今月の本の話題

2012.01.05

なんで死体はフェイクじゃないのよ! もと贋作師の事件簿 ヘイリー・リンド『贋作に明日はない』[2012年1月]

●最新作『贋作に明日はない』

「そこのは展示品じゃないでしょ。あのオークの木にぶらさがってるのは、死体だってば!」
 サンフランシスコの高級画廊のオープニングパーティで、現代美術の展示品からぶら下がる彫刻家本人の死体を見つけたアニー。じつは彫刻家マグローはアニーの父母の昔馴染だった。
 そのころ隣のブロック美術館ではシャガールの絵が盗まれ、アニーの友人でゲイのブライアンが盗難の容疑をかけられていた。
 ブライアンに泣きつかれ、シャガールを取り戻して彼の容疑をはらそうと奔走するアニーは、絵画泥棒と取り引きした結果、上流階級のパーティに出かけることに……。驚いたことに、その屋敷にはフェルメールをふくむ数多くの巨匠の作品があった。
 父母と旧知の彫刻家の死をめぐる大騒動。怪しげな母の行動(なんといってもアニーの母は、あの世界的な贋作師に男手ひとつで育てられたのだ!)。そして気になる絵画泥棒氏との急接近。芸術とロマンスとスリルあふれる第二作。

『贋作と共に去りぬ』

 世界的な贋作者である祖父にみっちり仕込まれたアニーは、本物そっくりの偽物を作る画家兼疑似塗装師。腕前は超一流なのだが、若気の至りで足を突っ込んだ贋作作りの前科のため美術館での絵画修復士の職を失い、サンフランシスコの美術業界では鼻つまみ者になっている。
 美術館キュレーターの元カレ(こっぴどくふられた)に呼び出され、古巣の美術館で大枚はたいて購入したカラヴァッジョの真贋を鑑定したところ、贋作だと判明。それだけでもおおごとなのに、直後に殺人事件が起こり元カレは行方不明に。
 さらに一流の画廊主から巨匠の素描の鑑定を頼まれたが、なんとそれらも贋作。真作の行方を探すアニーのもとにはハンサムだけど、なんだか裏がありそうな探偵が現れる……。
 アートの小ネタとロマンス満載、小粋でアップテンポなライトミステリ開幕。

(2011年8月5日/2012年1月5日)

 

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