今月の本の話題
2010.03.05
決して日が暮れてから読まないこと…… 〈魔使いシリーズ〉第5弾 ジョゼフ・ディレイニー『魔使いの過ち〈上下〉』[2010年3月]
その地方のもっとも高い場所は、謎につつまれている。
言い伝えによれば、そこでひとりの男が大嵐の中、
世界を震えあがらせた悪を封じて死んだという。
そのあと、ふたたび氷の時代がやってきて、
去ったとき、山の形や平地の町の名前まで変わっていた。
今、丘の上にある、そのもっとも高い場所には、
昔起こったことを示す痕跡は残っていない――
名前をのぞいて。
その場所は「ウォードストーン」と呼ばれている。
『魔使いの過ち』
ぼくはトム。7番目の息子の7番目の息子だ。
この夏、ペンドルの魔女たちが魔王をこの世界に召喚してしまった。おまけにこの国全体に戦争が広がって、事態は悪化するばかり。
ぼくも危うく強制徴募隊につかまるところだった。師匠はぼくの身を心配して、この地方の北を守る魔使いビル・アークライトのもとに修行に出すことにした。でも、アークライトはぼくの修行に乗り気でないようで、最初から前途多難で憂鬱だ。おまけにアリスは師匠と残るので、しばらく会えなくなる。
古くて、おまけに眠らない死者はいるし、なんだかいやな雰囲気だ。ぼくは半年のあいだここで、水の魔女や水に住む他の魔物のことを学ぶことになる。
アークライトの訓練は厳しかった。まず泳ぎをおぼえなければいけない。それからアークライトが飼っている2匹のウルフハウンド犬を使って魔女を追う訓練もある。
やりがいはあるのだがアークライトは酒を飲むと手がつけられなくなってしまう。水の魔女をつかまえに行ったはいいが、酔ったあげくに、逆に魔王の娘で強力な水の魔女モーウィーナにつかまってしまった!
どうすればいいんだろう。藁にもすがる思いでぼくはアリスに教わった鏡を使ったやり方で、彼女に連絡をとったのだが……
魔王の魔の手がトムに……いよいよ怖い、〈魔使いシリーズ〉第5弾。
『魔使いの戦い』
ぼくはトム。7番目の息子である父さんの7番目の息子だ。魔使いに弟子入りして2年目、いよいよ師匠の魔使いとアリスとともに、ペンドルの魔女集団を片づけにいくことになった。
師匠の友人だというペンドルの司祭に助けてもらっても、魔女集団を相手だと思うとなんだか不安でいっぱいだ。
ところがそんな矢先、亡き父さんの農場を継いでいる一番上の兄、ジャック一家が何者かにさらわれた! しかも、母さんがギリシアに去るときにぼくに残していった3つのトランクも奪われてしまったのだ。
魔女の一族出身のアリスは、情報を得るためにひとり先にペンドルに向かった。いそいで後を追う師匠とぼく。
ところが、そのペンドルでぼくはひとりの女の子に出会った。金髪にぼろぼろのワンピース、はだしで歩く彼女の名前はマブ。アリスからの伝言をあずかっているというのだ。アリスの身が心配で、罠かもしれないと思いつつぼくは彼女について行ったが……
いよいよ佳境、好評〈魔使いシリーズ〉第4弾。
『魔使いの秘密』
ぼくはトム魔使いの弟子だ。師匠の魔使いと、魔女の女の子アリスと一緒にチペンデンの魔使いの家で暮らしている。
ところが冬になったとたん、師匠は居心地のいいのチペンデンの家から、アングルザーク高原にある冬の家にうつるという。アングルザークは、なにかといやなうわさのある土地だ。しかもアリスは一緒に住めないから、よそへやられてしまうらしい。
暗くて陰気な冬の家で待っていたのは、だれもいないさむざむとした部屋部屋(チペンデンではボガートがいつも料理をしてくれていた)。そして広大な地下室には、魔女やボガートを封じ込めた穴があった。おまけに師匠のもと恋人で、ラミア魔女のメグも冬の家にいるらしい!
