今月の本の話題

2015.02.05

魔王との戦いについに決着が! ジョゼフ・ディレイニー『魔使いの復讐』[2015年2月]

その地方のもっとも高い場所は、謎につつまれている。
言い伝えによれば、そこでひとりの男が大嵐の中、
世界を震えあがらせた悪を封じて死んだという。
そのあと、ふたたび氷の時代がやってきて、
去ったとき、山の形や平地の町の名前まで変わっていた。
今、丘の上にある、そのもっとも高い場所には、
昔起こったことを示す痕跡は残っていない――
名前をのぞいて。
その場所は「ウォードストーン」と呼ばれている。


『魔使いの復讐』

ぼくはトム、七番目の息子の七番目の息子だ。

 魔王を完全に滅ぼすための儀式に使う三本の英雄の剣の最後の一本を持って、アリスが無事闇の世界から戻って来た。再会を喜んだものの、肝腎の儀式を行うハロウィーンまでは、あとひと月もない。
 でも、やっぱり無理だ。いくら母さんの望みでも、ぼくにアリスを殺せるわけがない。
 そしてアリスも、生贄なんかなくても魔王を滅ぼす方法を、グリマルキンと一緒に見つけたと言う。いったいどんな方法なんだろう? 別れぎわ、アリスはぼくにキスをしていった。これって、つまりアリスもぼくのことを好きだってことなんだろうか?

 魔王の復活を阻止して、いつの日か故郷の地方の魔使いとして、アリスと一緒に暮らすことを夢見るトム。
 だが、事態は思わぬ方向に向かいはじめる。
 魔王の復活をもくろむ闇の勢力との最後の決戦を前に、トム、魔使い、グリマルキン、そしてアリスそれぞれの決断は。

 魔使いシリーズいよいよクライマックス!


『魔使いの敵 闇の国のアリス』

あたしの名前はアリス。魔王と邪魔女ボニー・リジーの娘。

 ただひとりの大切な友だち、魔使いの弟子のトムとその師匠の魔使い、それに魔女の暗殺者グリマルキンとともに魔王を滅ぼすために戦っている。
 アイルランドでいったんは魔王を倒すことに成功して、首をとり身体を封印したけれど、本当に滅ぼせたわけではない。
 魔王を完全に滅ぼすために、ある儀式が必要だとわかった。儀式に必要なのは三本の剣。二本はトムが手に入れ、残りの一本〈悲痛の剣〉は魔王の本拠地である闇の世界にある。だから前に一度行ったことがあるあたしがひとりでそこへ行くことになった。
 魔王がいないとはいえ、闇の世界が危険なことには変わりない。あたしはそこで思いがけない人物に出会った……。

 いよいよクライマックス間近。若き魔女アリスの闇の世界での探求を描く、〈魔使いシリーズ〉第十一弾。


『魔使いの血』

ぼくはトム、七番目の息子の七番目の息子だ。

 戦争で敵の軍隊に焼かれたチペンデンの師匠の家の再建が、ようやく始まった。図書室も新たに造り直すが、焼失してしまった代々の魔使いの蔵書は、もう取り返しがつかない。
 そんなとき、トッドモダンという街の屋敷の女主人コズミーナ・フレスクから、闇に関する蔵書をたくさん持っているので売ってもいいという手紙が来た。そんな申し出をしてくれるなんて、フレスクという人はいったいどんな人物なんだろう?
 ちょうど故郷ルーマニアから来ていた師匠のかつての弟子ジャッドの恩人だということで、師匠とぼくはジャッドに案内され蔵書を見にトッドモダンに向かったが、そこでぼくたちを待ち受けていたのはとんでもない事態だった。

 魔王との最終対決を前に、強力な闇のしもべがトムを襲う。アリス、トム、魔使い、グリマルキン、魔王と闘う彼らは魔王を完全に滅ぼすことができるのか? 
 人気シリーズ第十弾。


『魔使いの盟友 魔女グリマルキン』

グリマルキンは自分のなわばりを示すため、あるいは他の者への警告のため、自分のはさみのしるしを木に刻む。

 マルキン一族の暗殺者グリマルキンは、並はずれたすばやさと力強さをかねそなえ、自らの中に面子を保つための決まりを課し、だましうちの戦法には頼らない。そして魔王を憎むことにかけてはだれにも負けない……。

