今月の本の話題

2011.03.07

四季折々の“不思議”が詰まった、連作ミステリ短編集 沢村浩輔『インディアン・サマー騒動記』[2011年3月刊]

慣れない山道に迷って無人駅での一泊を余儀なくされた大学生の佐倉と高瀬。だが真夜中、高瀬は一軒の理髪店に灯が点っていることに気がつく。
好奇心に駆られて店に近づいた高瀬は、佐倉の制止も気に留めず扉を開けてしまうが……
(「夜の床屋」)

海霧漂う故郷の街に帰ってきた佐倉は、イタリア留学を控えた友人・美紀を訪ねるが、そこで奇妙な盗難事件の謎に挑むことになる。盗まれたのは絨毯ただ1枚。しかも、美紀が眠っている間、寝室から一晩のうちに消え失せてしまったというのだ。
(「空飛ぶ絨毯」)

夏休みに入ったばかりのある日、佐倉は大家の孫・水野少年に頼まれ、小学生を引率して廃工場にドッペルゲンガー捜しに出向くことになる。しょせんは子供の遊びと暢気に構えていた佐倉は、思わぬ展開に翻弄されることになり……
(「ドッペルゲンガーを捜しにいこう」)

※  ※  ※  ※

ホームズ譚や泡坂妻夫の短編を彷彿させる面白さ、と選考会の席上でも高く評価された第4回ミステリーズ!新人賞受賞作「夜の床屋」をはじめとする、何とも不思議な魅力に満ちた短編を集めた『インディアン・サマー騒動記』をお贈りします。
本書には、第3回の新人賞でも最終候補に残った「『眠り姫』を売る男」も収録。
何とも魅力的なタイトルですが、内容をここで明かすわけには参りません。
とにかく、なにとぞ1話目から順にお読み下さい、とのみ申し上げておきます。
四季折々の不可思議な謎と、驚きの結末が用意された連作集です。
(2011年3月7日)

 

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