一方、師匠の出来損ないの元弟子モーガンが、このアングルザークの地で、冬の魔王ゴルゴスを目ざめさせようとしていた……。
師匠魔使いの秘密に迫る、シリーズ第3弾。
『魔使いの呪い』
ぼくはトム。魔使いに弟子入りして半年ほどたつ。修業は大変でまだまだ半人前だけど、なんとかやっている。
そんなある日、人の血の味をおぼえたボガート、リッパーを退治してくれという依頼があった。被害者はなんと師匠である魔使いのお兄さん。
師匠の手を借りずになんとぼくひとりで無事にボガートは退治したものの、こんどは病み上がりの魔使いが、古代の悪霊ベインが巣くう大聖堂の町プライズタウンに向かうと言い出した。
だがそこには魔使いをつけ狙う、冷酷な魔女狩り長官が……。そして魔女狩り長官に捕らえられた魔女たちのなかにぼくが見たのは、たったひとりの友だちアリスの姿だった。
古代のおそろしい悪霊ベインと魔使いを憎む魔女狩り長官、ふたつの敵を相手に、魔使いとトムはどう戦う? そして捕らえられたアリスの運命は?
七番目の息子の七番目の息子トムの、冒険と成長を描く、ちょっぴりこわくて止められない〈魔使いシリーズ〉第2弾。
上橋菜穂子解説。
『魔使いの弟子』
ぼくはトム、7番目の息子である父さんの7番目の息子だ。
父さんは農場をやっているけど、農場を継ぐのは一番上の兄さんだけ。それ以外はみんな手に職をつけて、ひとりだちしなくてはならない。でも7番目ともなると、いいかげん弟子入り先も底をついてしまう。そこでぼくが弟子入りすることになったのは魔使い。おそろしいボガートや魔女、ゴーストから人々を守る危険で孤独な仕事だ。母さんは、ぼくには特別な能力があるのだから、立派な魔使いになれるって言うけど、本当だろうか……
確かにぼくには、他の人には見えない、色々な気味の悪いものが見える。ろうそくの明かりがないと寝られないくらいだ。だから兄のジャックは、こんなに怖がりのぼくが、魔使いになんてなれるはずがないと言うんだ。
とにかく、ぼくは魔使いに弟子入りできるかどうか、試してみることになった。
魔使いとぼくが最初に着いたのは、うらさびれた炭坑町ホーショー。なんだか暗くて陰気なところだ。ぼくの最初の試験は、通りのはずれにある幽霊屋敷で、ひとりぼっちでひと晩過ごすこと。そして魔使いがぼくに告げたのは「誰がきても玄関をあけないこと」「夜中の12時ぴったりに地下室におりていくこと」「ろうそくの火だけは消さないこと」の3つだった。
ひとりになって、寒いし、変に目がさえて眠れずにいると、地下室で物音がした。だれもいないはずの地下室でだれかが地面を掘っている……
怖がりの少年トムは、無事に魔使いになることができるのか?
どきどき恐くて、わくわく面白い。〈魔使いシリーズ〉第1弾。
ミステリ、SF、ファンタジー、ホラーの月刊Webマガジン|Webミステリーズ!
