今月の本の話題
2010.02.05
図書館の本、一万五千冊が消えた!? イアン・サンソム『移動図書館貸出記録1 蔵書まるごと消失事件』[2010年2月]
図書館の本、一万五千冊が消えた?
気弱な青年が本探しの過程で引き起こす大騒動
『白鯨』『ダ・ヴィンチ・コード』『薔薇の名前』『夜中に犬に起きた奇妙な事件』『7つの習慣』『鷲は舞い降りた』『ベン・ショットの英国博覧記』『普通のドイツ人とホロコースト』『ジャッカルの日』『色彩について』『パイの物語』『荒地』『ブラヴォー・ツー・ゼロ』『偉大なるギャッツビー』『ハリー・ポッターと謎のプリンス』……ずらずら並べたこれらはすべて、本書『移動図書館貸出記録1 蔵書まるごと消失事件』の作中に登場する実在の本(の一部)です。
登場人物たちが何かにつけては本について言及する本書は、本好きなら見のがせない作品です。そもそもメインとなる事件が図書館の蔵書探し! それも一冊や二冊ではなく、なんと約一万五千冊! 田舎町の小さな図書館まるまるひとつ分の本がどこかに消えてしまったというのですから、これはもう一大事といえましょう。
しかしあいにくなことに、この難事件に直面した図書館司書志望の青年イスラエル・アームストロング(おかしな名前ですが本名です)は、主役なのですがどうにも頼りない。
憧れの司書になるため、縁もゆかりもない北アイルランドの片田舎にやってきたはいいものの、勤め先になるはずの図書館が閉鎖していたところからケチがつきはじめ、次から次へとひどい目に遭いつづけます。移動図書館とは名ばかりのおんぼろ自動車を与えられ、「職務だから」という理由で本探しをさせられるその苦闘ぶり、本人には申し訳ありませんが、これがたいへん笑えるのです。はたして、イスラエルは無事に図書館の本を取り戻せるのか……?
本への愛情がたっぷり、笑いの要素もどっさり詰まった本書『移動図書館貸出記録1 蔵書まるごと消失事件』は2月24日刊行予定、おすすめです。
ところで、〈移動図書館貸出記録〉というシリーズ名のあとに「1」とナンバーがふってあることからもおわかりのとおり、このシリーズは引きつづき第2作が刊行されます。その第2弾『移動図書館貸出記録2 アマチュア手品師失踪事件(仮)』は、夏頃みなさまにお届けできる予定ですので、どうぞお楽しみに。
憧れの図書館司書となるべく、北アイルランドの片田舎タムドラムにやってきた気弱な青年イスラエルを待っていたのは、図書館の閉鎖という無情な現実だった。代わりの職務として、移動図書館の司書を任されたものの、肝腎の蔵書一万五千冊は一冊残らず消えていた。だれが、なぜ、どこに? 事件を解決するはめになったイスラエルの、孤軍奮闘が始まる。頻出する実在の本の話題も楽しい新シリーズ、発車!
本格ミステリの専門出版社|東京創元社
気弱な青年が本探しの過程で引き起こす大騒動
『白鯨』『ダ・ヴィンチ・コード』『薔薇の名前』『夜中に犬に起きた奇妙な事件』『7つの習慣』『鷲は舞い降りた』『ベン・ショットの英国博覧記』『普通のドイツ人とホロコースト』『ジャッカルの日』『色彩について』『パイの物語』『荒地』『ブラヴォー・ツー・ゼロ』『偉大なるギャッツビー』『ハリー・ポッターと謎のプリンス』……ずらずら並べたこれらはすべて、本書『移動図書館貸出記録1 蔵書まるごと消失事件』の作中に登場する実在の本(の一部)です。
登場人物たちが何かにつけては本について言及する本書は、本好きなら見のがせない作品です。そもそもメインとなる事件が図書館の蔵書探し! それも一冊や二冊ではなく、なんと約一万五千冊! 田舎町の小さな図書館まるまるひとつ分の本がどこかに消えてしまったというのですから、これはもう一大事といえましょう。
しかしあいにくなことに、この難事件に直面した図書館司書志望の青年イスラエル・アームストロング(おかしな名前ですが本名です)は、主役なのですがどうにも頼りない。
憧れの司書になるため、縁もゆかりもない北アイルランドの片田舎にやってきたはいいものの、勤め先になるはずの図書館が閉鎖していたところからケチがつきはじめ、次から次へとひどい目に遭いつづけます。移動図書館とは名ばかりのおんぼろ自動車を与えられ、「職務だから」という理由で本探しをさせられるその苦闘ぶり、本人には申し訳ありませんが、これがたいへん笑えるのです。はたして、イスラエルは無事に図書館の本を取り戻せるのか……?
