今月の本の話題

2012.01.05

アンドレ・ノートン賞受賞、奇想天外、究極のファンタジー イザボー・S・ウィルス『一万一千の部屋を持つ屋敷と魔法の執事 ほんとうのフローラ』[2012年1月刊]

●最新作『一万一千の部屋を持つ屋敷と魔法の執事 ほんとうのフローラ』

 やれやれ、結局なんとかあたしは、魔法執事といっしょに消えてしまったりせず、カトルセナのお祝いも無事終わった。
 パパもアルコール浸りで部屋にこもるのをやめてくれたし、なんだかすべてうまくいったみたいだった……。
 甘かった。正気に戻ったパパは、酔っぱらっていたときより始末がわるかった。規律、規律の軍隊式の毎日。上官(パパのこと)には絶対服従。そんなパパを拝み倒して親友のウードとクラブに行ってみれば、ウードは気持ち悪い石炭女に夢中。
 まったくなんてことなの。ぷりぷりして行ったトイレで、なんと便器から巨大なイカ(多分)の触手が! こっちは必死で格闘したのに、扉が開いてみれば、イカの触手は跡形もない。これじゃまるであたしがヘンみたい。
 トイレであたしをおそった巨大イカ。じつはあれが最近カリファを襲っている地震と関係があったなんて! なんとかしなくちゃ。
 ところが姉で優等生の(あたしと違って)イデンは軍を脱走しちゃうし、親友のウードは懸賞金稼ぎなんていうありえない金儲けのアイディアに取り憑かれちゃうし、まわりじゅうとんでもないことだらけ。
 人が変わったみたいに厳しくなっちゃったパパの目を盗んで、あたしはなんとかカリファを救おうとするんだけど……。
 フローラが秘密部隊究極の荒技に挑む! アンドレ・ノートン賞受賞、奇想天外な究極のファンタジー第二弾。

『一万一千の部屋を持つ屋敷と魔法の執事 二番目のフローラ』

 魔力を持つ執事が名家の屋敷を切り盛りする国、カリファ共和国。
 一万一千もの部屋を持つ広大なクラックポット屋敷に住む少女フローラは、ママの命令で魔法執事が追放されて以来、荒れ果ててしまった屋敷の切り盛りにいいかげんうんざりしていた。
 陸軍大将であるママは仕事仕事でほとんど帰ってこないし、パパは塔にこもったままろくに出てきもしない(たまに出てきても迷惑なだけ)。
 そんなフローラが、ひょんなことから屋敷内の大図書室に迷いこみ、そこでとうの昔に追い出されたはずの魔法執事バレフォールに出会う。すっかり魔力の衰えてしまった執事から、自分をよみがえらせれば荒れた屋敷もよみがえり、屋敷を切り盛りする苦労もなくなると言われ、フローラは自らの生命力を分けあたえる。
 確かにバレフォールが元気になると同時に、部屋はきれいに掃除され、屋敷は息を吹き返したかに見えた。だがそこにはとんでもない落とし穴が待ち構えていた。
 一族の伝統に逆らって、カリファの正規軍ではなく秘密部隊に憧れるフローラ。海賊に憧れる親友のウードとふたりで企んだ、おしゃれ海賊奪回作戦があえなく失敗。すっかりしょげるフローラだったが、魔法執事とむすびついた自分の存在が消えかかっていると聞いてびっくり仰天。
 執事復活の鍵を求めて、家人が死んでのち怖ろしい噂の絶えないビルスキニール屋敷に、ウードとふたり決死の覚悟で忍び込む。ところがそこでフローラを待っていたのは……。
 アンドレ・ノートン賞最終候補、カーカスベスト・ブックに輝く、奇想天外、摩訶不思議なファンタジー。

(2011年6月6日/2012年1月5日)

 

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