今月の本の話題

2012.03.05

ディズニー映画化、エドガー・ライス・バローズ『火星のプリンセス』新版[2012年3月]

祝・ジョン・カーター誕生100周年
&ディズニー実写映画化!

 ある日突然、アリゾナの山間から火星に転移した主人公ジョン・カーター。そこでは四本腕の獰猛な緑色人や、地球人そっくりの美しい赤色人たちがそれぞれ皇帝を戴き、戦争に明け暮れていた。その渦中に飛びこんだカーターは、美しい火星の王女を窮地から救いだすべく、剣を片手に縦横無尽の大暴れ――。

 失われて久しい古代文明の廃墟がひろがり、異形の怪物が闊歩するエキゾチックな惑星を舞台に、魅力的な登場人物たちが所せましと大活躍する、波瀾万丈のストーリー。エドガー・ライス・バローズ『火星のプリンセス』は、宇宙を舞台にしたファンタスティックな冒険活劇として、のちに隆盛をきわめるスペースオペラというジャンルの原点ともいわれる名作であり、いまなお世界の読者を魅了しつづけています。

 じつはこの作品、雑誌連載のかたちではじめて世に出たのが1912年――つまり、今年は誕生からちょうど100年めにあたります。そして、かねてより製作がうわさされていた実写映画化も、ついに実現されることとなりました(映画化名『ジョン・カーター』、日本公開4月13日)。
 この記念すべき節目の年にあたり、小社からも本作を復刊するはこびとなりました。戦乱の惑星バルスーム=火星において快男子ジョン・カーター、絶世の美女デジャー・ソリス、十本脚の忠犬ウーラ、好漢カントス・カンたちが繰りひろげる胸おどる冒険譚を、厚木淳訳の名調子でおたのしみください。

 また、今回の新版のもうひとつの魅力は、高橋良平氏による書き下ろしの巻末解説。〈火星〉シリーズのみならず、〈ターザン〉〈金星〉〈地底世界〉シリーズのような人気作品を世に送り出した希代の冒険作家バローズについて、14ページにわたって充実した論を展開していただいています。すでに本作を読まれたかたもお見逃しなく。

 なお、日本では武部本一郎画伯が描いた美しいデジャー・ソリスの姿(右参照)に強い印象を受けたかたも多くいらっしゃると思いますが、旧版の表紙・口絵・本文イラストすべてを載録した合本版・火星シリーズ第1集『火星のプリンセス』もひきつづき発行しております。続編の『火星の女神イサス』『火星の大元帥カーター』も合わせて収録しておりますので、つづきが気になるかたはこちらもぜひ。
(2012年3月5日)




【2009年3月以前の「本の話題」はこちらからご覧ください】

海外SFの専門出版社|東京創元社
バックナンバー