 そのグリマルキンが魔王を滅ぼす切り札として希望を託す、七番目の息子の七番目の息子、魔使いの弟子トム。そのトムと師匠の魔使グレゴリーい、トムの友だちで魔王の娘でもあるアリス、そしてグリマルキン自身が死闘の末に魔王の頭を切りおとし、身体を封印することに成功した。
 だが魔王のしもべたちは、頭を奪いもう一度魔王を復活させんと、機会を狙っているはずだ。なんとしてでも敵の手に渡すわけにはいかない。仲間と別れ、魔王の頭を持って逃げるグリマルキンの行く手に闇の眷属が立ちふさがる。

 シリーズの登場人物中で人気ナンバーワンの魔女の暗殺者グリマルキン。最強の暗殺者に危機が迫る!
 好評魔使いシリーズ第9弾。


『魔使いの運命』

 ぼくはトム。7番目の息子の7番目の息子だ。

 敵の兵士にチペンデンの家を焼かれ故郷を追われたぼくたちは、モナ島を経て、西のアイルランドに渡った。
 モナ島でぼくたち避難民は迫害され、本当にひどい扱いを受けた。でもアイルランドはずっと広いし状況はもう少しましみたいだ。
 ところがほっとしたのも束の間、アイルランドには以前アークライトと僕が退治したケルトの魔女の復讐が待ち構えていたのだ。
 それだけじゃない、アイルランドの地主連合と山羊の魔術師の争いにぼくたちは巻き込まれてしまった。

 危うしトム、危うしアリス。アイルランドでトムたちを待つおそろしい運命とは?
 2013年10月に映画『セブンス・サン』公開!
好評シリーズ第8弾。


●外伝『魔女の物語』

 ここに記すのは、語らなければならない物語――いつかおれの代わりにこの仕事につく者たちへの警告だ。おれの名前はジョン・グレゴリー。この地方の魔使いをしている。ここに記したのは、魔女メグ・スケルトンとおれの関係の一切合切の真実だ。こんな書き出しではじまる、トムの師匠の魔使いジョン・グレゴリーの若き日の物語「メグ・スケルトン」。
〈魔女が谷〉の腐りかけた落ち葉のしたにいる、死んだ魔女ダーティー・ドーラ・ディーンの在りし日の物語「ダーティー・ドーラ」。
 マルキン一族の魔女の暗殺者として、トムのギリシア行きにも同行した、グリマルキンが、どうして暗殺者となったかの悲しい物語「グリマルキンの物語」。
両親が死んで、おばのボニー・リジーに引き取られたアリスにふりかかる恐ろしい出来事。トムの友だちアリスの幼き日の物語「アリスと脳食い魔」。
 アークライトのもとで修行中のトムが遭遇した、アイルランドのバンシー魔女の事件。本編の第8巻『魔使いの運命』に続く「バンシー魔女」。
 本編では語られることのなかった、5人の魔女たちの物語を収めた短編集。


『魔使いの悪夢』

 ぼくはトム。7番目の息子の7番目の息子だ。

 師匠とアリスとぼくは、たくさんの犠牲をだしたギリシアでのつらい戦いを終え、チペンデンの家での静かな暮らしに戻った。
 ところが、そんな日々もつかの間、農場で預かってもらっていた3匹のウルフハウンドを引き取りに行って帰ってみると、チペンデンの家は焼かれ師匠の大切な蔵書も灰になってしまっていた。この地方に攻め込んでいた敵の兵士たちが、ついにチペンデンにやってきたのだ。さすがのボガートも多勢に無勢で防ぎきれなかったらしい。
 ひどいのはそれだけじゃない、ボガートが行ってしまったすきに、庭に拘束していた骨魔女のボニー・リジーが逃げてしまった。
 蔵書を失い気落ちしている師匠を励ましながら、アリスとぼく、そして犬たちは、敵兵の手を逃れ、アイリッシュ海にうかぶ島、モナ島を目指した。
 だが、モナ島でぼくらを待っていたのは、最悪の悪夢だった。

