今月の本の話題

2011.11.07

日本最高峰のプロサッカーリーグでホペイロ坂上の苦悩はつづく!? 井上尚登『ブンデスの星、ふたたび ホペイロ坂上の事件簿J1篇』[2011年11月]

いままさに、2011年のJリーグの優勝争い、降格争いは佳境を迎えています。例年この時期には、該当チーム同士の熾烈な戦いが繰り広げられ、数々のドラマが生まれてきました。
『ホペイロの憂鬱』『幸せの萌黄色フラッグ』につづく今作も、そんな特有のドラマ性とエンタテインメント性が詰まったミステリです。

某テレビ局のキャッチフレーズ「絶対に負けられない戦い」を地でいく、クラブ存続の危機を脱し、ようやく念願のJ1に昇格したビッグカイト相模原。シーズンイン直前から、今作はスタートします。新たなシーズンのはじまりに、概ねどこのクラブも新入団選手や新ユニフォームの発表など、 “出陣式”のようなイベントを開催します。ビッグカイトも同様で、そこで出会った女性にからむ出来事から、ホペイロ坂上くん最初の謎解きが始まります。
日本サッカーの最高峰ということで、ホペイロの後輩ができたり、各選手へのメディア対応が増えたりとする中でも、これまでと同様にさまざまな珍妙な出来事の謎解きにかり出される坂上くん。この他、アウェイの洗礼にまつわる事件、新加入の元ブンデスリーガが抱える苦悩、スタジアムツアーで巻き起こる奇怪な事件などなど。

ちなみに、今作のタイトルにある「ブンデス」とは、ドイツリーグ「ブンデスリーガ」のこと。今年ベストセラーとなった『心を整える』(幻冬舎)でもおなじみ、日本代表の長谷部誠選手や、同じく日本代表で10番を背負う香川真司選手など、多くの日本人選手が活躍しているリーグです。ドイツらしい大型の選手の中で、日本人選手の機敏な動きがとてもいいアクセントになっていたりするようで、1部2部合わせて2011-2012シーズンには10人もプレーしています。果たして、そんなドイツでプレーしていた選手はいかほどのものなのか、そして過酷なJ1での戦いに勝利できるのか、お楽しみ下さい。

収録作品=「人生のスパイス」「アシスタントはつらいよ」「遊園地でマリーシア」「ブンデスの星、ふたたび」「スタジアムの幽霊」「恋のハットトリック」

(2011年11月7日)

 

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