今月の本の話題

2010.06.07

修道女フィデルマの名を世に知らしめた大事件 ピーター・トレメイン『死をもちて赦されん』[2011年1月]

ファン待望の長編第一作、ついに登場!

●最新刊『死をもちて赦されん』

 アイルランドを中心に広まるアイオナ派か、それともカトリックの総本山ローマから新たに伝わってきたローマ派か。ブリテン島はノーサンブリア王オズウィーのもと、ウィトビアの修道院で今まさに歴史的な教会会議が開かれようとしていた。
 この会議の結果が、ブリテン島における両派の勢力図の今後を左右するとあって、どちらの陣営も一歩も引かない構えで、ウィトビアの修道院には一触即発の空気が流れていた。
 そんななか、会議を目前にアイオナ派の有力な修道院長が殺害された。犯人は対立するローマ派の人物か? 
 オズウィー王の命で調査にあたるのはアイオナ派の若き美貌の修道女“キルデアのフィデルマ”。公平を期すようにとローマ派から選ばれたサクソン人の修道士“サックスムンド・ハムのエイダルフ”とともに、事件を調べ始めるのだが……。
 これまでの作品でも何度も言及された、フィデルマの名を世に知らしめることになった大事件と、後に良き相棒となるエイダルフとの出会いを描いた、ファン待望の長編第一作ついに登場。



『修道女フィデルマの叡智 修道女フィデルマ短編集』

 先王の王女にして法廷弁護士、裁判官の資格をももつ美貌の修道女フィデルマが、もつれた事件の謎を痛快に解き明かす傑作短編集。

 巡礼としておとずれたローマの教会で、聖餐杯のワインを飲んだ若者が急死、居合わせたフィデルマが急遽謎を解くことになる「聖餐式の毒杯」、夫と幼い息子を殺したと告発され、窮地に陥った幼なじみを救うべく奔走する「ホロフェルネスの幕舎」、旅の途中で偶然立ち寄った宿での幽霊騒動に巻きこまれる「旅籠の幽霊」、アイルランドの大王位継承に欠かせない剣カラハーログの紛失をめぐる事件に挑む「大王の剣」、アイルランド代々の大王の廟所で起きた奇怪な殺人を解決する「大王廟の悲鳴」のバラエティ豊かな5編を収録。

 世界中の読書家を魅了した〈フィデルマ・ワールド〉の入門編ともいうべき日本オリジナル短編集。


『修道女フィデルマの洞察 修道女フィデルマ短編集』

 法廷弁護士にして裁判官の資格を持つ、美貌の修道女フィデルマが解き明かす奇怪な事件の数々。

 宴で主人役の人物が急死、招待されていたフィデルマが招待客のなかから犯人を推理する「毒殺への誘い」、眠りから目覚めていきなり殺人犯にされてしまった修道士を弁護する「まどろみの中の殺人」、競馬場での殺人にからむ国王と司教の対立を扱う「名馬の死」、孤島で起きた修道女の不可解な死の謎をさぐる「奇蹟ゆえの死」、そしてフィデルマが属していたキルデアの聖ブリジッド修道院で起きた殺人事件を解く「晩祷の毒人参」の5編を収録。
好評シリーズの日本オリジナル短編集第2弾。

 世界中の読書家を魅了した〈フィデルマ・ワールド〉ふたたび。最初期の重要なエピソードを含む5編を収録。 



『蜘蛛の巣』上

 緑豊かなアラグリンの谷で、その地を支配する氏族の族長エベルが殺された。現場にいたのは血まみれの刃物を握りしめた若者モーエン。犯人は彼に間違いない。事件はごく単純なはずだった……。だが、族長の妻の要請で都から派遣されてきた裁判官フィデルマは、この事件に納得できないものを感じていた。
 殺人現場で捕らえられた青年は、目も見えず、耳も聞こえず、口もきけなかったのだ。そんな彼が本当に、族長と、幼い頃から育ててくれた母親同然の女性を殺したのだろうか?
 フィデルマは、同行した修道士エイダルフと共に、さっそく捜査を開始する。

 没落した高貴な一族の血をひく、族長の誇り高き未亡人、族長の後継者に指名されていたまだ若い娘、ローマ・カソリックの教えを厳しく説く神父、年老いたドルイドの隠者……。そして、フィデルマをあざ笑うかのように、次なる殺人が。
 白日のもとに次々とあばかれる、アラグリンの人々の秘められた真実。果たして平和な谷に巣くう恐るべき蜘蛛の正体は?

 古代の雰囲気を色濃くたたえる7世紀のアイルランドを舞台に、王の妹にして、裁判官、弁護士でもある美貌の修道女フィデルマが、その明晰な頭脳で次々と事件の糸を解きほぐしてゆく。


『幼き子らよ、我がもとへ』上

 疫病が国土を蔓延するなか、王の後継者である兄に呼ばれ故郷の城に戻ったフィデルマは、驚くべき事件を耳にする。モアン王国内の修道院で、隣国の尊者ダカーンが殺されたというのだ。このままでは隣国が責任を追及してくることは必定。二国間の戦争にも発展しかねない。さっそくフィデルマは、兄の要請で現地の調査に向かう。
 途中、村が襲撃される現場に行き会い、助かった修道女と、数人の孤児を連れ修道院に向かうのだが……。
 従兄が院長を務める殺人現場の修道院で、早速調査を始めるフィデルマ。

 尊者ダカーンは、そこで何を調べていたのか? 人々の証言で次第に浮かびあがる、人格者といわれるダカーンの真の姿。そして、調べ進むうちに、どういうわけか絡まり合った幾本もの糸が、モアンと隣国の間に位置する小王国につながっていく。
 裁判が開催される、大王の〈大集会〉の開催が刻々と迫るなか、必死の捜査が続く。  フィデルマは、モアン王国の危機を救うことができるのか?

 裁判官、弁護士でもある美貌の修道女フィデルマが、もつれた事件の謎を解き明かす! 『蜘蛛の巣』に続く7世紀のアイルランドを舞台にしたケルト・ミステリ第2弾。


『蛇、もっとも禍し』上

“三つの泉の鮭”女子修道院で恐ろしい事件がおきた。
 若い女性の、頭部のない死体が見つかったのだ。身元を示すものはいっさいなかったが、腕に結びつけられた細い木片には、アイルランドの古い文字、オガムが刻まれ、掌には十字架を握り締めていた。
 修道院長の要請により、急遽フィデルマは事件を調査すべく、海路、女子修道院に向かう。
 だがその途中、乗組員すべてがいきなり消え失せたかのように、無人で漂う大型船に遭遇。誰もいない船内を調べたフィデルマは、思いもよらぬ物を発見する。忘れもしない、ローマで別れたはずの旧友のサクソン人修道士エイダルフに渡した本が、そこにあったのだ。一体何事があったのか?

 “三つの泉の鮭”女子修道院でのフィデルマの調査は困難をきわめた。高慢な修道院長に、敵意に満ちた修道女たち。修道院が建つ地の地方代官と修道院長は、兄妹であるにもかかわらず激しく憎み合っている。さらに地方代官のところには、修道院長の元の夫や、フィデルマの兄であるモアン王と対立している族長の息子らが滞在していた。
 複雑に入り乱れる人々の感情、そして思惑。一方、友人に贈った書物を無人船で見つけたフィデルマは、その友人の行方が気になって仕方がない。そんな中、第二の殺人が……。

 7世紀アイルランドを舞台に、王の妹にして法廷弁護士、美貌の修道女フィデルマの推理が冴える〈フィデルマ・ワールド〉長編第3弾!
(2009年11月5日/2011年1月6日)

 

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