本への愛情がたっぷり、笑いの要素もどっさり詰まった本書『移動図書館貸出記録1 蔵書まるごと消失事件』は2月24日刊行予定、おすすめです。
ところで、〈移動図書館貸出記録〉というシリーズ名のあとに「1」とナンバーがふってあることからもおわかりのとおり、このシリーズは引きつづき第2作が刊行されます。その第2弾『移動図書館貸出記録2 アマチュア手品師失踪事件(仮)』は、夏頃みなさまにお届けできる予定ですので、どうぞお楽しみに。
※ ※ ※ ※
憧れの図書館司書となるべく、北アイルランドの片田舎タムドラムにやってきた気弱な青年イスラエルを待っていたのは、図書館の閉鎖という無情な現実だった。代わりの職務として、移動図書館の司書を任されたものの、肝腎の蔵書一万五千冊は一冊残らず消えていた。だれが、なぜ、どこに? 事件を解決するはめになったイスラエルの、孤軍奮闘が始まる。頻出する実在の本の話題も楽しい新シリーズ、発車!
(2010年2月5日)
【2009年3月以前の「本の話題」はこちらからご覧ください】
本格ミステリの専門出版社|東京創元社
- バックナンバー
- 兄妹、介護の仕事を手伝う ジル・チャーチル『君を想いて』
- 決して日が暮れてから読まないこと…… 〈魔使いシリーズ〉第5弾 ジョゼフ・ディレイニー『魔使いの過ち〈上下〉』[2010年3月]
- 星雲賞受賞『移動都市』に続く冒険SFの傑作、シリーズ第3弾! フィリップ・リーヴ『氷上都市の秘宝』[2010年3月]
- ロマンティックでキュートなミステリめでたく完結! ローズマリー・マーティン『ベベ・ベネット、秘密諜報員になりきる』[2010年3月]
- 図書館の本、一万五千冊が消えた!? イアン・サンソム『移動図書館貸出記録1 蔵書まるごと消失事件』[2010年2月]
- 圧倒的なスケールの異世界ファンタジー ロビン・ホブ〈道化の使命〉『黄金の狩人』[2010年1月]
- バレンタインに大吹雪!? レスリー・メイヤー『バレンタインは雪あそび』[2010年2月]
- 時を超えた切ない恋と陰謀の物語タイムトラベル・ファンタジイ決定版 スーザン・プライス『500年の恋人』[2010年2月]
- 11人の作家が描く架空の街の謎物語 競作アンソロジー『蝦蟇倉(がまくら)市事件』[2010年1月・2月刊行]
- 変人だらけの古都エディンバラを舞台にした、大人の女性のちょっと刺激的な冒険 アレグザンダー・マコール・スミス『友だち、恋人、チョコレート』[2010年1月]
- リナ&デッカー・シリーズ最新刊 フェイ・ケラーマン『蛇の歯』[2010年1月]
- あさってはサー・ホラスの500回目の誕生日!〈いたずらアラミンタ〉シリーズ第2弾 アンジー・セイジ『お誕生日の剣』[2010年1月刊行]
- twitterユーザーが選んだ東京創元社の本2009
- ロマンスとファンタジーの見事な融合 RITA賞YA部門受賞作 メリッサ・マール『妖精の女王』[2009年12月]
- 世界で一番愛されている少女探偵、ナンシー・ドルー登場! キャロリン・キーン『レッド・ゲート農場の秘密』[2009年12月]
- 幽霊屋敷売ります! かわいくてキミワルーイ〈いたずらアラミンタ〉シリーズ第1弾! アンジー・セイジ『ようこそキミワルーイ屋敷へ』[2009年12月刊行]
- 東京創元社制服コレクション2009!