- バックナンバー
- 兄妹、介護の仕事を手伝う ジル・チャーチル『君を想いて』[2010年3月]
- 決して日が暮れてから読まないこと…… 〈魔使いシリーズ〉第5弾 ジョゼフ・ディレイニー『魔使いの過ち〈上下〉』[2010年3月]
- 星雲賞受賞『移動都市』に続く冒険SFの傑作、シリーズ第3弾! フィリップ・リーヴ『氷上都市の秘宝』[2010年3月]
- ロマンティックでキュートなミステリめでたく完結! ローズマリー・マーティン『ベベ・ベネット、秘密諜報員になりきる』[2010年3月]
- 図書館の本、一万五千冊が消えた!? イアン・サンソム『移動図書館貸出記録1 蔵書まるごと消失事件』[2010年2月]
- 圧倒的なスケールの異世界ファンタジー ロビン・ホブ〈道化の使命〉『黄金の狩人』[2010年1月]
- バレンタインに大吹雪!? レスリー・メイヤー『バレンタインは雪あそび』[2010年2月]
- 時を超えた切ない恋と陰謀の物語タイムトラベル・ファンタジイ決定版 スーザン・プライス『500年の恋人』[2010年2月]
- 11人の作家が描く架空の街の謎物語 競作アンソロジー『蝦蟇倉(がまくら)市事件』[2010年1月・2月刊行]
- 変人だらけの古都エディンバラを舞台にした、大人の女性のちょっと刺激的な冒険 アレグザンダー・マコール・スミス『友だち、恋人、チョコレート』[2010年1月]
- リナ&デッカー・シリーズ最新刊 フェイ・ケラーマン『蛇の歯』[2010年1月]
- あさってはサー・ホラスの500回目の誕生日!〈いたずらアラミンタ〉シリーズ第2弾 アンジー・セイジ『お誕生日の剣』[2010年1月刊行]
- twitterユーザーが選んだ東京創元社の本2009
- ロマンスとファンタジーの見事な融合 RITA賞YA部門受賞作 メリッサ・マール『妖精の女王』[2009年12月]
- 世界で一番愛されている少女探偵、ナンシー・ドルー登場! キャロリン・キーン『レッド・ゲート農場の秘密』[2009年12月]
- 幽霊屋敷売ります! かわいくてキミワルーイ〈いたずらアラミンタ〉シリーズ第1弾! アンジー・セイジ『ようこそキミワルーイ屋敷へ』[2009年12月刊行]
- 東京創元社制服コレクション2009!
- ブーちゃんの綴った日記で大騒動! 越谷オサム『空色メモリ』[2009年11月刊行]
- 緊迫感に満ちた傑作! 会話と独白のみの異色ミステリ ギルバート・アデア『閉じた本』[2009年12月刊行]
- 名物コンビが聖夜を騒がす第6弾! コリン・ホルト・ソーヤー『メリー殺しマス』[2009年12月]
- 名手が贈る珠玉のサスペンス、新訳で復活! ヘレン・マクロイ『殺す者と殺される者』[2009年12月]
- フレーヴィア・シリーズ開幕! CWAデビュー・ダガー受賞作 アラン・ブラッドリー『パイは小さな秘密を運ぶ』[2009年11月]
- 〈ヴァルデマール年代記〉の世界へようこそ! マーセデス・ラッキー『魔法の使徒』[2009年11月]
- 先王の王女にして弁護士、修道女フィデルマの推理が冴える ピーター・トレメイン『蛇、もっとも禍し』[2009年11月]
- 早熟の天才による、忘れがたい物語 ガイ・バート『ソフィー』[2009年11月]
- 英国冒険小説の雄『追われる男』続編登場 ジェフリー・ハウスホールド『祖国なき男』[2009年11月]
- ホーソーン先生さようなら エドワード・D・ホック『サム・ホーソーンの事件簿VI』[2009年11月]
- 幻想の紡ぎ手マキリップのファンタジー最新刊 パトリシア・A・マキリップ『冬の薔薇』[2009年10月]
- 幼い探偵姉妹が大活躍! マイケル・バックリー『グリム姉妹の事件簿2 学校の怪事件』
