今月の本の話題

2011.04.05

『ミステリーズ!』に先行掲載! 弁護士が異様な“犯罪”を語る連作 F・V・シーラッハ『犯罪』[2011年6月刊行]

 ドイツ・ミステリ界の新星、フェルディナント・フォン・シーラッハによる『犯罪』は、発売されるやいなや発行部数45万部を超える大ベストセラーになった連作短編集です。32ヶ国以上で翻訳が決定、さらにドイツ屈指の文学賞であるクライスト賞を受賞し、高く評価されました。この賞は1920年代にはベルトルト・ブレヒトが、近年ではノーベル文学賞受賞作家のヘルタ・ミュラーなど、そうそうたる面々が受賞しています。また、新聞社が設けている〈今年の星〉賞、その年に活躍した文化人が選ばれる〈ベルリンの熊〉賞の文学部門も贈られました。

 著者のフェルディナント・フォン・シーラッハは刑事事件専門の弁護士です。弁護士として名を成した彼が小説家として執筆したのは、かつて自身が弁護した事件でした。『犯罪』には全編に「私」という弁護士が登場しますが、それは著者自身であり、「私」が関わった事件は、細かい改変がなされていますが実際に起こったものなのです。

 『犯罪』は2011年6月に小社より刊行の予定です。まずは『ミステリーズ! vol.46』に先行掲載している「棘」「タナタ氏の茶碗」で、その実力の一端をご確認ください。

* * *

死ぬまで愛し続けると妻に誓った男の殺人、盗まれた茶碗を巡る凄まじい復讐劇、彫刻「棘を抜く少年」に取り憑かれた警備員の秘密、羊を殺しては「18」と口ずさむ少年にかけられた疑惑、エチオピアの村を豊かにした銀行強盗――弁護士である「私」が遭遇した、11の異様な“犯罪”。実際に起こった事件に材を取り、胸を打つ悲喜劇を端正な筆致で描く圧巻の連作犯罪文学。クライスト賞はじめ数々の文学賞を獲得した傑作!

■収録作品
フェーナー氏/タナタ氏の茶碗(碗は旧字)/チェロ/ハリネズミ/幸運/サマータイム/正当防衛/緑/棘/愛情/エチオピアの男

(2011年4月5日)

 

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