今月の本の話題

2010.07.05

『七つの海を照らす星』に続く、鮎川哲也賞受賞第1作 七河迦南『アルバトロスは羽ばたかない』[2010年7月刊]

5つの謎が解かれたとき明かされる、胸を打つ真実
『七つの海を照らす星』に続く鮎川賞受賞第1作
七河迦南『アルバトロスは羽ばたかない』


それぞれの家庭の事情から、親元を離れて暮らす子どもたちの施設「七海学園」――前作『七つの海を照らす星』の舞台となった養護施設に勤める新人保育士・北沢春菜とその親友・野中佳音、そして思わぬところで名探偵ぶりを発揮する児童福祉司の「海王さん」がふたたび登場。『アルバトロスは羽ばたかない』でも、学園の少年少女をめぐる不可思議な5つの謎を解き明かすべく、奔走します。

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仕事で出向いた競技場で、かつての同級生・高村と再会した春菜。高校時代、仄かに思いを寄せていた彼との再会に胸をときめかせつつも、相変わらず多忙な仕事の合間を縫って、学園の日常に起きる不可思議な事件の解明にいそしんでいる。
だが、そんな慌しくも穏やかな日々に、学園の子どもたちが通う高校の文化祭当日に起きた、校舎屋上からの転落事件が暗い影を落とす。
だれが、なぜ、どうやって――。単純な「不慮の事故」とする警察の見解に納得できず、高村の助力を得て続けられた探偵行の果てに明かされる衝撃の真実とは――

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春、夏、初秋、晩秋、そして冬。季節を彩る謎に組みこまれた伏線が、終盤にいたって描く驚愕の真相とは――これぞ本格ミステリ!という驚きと感動が待ち受ける結末まで、一気読み必至の傑作です。
前作をお読みでない方でも楽しんでいただけますので、アルバトロス(アホウドリ)が空をゆく鮮やかな表紙を目印に、ぜひお手に取ってみてください。

(2010年7月5日)

 


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