今月の本の話題

2011.01.06

不可能犯罪はお好きかな? ハル・ホワイト『ディーン牧師の事件簿』[2011年1月]

不可能犯罪はお好きかな?
アメリカのミステリマニアによるデビュー連作集


 ハル・ホワイトは、本書でデビューすることになった新人作家です。ホームページ(http://www.halwhite.us/)を見れば一目瞭然ですが、著者はガチガチのミステリマニア。特に密室と不可能犯罪をこよなく愛していることは、上記HPのおすすめ作品リストからも容易にうかがえます(英文を読むのが面倒!というかたは、福井健太氏による解説に要旨がまとめられていますので、本書巻末をご覧ください)。
 当然、デビュー作品集である本書も、すべての短編でなんらかの不可能犯罪をあつかった本格ミステリ連作です。密室! 人間消失! 足跡のない殺人!……と、趣向を凝らした謎が矢継ぎ早にくり出される6編からは、好きなものを楽しんで書いている様子がストレートに伝わってきます。
 読んでいると、ミステリ――それも、いわゆる本格ミステリ――を読み始めたころのワクワクした気分を思い出すような、どこか懐かしい感じもする一冊。探偵役ディーン牧師の穏やかな人柄とあわせてお楽しみください。
 
 ハル・ホワイト『ディーン牧師の事件簿』は1月8日刊行です。

※  ※  ※  ※

 八十歳を迎えたのを機に牧師の任を退き、愛犬とともに静かな老後を送るはずだったサディアス・ディーン。そんな彼のもとに、次々と不可解な殺人事件の謎が持ちこまれる。
 屋敷を相続した五人兄弟を襲う“足跡のない”連続殺人、密室状態のアパートから消えた狙撃者、カリブ海航行中の客船で起きた密室殺人と人間消失、教会で行われた聖餐式の最中の毒殺……元牧師の名探偵ディーン先生が六つの難事件に挑む、不可能犯罪連作短編集。

(2011年1月6日)

 

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