今月の本の話題

2010.05.07

ルイザ、クリスマスの季節に密室殺人に遭遇 アンナ・マクリーン『ルイザと水晶占い師』[2010年5月]

『若草物語』の著者が難事件に挑む
〈名探偵オルコット〉シリーズ最終巻


 不朽の名作『若草物語』の著者ルイザ・メイ・オルコットが探偵役を務めるこの〈名探偵オルコット〉シリーズも本書『ルイザと水晶占い師』で三作目。
 丹念に作られた謎解きものとしての面白さと(そう、本シリーズは謎解きとしてきわめてできがいいのです!)、歴史小説としての興味が同居しているこの好シリーズも、あいにくと続きが書かれていないため、これにて完結となります。

 今回、ボストンの街に戻ってきたルイザが挑むのは、なんと密室殺人。おまけに被害者は評判の水晶占い師兼霊媒ということで、派手さはシリーズ中随一です。これまで、鋭い推理力で難事件を解決してきたルイザは、どのようにして密室の謎を解くのか……?
 
 探偵役のルイザやその家族はもちろん実在した人物ですが、本書ではそのほかに、やはり実在の人物である興行師のフィニアス・T・バーナムが登場します。のちにアメリカ一のサーカス〈バーナム&ベイリー・サーカス〉を立ちあげるバーナム氏が、事件とどう関わるのか? も読みどころのひとつ。
 さらにいえば、舞台がクリスマスシーズンということもあって、ルイザの家族をめぐる、心温まる展開も控えています(その情景は本家『若草物語』と重ねあわせると、いっそう味わい深くなります)。19世紀中葉のアメリカの風景ともども、どうぞお楽しみください。

 アンナ・マクリーン『ルイザと水晶占い師』は、5月28日発売予定です。

※  ※  ※  ※

 生活費を稼ぐため、愛する家族と離れボストンにもどった駆け出し作家のルイザ。12月のある日、親友のシルヴィアに誘われ、評判の水晶占い師パーシー夫人の降霊会に出席したルイザは、彼女のいんちきを見破る。影響されやすい友人を案じて、再度降霊会に同行すると、パーシー夫人は鍵のかかった自室の中で、何者かに殺害されていた……。
 クリスマスの季節に起きた密室殺人に『若草物語』の著者が挑む、シリーズ第三弾。

(2010年5月7日)

 

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