今月の本の話題

2010.05.07

悪鬼を斃す死者の短剣の不思議な力。ビジョルドの新しいファンタジーシリーズ第2弾 ロイス・マクマスター・ビジョルド『死者の短剣 遺産』[2010年5月]

●最新刊『死者の短剣 遺産』

 地の民の娘フォーンと湖の民の警邏隊員ダグ。
 悪夢のような悪鬼との戦いがきっかけで出会い、出自の違いと年の差を超えて固く結ばれたふたり。
 フォーンの家族からなんとか結婚の了解をとりつけ、晴れて新婚となったが、彼らの行く手には湖の民とダグの家族というさらなる難関が待ち受けていた。
 ダグの警邏隊の仲間にはなんとか受け入れてもらったものの、排他的で誇り高く、地の民の娘などはなから受けいれようともしないダグの母と兄の態度に、さすがの前向きなフォーンも打つ手がない。
 そんなさなか強力な悪鬼が出現、ダグはフォーンを残し中隊長として警邏隊を率いて退治に向かう。だが、被害にあった土地では想像を絶する事態が一行を待ち受けていた。
 危うしダグ。手首に結んだ婚姻の紐がフォーンに告げたのは?

   好評シリーズ第2弾。


『死者の短剣 惑わし』

 地の民の娘フォーンは、小柄で皆から子どものように見られがちだが、自称20歳(実は18歳)。
 ものすごく深いわけがあって家を出た。秘密を抱いた重い心と疲れた足をひきずり、埃っぽい街道をひとりグラスフォージュの町を目指していた。
 偶然に食べものを求めて立ち寄った農家で、謎多き民として知られる〈湖の民〉の 警邏の一隊を見かけたのが、そもそものはじまりだったのだ。

   警邏隊の一員ダグと仲間たちが、悪鬼の手下泥びとを追っていたところ、何もしらないフォーンがその泥びとにつかまってしまった。すんでのところであとを追ってきたダグに助けられるが……。

 フォーンとダグ、〈地の民〉と〈湖の民〉というまったく異なる出自のふたり。親子ほども年がはなれたふたりが出会ったとき、互いのあいだに何かが芽生えた。

 ビジョルドのまったく新しいファンタジー開幕。
(2010年5月7日)

 

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