 家も蔵書も失った魔使い。戻る場所を失ったトムたちを待ちうけるのは?
好評シリーズ第7弾。




『魔使いの犠牲』

 ぼくはトム。7番目の息子の7番目の息子だ。

 父さんが死んで、生まれ故郷のギリシアに帰ってしまっていた母さんが、夏至の前日、久々にうちにもどってくる。ぼくは師匠といっしょに、いまでは兄ジャックのものになっている農場に向かった。
 早く母さんに会いたいあまり、思わず早足になってしまったが、農場に到着する直前、不思議なものが目に入った。農場の南で、いくつものたき火の煙があがっている。だれかが野営しているんだろうか?
 驚いたことに、野営しているのはペンドルの魔女たちだった。師匠にチペンデンの家を逐われたアリスもそこにいた。母さんが呼んだんだという。でも驚くのはまだ早かった。ぼくは母さんから、一緒にギリシアに来てほしいと言われたのだ。母さんの宿敵である、太古の女神オーディーンとの戦いのために、ぼくの助けが必要らしい。それだけじゃない、母さんはペンドルの魔女たちにも助けを求めていたんだ。
 それを知った師匠は怒って立ち去ってしまったが、ぼくは母さんやアリスや魔女たち、そして同じく母さんの呼びかけに応えて駆けつけてくれた魔使い、ビル・アークライトと一緒にギリシア目指して出発した。

 故郷を遠く離れた異国の地、ギリシアでトムを待つ運命は? トムの母の秘密がついに明かされる。恐くて面白くてやめられない、シリーズ第6弾。


『魔使いの過ち』

 ぼくはトム。7番目の息子の7番目の息子だ。

 この夏、ペンドルの魔女たちが魔王をこの世界に召喚してしまった。おまけにこの国全体に戦争が広がって、事態は悪化するばかり。
 ぼくも危うく強制徴募隊につかまるところだった。師匠はぼくの身を心配して、この地方の北を守る魔使いビル・アークライトのもとに修行に出すことにした。でも、アークライトはぼくの修行に乗り気でないようで、最初から前途多難で憂鬱だ。おまけにアリスは師匠と残るので、しばらく会えなくなる。

 ビル・アークライトは、沼や湖に囲まれた古い水車場に住んでいた。
 古くて、おまけに眠らない死者はいるし、なんだかいやな雰囲気だ。ぼくは半年のあいだここで、水の魔女や水に住む他の魔物のことを学ぶことになる。
 アークライトの訓練は厳しかった。まず泳ぎをおぼえなければいけない。それからアークライトが飼っている2匹のウルフハウンド犬を使って魔女を追う訓練もある。
 やりがいはあるのだがアークライトは酒を飲むと手がつけられなくなってしまう。水の魔女をつかまえに行ったはいいが、酔ったあげくに、逆に魔王の娘で強力な水の魔女モーウィーナにつかまってしまった!
 どうすればいいんだろう。藁にもすがる思いでぼくはアリスに教わった鏡を使ったやり方で、彼女に連絡をとったのだが……

魔王の魔の手がトムに……いよいよ怖い、〈魔使いシリーズ〉第5弾。


『魔使いの戦い』

 ぼくはトム。7番目の息子である父さんの7番目の息子だ。魔使いに弟子入りして2年目、いよいよ師匠の魔使いとアリスとともに、ペンドルの魔女集団を片づけにいくことになった。
 師匠の友人だというペンドルの司祭に助けてもらっても、魔女集団を相手だと思うとなんだか不安でいっぱいだ。
 ところがそんな矢先、亡き父さんの農場を継いでいる一番上の兄、ジャック一家が何者かにさらわれた! しかも、母さんがギリシアに去るときにぼくに残していった3つのトランクも奪われてしまったのだ。

   ジャック一家をさらったのは、どうやら母さんのトランクを奪おうとしたペンドルの魔女一派らしい。
 魔女の一族出身のアリスは、情報を得るためにひとり先にペンドルに向かった。いそいで後を追う師匠とぼく。
 ところが、そのペンドルでぼくはひとりの女の子に出会った。金髪にぼろぼろのワンピース、はだしで歩く彼女の名前はマブ。アリスからの伝言をあずかっているというのだ。アリスの身が心配で、罠かもしれないと思いつつぼくは彼女について行ったが……

