今月の本の話題

2012.09.05

《翻訳者》もイチオシの翻訳ミステリで世界一周! 特設ページ「翻訳ミステリ13の扉」連動企画・訳者コメント第一弾を掲載しました[2012年9月]

 ただいま「翻訳ミステリ13の扉」を公開しております。これは、2012年6月~9月刊行の作品のなかから、翻訳ミステリ編集者が自信を持っておすすめする13冊をピックアップした特設ページです。

 今回は「webミステリーズ!」との連動企画ということで、13作品を翻訳された訳者の方々のコメントの第一弾を掲載しました。熱い想いのこもったすてきなコメントばかりです。第8の扉以降は、次回の更新をお楽しみに。

 なお、作品を読まれた方は感想をTwitterでハッシュタグ「#tsg13doors」をつけて投稿していただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします!

* * *

湿地
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*第1の扉
『湿地』
アーナルデュル・インドリダソン/柳沢由実子 訳


【訳者コメント】
友人から手紙。性暴力を告発する辣腕弁護士で、ロースクールで教えてもいる。性暴力被害はきっちりと書かねばならないという作者のたじろがない姿勢に心打たれたという。性暴力犠牲者のシェルター経営に参加している別の友人はあまりにリアルでなかなか読み進めなかったと。目を逸らせてはならない現代社会の犯罪を仮借なく描くインドリダソン。アイスランド発のミステリー。次作『緑衣の女』もご期待ください。


深い疵
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*第2の扉
『深い疵』
ネレ・ノイハウス/酒寄進一 訳


【訳者コメント】
ノイハウスは2009年に彗星のごとく現れ、一気にドイツのミステリファンの心を鷲づかみにしました。いまや「ドイツミステリの女王」と呼ばれている作家です。代表作《オリヴァー&ピア刑事シリーズ》は本格的な推理が楽しめる警察小説です。主人公オリヴァーとピアにも、シリーズが進むにつれ大変な運命が待ち構えています。ふたりがコンビとして互いを深く理解しあうようになる本書『深い疵』では、90歳になる老人たちが次々と撃ち殺されていく謎の事件に取り組みます。その先には60年を越えてなお消えることのないナチの影が……。犯人の魂の叫びにぜひ耳を傾けてください。


吊るされた女
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*第3の扉
『吊るされた女』
キャロル・オコンネル/務台夏子 訳


【訳者コメント】
この小説、いったい幾つの物語が織り込まれているんだろう? ニューヨークというクライム・スクールに学ぶ新米刑事の奮闘。心優しい娼婦と強気な浮浪児の強い絆。オハイオから出てきた女優志望の田舎娘に迫る危機。過去と現在のさまざまな物語が、並行し、絡み合い、共鳴し合う。これぞまさにオコンネル・ワールドです。そして、すべてを締めくくるエピローグは、母と子の物語の結末。このラストシーン、最後のひとことが泣けます。


この声の届く先
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*第4の扉
『この声の届く先』
S・J・ローザン/直良和美 訳

【訳者コメント】
アクション映画を思わせるスピード展開とともに繰り広げられるニューヨークの世相、古今の文化が興味深く、また形を変えたふたりの連携にあらためて強いきずなを感じました。個性豊かな脇役陣(人間だけではなく)にはぜひ再登場してもらいたい。名もなき人々が無自覚のうちに協力する、IT時代ならではの探索方法が斬新ですが、これって新たな犯罪の手口にもなりそう。ローザンは警告を発しているのかもしれません。


毒の目覚め(上)
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*第5の扉
『毒の目覚め』上
S・J・ボルトン/法村里絵 訳


【訳者コメント】
ここまでスッと……いや、ズッポリ!?……入り込める話もめずらしい。そう、足を踏みいれたらもう出られない。ハラハラしたり、ギャッと叫んだり、苦しくなったり、ウルッとしたり……いいだけ振りまわされて、気がついたらエピローグ。女子だけにわかる+αもあり。マットとショーン、どっちが好き?……な~んて、編集さんと盛りあがりましたっけ。いずれにしても、S・J・ボルトンはイケメン好きではないみたい!


濡れた魚(上)
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*第6の扉
『濡れた魚』上
フォルカー・クッチャー/酒寄進一 訳


【訳者コメント】
クッチャーの『濡れた魚』は世界大恐慌を目前にした1929年のベルリンが舞台です。地方都市ケルンから流れてきた、一匹狼のやさぐれ刑事ゲレオン・ラートが、繁栄と退廃が交錯するベルリンの街を闊歩します。煙草のにおい、酒の香り、そんな匂い立つ訳文をめざしました。
風紀課でくすぶり、花形の殺人課への転身をもくろむラート警部はひょんなことからお蔵入り間近だった難事件の手掛かりをつかみます。しかし手柄を立てようと脚を突っ込むなり、次々と難題が降りかかります。
1936年、ナチが刑事警察を飲み込む年まで続く壮大な連作歴史ミステリの開幕です。


彼の個人的な運命
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*第7の扉
『彼の個人的な運命』
フレッド・ヴァルガス/藤田真利子 訳


【訳者コメント】
《三聖人シリーズ》をもっと書き続けてくれればいいのに……。
ただそれだけです。


* * *

 先生方、どうもありがとうございました! 第二弾、第8の扉以降は次回の更新をお待ちください。
(2012年9月5日)




【2009年3月以前の「本の話題」はこちらからご覧ください】

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