの、まさに真骨頂と言うべきこの作品。
 未完成な心をもつ高校生それぞれが「大切なものを護りたい」と願った結果、起こった悲劇と、彼らが迎える結末とは――。
 どうぞお楽しみに発売をお待ち下さい。

(2012年11月5日)




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