- 事件も恋も波乱の予感。コーンウォールミステリ第5弾! ジェイニー・ボライソー『ムーアに住む姉妹』[2009年10月]
- 幻のフランス本格ミステリ登場! マルセル・F・ラントーム『騙し絵』[2009年10月]
- 現代英国本格の新星登場! ジム・ケリー『水時計』[2009年9月]
- 田舎町は大騒ぎ! ペニーフット・ホテル第2弾 ケイト・キングズバリー『バジャーズ・エンドの奇妙な死体』[2009年9月]
- ハリー・ポッターのあとはこれ! 知る人ぞ知る、ファンタジーの名作シリーズ第3弾――ダイアン・デュエイン『いさましいちびの駆け出し魔法使い』[2009年9月]
- 笑っちゃうほど過激な選挙戦小説! トロイ・クック『州知事戦線異状あり!』[2009年9月]
- CWA最優秀歴史ミステリ賞受賞作 アリアナ・フランクリン『エルサレムから来た悪魔』[2009年9月]
- 復刊リクエスト第1位作品を新訳で ヘレン・マクロイ『幽霊の2/3』[2009年8月]
- 変人だらけの古都エディンバラを舞台にした、寄り道だらけの知的な冒険 アレグザンダー・マコール・スミス『日曜哲学クラブ』[2009年8月]
- 型破りで元気なお姫さま(&王子さま)ファンタジー パトリシア・C・リーデ『消えちゃったドラゴン』[2009年8月刊]
- 英国児童文学の女王ジョーンズの奇想天外なファンタジー ダイアナ・ウィン・ジョーンズ『魔法泥棒』[2009年8月]
- 幼児連続殺人を妨害する謎の男の正体は? 大型新人が放つ感動作 ジェイムズ・F・デイヴィッド『時限捜査』[2009年7月]
- ひきこもり探偵、コミック化! 坂木司『青空の卵』[2009年7月]
- 主婦探偵に第二の思春期? レスリー・メイヤー『授業の開始に爆弾予告』[2009年7月]
- 伝記作家と少女探偵 スーザン・カンデル『少女探偵の肖像』[2009年7月]
- 現代英国ミステリの精華、〈シェトランド四重奏〉第2章 アン・クリーヴス『白夜の惑う夏』[2009年7月]
- 少年探偵・狩野俊介シリーズ第1弾 太田忠司『月光亭事件』[2009年6月]
- 先王の王女にして弁護士、修道女フィデルマの推理が冴える ピーター・トレメイン『修道女フィデルマの叡智』[2009年6月]
- 幼い探偵姉妹が大活躍! マイケル・バックリー『グリム姉妹の事件簿1 事件のかげに巨人あり』[2009年6月]
- ロマンティックでキュートなミステリ ローズマリー・マーティン『ベベ・ベネット、モデルと張り合う』[2009年6月]
- 柚木草平シリーズ番外編、樋口有介『プラスチック・ラブ』[2009年6月]
- セレブ探偵(と、その旦那様)華麗に?登場 マーガレット・デュマス『何か文句があるかしら』[2009年6月]
- ようこそ、ペニーフット・ホテルへ――ケイト・キングズバリー『ペニーフット・ホテル受難の日』[2009年5月]
- 実在の冤罪事件をモデルに、検察・裁判に翻弄される人々を描く、巨匠幻の傑作長編――開高健『片隅の迷路』[2009年5月]
- 今回は海賊? 読まなくちゃ。――ジェイ・エイモリー『海賊船ベヘモスの襲撃』[2009年5月]
- 世界で一番愛されている少女探偵、ナンシー・ドルー登場! キャロリン・キーン『シャドー牧場の秘密』[2009年5月]
- 主婦探偵ジェーンの自宅に突撃取材!? ジル・チャーチル『カオスの商人』[2009年5月]
- 奇怪な事件と繋がる“この世の秘密”――ジョナサン・キャロル『木でできた海』[2009年4月]
- 『ミステリーズ!』装画のトヨクラタケルさん、制作過程の秘密が明らかに……[2009年4月]
- 『刺青白書』以来9年ぶりの柚木草平長編シリーズ――樋口有介『捨て猫という名前の猫』[2009年3月]
- 伝説の第1短編集を大幅増補 野田昌宏『レモン月夜の宇宙船』[2008年12月]