今月の本の話題

2012.06.05

再び『HHhH』(ローラン・ビネ著)について……。[2012年6月]

3月に奇妙なタイトルの意味とともに刊行の予告をした、ローラン・ビネの『HHhH』について、新たな情報を少しばかり。

『HHhH』の英語版がアメリカ、イギリスでそれぞれ、4月、5月に、発売されました。
257のきわめて短い章からなる本書は、そこに描かれた史実、著者の姿勢、作品のスタイルと、様々な意味で英米の読書人の話題をさらっています。
マリオ・バルガス・リョサの賛辞を、3月に紹介しましたが、あらたに寄せられている賛辞のいくつかをさらに紹介しておきます。

* HHhH は Himmler's Hirn heist Heydrich を略したもの。
Himmlers Hirn heist Heydrich は
「ヒムラーの頭脳の名前はハイドリッヒ」の意。


『HHhH』には圧倒された。……今まで出会った歴史小説の中でも最高レベルの一冊だ。 ――ブレット・イーストン・エリス

魅力溢れる、感動に満ちた、そして読者の心を掴んではなさない、見事なまでに独創的な作品だ。 ――マーティン・エイミス

ローラン・ビネは、その語りに作家としての不安、書くことへの不安を織り込むことによってノンフィクション・ノヴェルに新たなる地平を与えた。その手法は、決してストーリーの力を弱めることがなかった。それどころか、あのクライマックスは忘れることができない。 ――デイヴィッド・ロッジ

文学的力わざ ――ニューヨーク・タイムズ

桁外れなデビュー作……史実に忠実たれ、そして、その出来事の起きたその瞬間瞬間を分析する情熱が、この作品を「歴史小説」であると同時に「歴史小説を書くにあたってのテクニックとモラルを語る小説」にもしている。……この一風変わった方法がこの作品を文学的成功に導いたのだ。 ――タイムズ

ビネのこの作品を読み終えると、私は目を閉じ歴史について考えなおさずにはいられなかった。そして、それは今も続いている。 ――ギャリ・シュテインガート

独創的で実に新しい作品……『HHhH』は、ジャンル無視の文学上のボクシングマッチにおける痛烈な一撃である。 ――カリフォルニア・リテラリレヴュー

完璧なまでに圧倒的で非情なまでに魅力的 ――アイリッシュタイムズ


高橋啓さんの翻訳は現在進行中ですので、もうしばらくお待ちください。

(2012年6月5日)


 

【2009年3月以前の「本の話題」はこちらからご覧ください】

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