今月の本の話題

2011.10.05

フランツ・リストの楽譜に隠されていたのは、世界をゆるがすとんでもない秘密だった! ラルフ・イーザウ『緋色の楽譜』[2011年10月]

 二〇〇四年九月二日、ワイマールのアンナ・アマーリア大公妃図書館が炎上し、〈ロココの間〉が焼け落ちたときに、額装された古地図の裏から思いがけないものが発見された。フランツ・リスト自筆の総譜二十四枚。
 百二十四年の眠りからさめたリストの自筆の楽譜。ワイマールの演奏会でその演奏を聴いた美貌の天才ピアニスト、サラ・ダルビーは光輝くシンボルが目の前に浮かぶのを見た。
 サラは耳で聞いた音を色とりどりの形や模様で見ることができる共感覚者(シニー)なのだ。
 今、リストの幻の曲によって、サラの心の目に浮かんだのは、あろうことかサラが母から譲り受けたペンダントに刻まれているものと寸分違わぬモノグラムだった。
 そのモノグラムが、そして続いて現れた衝撃的な一編の詩が、サラを嵐のただ中に投げ込んだ。
 何者かがリストの幻の楽譜を奪おうと、サラが泊まっているホテルの部屋を荒らし、サラ自身のの命も執拗に狙われる。

 暴漢に襲われたサラを助けたのは、かつてサラのストーカーとして捕まった男ヤーニンだった。彼によると、リストの楽譜を狙っているのはファルベンラウシャーという秘密結社で、大昔から〈力の音〉をの力を使い人々を操ってきたという。
 彼らは聖堂騎士団、フリーメイソンらを利用し、聖書の時代から〈力の音〉を守ってきたのだ。リストが何処かに隠した《緋色の楽譜》こそ彼らが探し求めるもの。サラはヤーニンと共にリストの詩を手掛かりに《緋色の楽譜》を追うが……。

 謎を解く鍵はリストが遺した楽譜に。パリ、ワイマール、ニュルンベルク、イエーナ、コペンハーゲン、ブダペスト、アムステルダムサンクトペテルブルグ……そしてローマ。ミヒャエル・エンデに続く現代ドイツ文学の旗手が贈る、ヨーロッパ全土を股にかけた、万華鏡のようにきらびやかなミステリ。

●酒寄進一先生による『緋色の楽譜』訳者あとがきはこちら●

(2011年10月5日)

 

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