今月の本の話題

2012.07.05

警部補&新米医師が王家の秘密に挑む。英国史を覆しかねない傑作歴史ミステリ! アランナ・ナイト『エジンバラの古い柩』[2012年7月]

エジンバラの古い柩
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シリーズ代表作のBlood Line(1989)は、史実を盛り込んだスケール感あふれる長編で、わが国ではとうてい考えられないような大胆きわまりない真相が用意されている。 ――『世界ミステリ作家事典【本格派篇】』(森英俊編・国書刊行会)

 7月21日ごろ発売の『エジンバラの古い柩』は、まさにこのBlood Lineという作品です。『世界ミステリ作家事典【本格派篇】』のアランナ・ナイトの項目に書かれた上の文章を読んだときから、いったいどんな話なんだろうとわくわくしていました。そして作品の真相と結末は、まさに「驚愕」のひと言です。なにせ、この作品に書かれていることが本当なら、歴史が変わってしまうのです!

 舞台はヴィクトリア朝エジンバラ。エジンバラ城の崖下で、男性の遺体が発見されます。一見、宝石泥棒の転落死と思われますが、ファロ警部補は納得できず、義理の息子の新米医師ヴィンスとともに独自の捜査をはじめます。そして遺体の現場付近で、男性の肖像が描かれたカメオを拾います。さらに警官だった父の遺品から、40年前に城の壁の中から赤ん坊の遺体を納めた非常に古い柩が発見されたという事件の記録と、現場で発見したものと対になっている16世紀のスコットランドの女王、メアリーのカメオを見つけます。父は、この柩とカメオに関わって、命を落としたのでは? ファロはとんでもない秘密と陰謀に関わることになります。

修道院の第二の殺人
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 著者のアランナ・ナイトはスコットランド出身の女性作家です。ミステリ、歴史小説、ゴシック・ロマンス、ノンフィクション、伝記など多彩なジャンルをカバー、著作は60作に及んでいます。スコットランド作家協会の設立者のひとりで、国際ブックフェアや数多くの図書館イベントに呼ばれる作家歴40年の大ベテラン作家! そんな著者の代表的なシリーズが、『修道院の第二の殺人』からはじまり、1988年から現在まで14作続いている〈刑事ファロ〉シリーズです。

 そんな歴史ミステリの大家のシリーズ代表作が本書です。この作品は1830年にエジンバラ城の壁の中から、非常に古い木片と赤ん坊の骨、そして“J”と刺繍された衣服が発見されたという史実に基づいています。エジンバラ城の公式ホームページこのページでも、きちんと言及されています。美しいエジンバラ城には、秘密と陰謀がたくさん! はたして、本書に書かれている驚愕の真相は事実なのでしょうか? シリーズ作品ですが、本作から読んでも問題ありません。歴史ミステリの魅力をたっぷり味わえること間違いなし! の傑作を、どうぞお楽しみください。

 『エジンバラの古い柩』は7月21日ごろ発売です。


(2012年7月5日)




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