今月の本の話題

2010.12.06

代議士夫人の影が盗まれた!? 好評シリーズ第3弾 三木笙子『人形遣いの影盗み』[2011年2月]

 気の強いワトソン役と、それに振り回されつつ推理をする羽目になるホームズ役。明治の世を舞台に、一風変わった探偵コンビで贈る《帝都探偵絵図》シリーズ第3弾が登場します。

 主人公・里見高広は、司法大臣を養父に持ちつつも、その力に頼ろうとはせず、自立を目指す心優しき雑誌記者で本シリーズの探偵役です。その絵が雑誌の表紙を飾ればたちまち完売、ただし天才肌にありがちな気難しさで編集者泣かせ、と悪名高い人気絵師である有村礼は、高広の勤める至楽社へは好んで挿絵を描くようになるののですが、それについては彼らの出会いを描いた作品を含む第2作、『世界記憶コンクール』をご覧ください。
 大のホームズ贔屓の礼は、高広が事件を解決したのを目の当たりにして、高広にホームズばりの推理の才ありと見て、事件と聞きつければ高広に解決させようと、毎度その助手を名乗り、高広を焚きつけて――。

 本書『人形遣いの影盗み』では、御茶屋から突然失踪した女中の話を発端にした騒動を描いた「びいどろ池の月」。高広の下宿先を訪れた人々とその一日を描いた「恐怖の下宿屋」。12月発売の『ミステリーズ!vol.44』にも掲載されている、兄が島流しにされたと信じる家族のご令嬢の依頼でその行方を探る「永遠の休暇」。普段なら見かけないはずの場所で礼を見た、という同業者の話から始まる「妙なる調べ奏でよ」。そして、とある代議士夫人の影が盗まれたという、にわかには信じ難い事件を描いた表題作「人形遣いの影盗み」の計5編が収録されています。

 刊行予定の2011年2月まで、シリーズ既刊の『人魚は空に還る』、『世界記憶コンクール』を読みながら、いましばらくお待ちください。
(2010年12月6日)

 

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