今月の本の話題

2012.04.05

二大魔都で繰り広げられる銀幕綺譚 皆川博子『双頭のバビロン』[2012年4月]

時代、歴史、恋愛、恐怖、推理、幻想――
あらゆるジャンルの小説の頂点を極めた無類の作家・皆川博子が
デビュー四十年を機に放つ、集大成にして新境地も言うべき破格の傑作!

世紀末ウィーンに生を享けた双子・ゲオルクとユリアンは、ある秘密のため、引き離されて育てられた。ゲオルクは名家の跡取りとして陸軍大学へ行くが、決闘騒ぎを起こし放逐され、新大陸へ渡る。一方、存在を抹消されたその半身ユリアンは、ボヘミアの〈芸術家の家〉で謎の少年ツヴェンゲルと共に高度な教育を受けて育つ。
アメリカで映画制作に足を踏み入れ、成功に向け邁進するゲオルクの前にちらつく半身の影。廃城で静かに暮らすユリアンに保護者から課される謎の“実験”。交錯しては離れていく二人の運命は、それぞれの戦場へと導かれてゆく。1920年代のハリウッドと上海を舞台に繰り広げられる、壮麗な運命譚。

『開かせていただき光栄です』で、2011年の「このミステリーがすごい!」「本格ミステリベスト10」「週刊文春 ミステリーベスト10」の年末ベストテン国内部門ですべて3位にランクインするという快挙を達成した皆川博子さん。今回お届けする『双頭のバビロン』は、物語の規模をさらにスケールアップして贈る、まさに破格のミステリです。
傲慢かつ自信家のため、映画制作会社のお偉方ににらまれつつも、ずば抜けた力量のため常に尊敬を集める映画監督のゲオルク。その双子でありながら、生まれたときに存在を抹消されたため、田舎の廃城で静かに暮らすユリアン。そして彼の無二の親友となる、「天使と小人の子ども」を自称する謎の少年ツヴェンゲル――魅力的な人物たちが、ヨーロッパのみならず、ハリウッドと上海という二大魔都を舞台に駆けめぐります。艶麗な文章が綴る、まさにグランドオペラのような躍動感溢れる物語をご堪能ください。
(2012年4月5日)




【2009年3月以前の「本の話題」はこちらからご覧ください】

本格ミステリの専門出版社|東京創元社
バックナンバー