いよいよ佳境、好評〈魔使いシリーズ〉第4弾。


『魔使いの秘密』

 ぼくはトム。魔使いの弟子だ。師匠の魔使いと、魔女の女の子アリスと一緒にチペンデンの魔使いの家で暮らしている。
 ところが冬になったとたん、師匠は居心地のいいのチペンデンの家から、アングルザーク高原にある冬の家にうつるという。アングルザークは、なにかといやなうわさのある土地だ。しかもアリスは一緒に住めないから、よそへやられてしまうらしい。
 暗くて陰気な冬の家で待っていたのは、だれもいないさむざむとした部屋部屋(チペンデンではボガートがいつも料理をしてくれていた)。そして広大な地下室には、魔女やボガートを封じ込めた穴があった。おまけに師匠のもと恋人で、ラミア魔女のメグも冬の家にいるらしい!
 一方、師匠の出来損ないの元弟子モーガンが、このアングルザークの地で、冬の魔王ゴルゴスを目ざめさせようとしていた……。

 師匠魔使いの秘密に迫る、シリーズ第3弾。


『魔使いの呪い』

 ぼくはトム。魔使いに弟子入りして半年ほどたつ。修業は大変でまだまだ半人前だけど、なんとかやっている。
 そんなある日、人の血の味をおぼえたボガート、リッパーを退治してくれという依頼があった。被害者はなんと師匠である魔使いのお兄さん。
 師匠の手を借りずになんとぼくひとりで無事にボガートは退治したものの、こんどは病み上がりの魔使いが、古代の悪霊ベインが巣くう大聖堂の町プライズタウンに向かうと言い出した。
 だがそこには魔使いをつけ狙う、冷酷な魔女狩り長官が……。そして魔女狩り長官に捕らえられた魔女たちのなかにぼくが見たのは、たったひとりの友だちアリスの姿だった。
 古代のおそろしい悪霊ベインと魔使いを憎む魔女狩り長官、ふたつの敵を相手に、魔使いとトムはどう戦う? そして捕らえられたアリスの運命は?

 七番目の息子の七番目の息子トムの、冒険と成長を描く、ちょっぴりこわくて止められない〈魔使いシリーズ〉第2弾。
上橋菜穂子解説。


『魔使いの弟子』

 ぼくはトム、7番目の息子である父さんの7番目の息子だ。
 父さんは農場をやっているけど、農場を継ぐのは一番上の兄さんだけ。それ以外はみんな手に職をつけて、ひとりだちしなくてはならない。でも7番目ともなると、いいかげん弟子入り先も底をついてしまう。そこでぼくが弟子入りすることになったのは魔使い。おそろしいボガートや魔女、ゴーストから人々を守る危険で孤独な仕事だ。母さんは、ぼくには特別な能力があるのだから、立派な魔使いになれるって言うけど、本当だろうか……
 確かにぼくには、他の人には見えない、色々な気味の悪いものが見える。ろうそくの明かりがないと寝られないくらいだ。だから兄のジャックは、こんなに怖がりのぼくが、魔使いになんてなれるはずがないと言うんだ。
 とにかく、ぼくは魔使いに弟子入りできるかどうか、試してみることになった。
 魔使いとぼくが最初に着いたのは、うらさびれた炭坑町ホーショー。なんだか暗くて陰気なところだ。ぼくの最初の試験は、通りのはずれにある幽霊屋敷で、ひとりぼっちでひと晩過ごすこと。そして魔使いがぼくに告げたのは「誰がきても玄関をあけないこと」「夜中の12時ぴったりに地下室におりていくこと」「ろうそくの火だけは消さないこと」の3つだった。
 ひとりになって、寒いし、変に目がさえて眠れずにいると、地下室で物音がした。だれもいないはずの地下室でだれかが地面を掘っている……

 怖がりの少年トムは、無事に魔使いになることができるのか?
 どきどき恐くて、わくわく面白い。〈魔使いシリーズ〉第1弾。

(2007年8月6日/2015年2月5日)




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