今月の本の話題

2011.06.06

たぐい稀なる謎を秘めた最高傑作、新訳版で登場 ヘレン・マクロイ『暗い鏡の中に』[2011年6月]

平凡な女性教師の解雇の裏にひそむ驚愕の事情
たぐい稀なる謎を秘めた最高傑作、新訳版で登場


『幽霊の2/3』『殺す者と殺される者』と、創元推理文庫では世評の高いヘレン・マクロイ作品を新訳版でお届けしてきました。発表から50年以上を経たいまなお色褪せない(あるいは、いまだからこそ真価を味わえる)傑作として、ともに好評を博しています。

 そして今回、新訳版でよみがえるのは、ベイジル・ウィリング博士ものの長編『暗い鏡の中に』。1950年に書かれた、著者の最高傑作との呼び声も高い作品です。
 本書を傑作たらしめている要因のひとつに、一読忘れがたい「謎」の設定があります。他のマクロイ作品をお読みいただいてるかたなら、その謎づくりの巧みさはとうにご承知でしょうが、なかでもこの『暗い鏡の中に』は極めつけといっていい一冊です。「この作品が持つ“謎”とは何か?」が明かされるシーンは、本書第一のクライマックスといえる迫力を有しています。
 本書の「謎」について、あえて内容紹介等では伏せてありますので、できれば実際にお読みになり、存分に衝撃を味わっていただければと思います。
 ネット検索をすると、旧版を紹介したサイト等で本書の「謎」について言及されていることがありますが、もちろん、そうした紹介で知って興味を持たれた人や、旧版でお読みのかたでも、問題なく楽しめますので、どうぞご安心ください。

 ヘレン・マクロイ『暗い鏡の中に』は、6月21日刊行予定です。
 
※  ※  ※  ※

 ブレアトン女子学院に勤めてまだ五週間にしかならない女性教師フォスティーナは、突然理由も告げられずに解雇される。彼女への仕打ちに憤慨した同僚ギゼラと、その恋人の精神科医ウィリング博士が関係者を問いただして明らかになったその“原因”は、想像を絶するものだった。
 博士は困惑しながらも謎の解明に挑むが、その矢先に学院で死者が出てしまう……。幻のように美しく不可解な謎をはらむ、著者の最高傑作。
(2011年6月6日)

 

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