今月の本の話題

2011.12.05

現代英国ミステリの女王が放つ稀代の雄篇! ミネット・ウォルターズ『破壊者』[2011年12月]

 ミネット・ウォルターズは英国の女流ミステリ作家です。幼少期から頭抜けた読書家であったウォルターズは、雑誌編集者を経て小説家となり、1992年にミステリ第1作『氷の家』を発表。いきなり英国推理作家協会の最優秀新人賞を獲得し、続いて第2作『女彫刻家』でアメリカ探偵作家クラブの最優秀長篇賞を、第3作『鉄の枷』で英国推理作家協会最優秀長篇賞を受賞しました。そして『病める狐』でふたたび英国推理作家協会最優秀長篇賞を獲得し、現在に至るまで名実ともに現代を代表するミステリ作家として活躍しています。

 日本でもたいへん評価が高く、『女彫刻家』は「週刊文春」1995年ミステリーベスト10の海外部門と「このミステリーがすごい! 1996年版」海外編ベスト10 で第1位に選ばれました。また『蛇の形』も『IN★POCKET』文庫翻訳ミステリーベスト10/評論家部門と『2005本格ミステリ・ベスト10』海外本格ミステリ編で第3位にランクインしています。作品が刊行されるたび、さまざまなミステリのランキングで高順位を獲得しています。

『破壊者』は、1998年に発表されたウォルターズの第6長篇で、謎解き要素の強い作品です。

*  *  *

 女は裸で波間にただよっていた。脳裏をよぎるのは、陵辱されたことではなく手指の骨を折られたことだった。──そして小石の浜で遺体が見つかる。被害者は長時間泳いだ末に力尽き、溺死していた。一方、死体発見現場から数キロ離れた港町では3歳になる被害者の娘が保護される。なぜ犯人は母親を殺したのに娘を無傷で解放したのか? なぜ、海を恐れ船に乗らなかった女性が溺死したのか?

 波間に浮かぶ女性の死体……。残虐な「犯人」は一体何者なのか? 重く暗い物語ですが、複雑な人間関係や心理描写をみごとに描き出すウォルターズの筆に翻弄され、ページをめくる手が止まりません。むごい、酷い、辛い。しかし、間違いなく面白い! と自信を持ってオススメできる弩級の傑作です。

『破壊者』は2011年12月22日ごろ発売です。著者のファンはもちろん、ウォルターズ作品を未読の方も、ぜひこの本から手に取ってみてください。

(2011年12月5日)

 

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