今月の本の話題

2010.04.05

殺された若者は服喪装身具を着けていた 芸術史家スウィーニー・シリーズ第2弾 サラ・スチュワート・テイラー『死者の館に』[2010年4月]

●最新刊『死者の館に』
 一人の若者が殺害された。
 体を覆うのは下着のみ。両腕をネクタイでベッドの支柱に縛りつけられ、風変わりなブローチを身につけていた。
 そのブローチが服喪用装身具だと気づいた担当のクイン刑事は、ハーバート大で教鞭をとるスウィーニーに助力を求める。
 ところが死亡した若者はスウィーニーのゼミの生徒で、ボストンの名門パトナム家の一員であることが判明。モーニングジュエリーの出所に興味を覚えたスウィーニーは被害者の兄に心惹かれつつ独自に調査をはじめる。
 やがて浮き彫りになってくる、悲劇にいろどられた名門一族の秘められた過去。若者の死の真相とは? 

 死と象徴に彩られた芸術史家スウィーニー・シリーズ第2弾。



『狡猾なる死神よ』
 そのモニュメントはどう見ても奇妙だった。
 舟の中に横たわる若い女の裸体。それを見下ろす死神のまなざしはやさしく、骨のくちびるには愛しげな表情すら漂っている。そして墓の下に葬られた女性は、18歳の若さでこの世を去っている……。そして、その彫刻を造った彫刻家は不明。
 墓石の芸術という、一風変わったテーマを大学で研究しているスウィーニーは、友人トビーの誘いで、謎に満ちたモニュメントのある、かつての芸術家村ビザンティウムを訪れる。トビーの叔父一家がそこに住んでいて、クリスマス休暇を一緒に過ごそうというのだ。
 奇妙な墓石に惹かれ誘いに応じて村を訪れるスウィニー。だが、画家であった父の自殺、恋人の事故死と、自らの周囲にまつわる死の影に怖じ気づき、友人トビーへの複雑な気持ちに戸惑う。
 そして、墓石の謎を追う彼女の行く手に新たな殺人事件が……。あの奇妙なモニュメントが新たな殺人を呼んだのか。
 芸術家村の過去にいったい何があったのか? 芸術史家スウィーニー・シリーズ第1弾。

(2010年4月5日)

 


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