今月の本の話題

2011.05.06

ガーディアン賞・ウィットブレッド賞受賞作『時間のない国で』完結編登場 ケイト・トンプソン『世界の終わりと妖精の馬』[2011年5月]

『世界の終わりと妖精の馬〈上下〉』

 アイルランドは大変なことになっていた。天候はめちゃくちゃに荒れ、嵐と水害でとても作物などとれる状態ではない。シュリーブ・キャロンのふもと一帯では、独裁者エイダンが威張り散らしては人々を苦しめている。
 このままでは人類は滅び、その文化も忘れ去られてしまう……。そこで弟の下で心ならずも軍の指揮をとっていたドナルは、ずっと温めてきた奇想天外な計画を実行にうつすことにした。

 一方ティル・ナ・ノグ、妖精たちが住む時間のない国では、リディ一家の取り替えっ子ジェニーもすっかり年老いた養父JJと養母アイスリングも移住してきて、のんびり音楽三昧の日々を送っていた。
 そんなある日、ティル・ナ・ノグに大量のとろりん族の難民が出現。いったいどこから湧いて出たのか? 
 妖精王はJJに妖精の白馬に乗ってアイルランドに行き、問題を解決するように命じる。だが、馬から一歩でもおりたなら、JJは塵になってしまうというのだ!

 アイルランドの伝承と音楽が豊かに息づく三部作、驚天動地の完結編。ガーディアン賞、ウィットブレッド賞、ビスト最優秀児童図書賞受賞した名作『時間のない国で』三部作ついに完結。


『プーカと最後の大王(ハイ・キング)』

 リディ家の次女ジェニーは、とっても変わった女の子。
 約束は忘れるし学校はサボるし、いつも薄着で靴もはかず、夕方まで外をうろうろ。
 おまけに怪しげな野生のヤギや、丘の上の幽霊とも仲良しらしい。
 でもそのヤギ、実はプーカという生き物で……。
ちょっとズレてて、それでもほんのりあったかい、音楽一家リディ家の世界を巻きこんでの大騒動を描く物語。

 アイルランドの妖精と音楽が息づく『時間のない国で』続編登場!

『時間のない国で〈上下〉』

 どういうわけか、いつも時間が足りなかった。一時間が、一日が、一週間が飛ぶようにすぎてしまうのだ。アイルランドの田舎町キンバラに住む、音楽一家リディ家の長男JJも、家族も、まわりじゅうみんながそう感じていた。
 そんななかJJは、母ヘレンの誕生日プレゼントに、なんとかして時間を買おうと決心していた。
 時間が買える場所を知っているらしい、地元の出版業者、アン・コーフの案内で遺跡の地下にある不思議な膜をくぐったJJがたどりついたのは、“永遠なる若さの国”。そこではなんと、時間を売ってくれるというのだ。実は、ほんとうならこの国にあるはずのなかった「時間」が存在するようになり、逆にみな困っているのだという。

 ぼくたちの世界からこっちの世界に時間が漏れている? JJは“永遠なる若さの国”のフィドル奏者アンガス・オーグといっしょに時間漏れの原因を捜し始める。
 そこで彼らがたどりついた意外な真相は?

 アイルランドの伝承と伝統音楽が、現代にいきいきとよみがえる!

 ガーディアン賞・ウィットブレッド賞児童書部門・ビスト最優秀児童図書賞受賞。2005年度英国児童文学最高の収穫!

(2011年5月6日)

 

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