- ブーちゃんの綴った日記で大騒動! 越谷オサム『空色メモリ』[2009年11月刊行]
- 緊迫感に満ちた傑作! 会話と独白のみの異色ミステリ ギルバート・アデア『閉じた本』[2009年12月刊行]
- 名物コンビが聖夜を騒がす第6弾! コリン・ホルト・ソーヤー『メリー殺しマス』[2009年12月]
- 名手が贈る珠玉のサスペンス、新訳で復活! ヘレン・マクロイ『殺す者と殺される者』[2009年12月]
- フレーヴィア・シリーズ開幕! CWAデビュー・ダガー受賞作 アラン・ブラッドリー『パイは小さな秘密を運ぶ』[2009年11月]
- 〈ヴァルデマール年代記〉の世界へようこそ! マーセデス・ラッキー『魔法の使徒』[2009年11月]
- 先王の王女にして弁護士、修道女フィデルマの推理が冴える ピーター・トレメイン『蛇、もっとも禍し』[2009年11月]
- 早熟の天才による、忘れがたい物語 ガイ・バート『ソフィー』[2009年11月]
- 英国冒険小説の雄『追われる男』続編登場 ジェフリー・ハウスホールド『祖国なき男』[2009年11月]
- ホーソーン先生さようなら エドワード・D・ホック『サム・ホーソーンの事件簿VI』[2009年11月]
- 幻想の紡ぎ手マキリップのファンタジー最新刊 パトリシア・A・マキリップ『冬の薔薇』[2009年10月]
- 幼い探偵姉妹が大活躍! マイケル・バックリー『グリム姉妹の事件簿2 学校の怪事件』
- 事件も恋も波乱の予感。コーンウォールミステリ第5弾! ジェイニー・ボライソー『ムーアに住む姉妹』[2009年10月]
- 幻のフランス本格ミステリ登場! マルセル・F・ラントーム『騙し絵』[2009年10月]
- 現代英国本格の新星登場! ジム・ケリー『水時計』[2009年9月]
- 田舎町は大騒ぎ! ペニーフット・ホテル第2弾 ケイト・キングズバリー『バジャーズ・エンドの奇妙な死体』[2009年9月]
- ハリー・ポッターのあとはこれ! 知る人ぞ知る、ファンタジーの名作シリーズ第3弾――ダイアン・デュエイン『いさましいちびの駆け出し魔法使い』[2009年9月]
- 笑っちゃうほど過激な選挙戦小説! トロイ・クック『州知事戦線異状あり!』[2009年9月]
- CWA最優秀歴史ミステリ賞受賞作 アリアナ・フランクリン『エルサレムから来た悪魔』[2009年9月]
- 復刊リクエスト第1位作品を新訳で ヘレン・マクロイ『幽霊の2/3』[2009年8月]
- 変人だらけの古都エディンバラを舞台にした、寄り道だらけの知的な冒険 アレグザンダー・マコール・スミス『日曜哲学クラブ』[2009年8月]
- 型破りで元気なお姫さま(&王子さま)ファンタジー パトリシア・C・リーデ『消えちゃったドラゴン』[2009年8月刊]
- 英国児童文学の女王ジョーンズの奇想天外なファンタジー ダイアナ・ウィン・ジョーンズ『魔法泥棒』[2009年8月]
- 幼児連続殺人を妨害する謎の男の正体は? 大型新人が放つ感動作 ジェイムズ・F・デイヴィッド『時限捜査』[2009年7月]
- ひきこもり探偵、コミック化! 坂木司『青空の卵』[2009年7月]
- 主婦探偵に第二の思春期? レスリー・メイヤー『授業の開始に爆弾予告』[2009年7月]
- 伝記作家と少女探偵 スーザン・カンデル『少女探偵の肖像』[2009年7月]
- 現代英国ミステリの精華、〈シェトランド四重奏〉第2章 アン・クリーヴス『白夜の惑う夏』[2009年7月]
- 少年探偵・狩野俊介シリーズ第1弾 太田忠司『月光亭事件』[2009年6月]
- 先王の王女にして弁護士、修道女フィデルマの推理が冴える ピーター・トレメイン『修道女フィデルマの叡智』[2009年6月]
- 幼い探偵姉妹が大活躍! マイケル・バックリー『グリム姉妹の事件簿1 事件のかげに巨人あり』[2009年6月]
- ロマンティックでキュートなミステリ ローズマリー・マーティン『ベベ・ベネット、モデルと張り合う』[2009年6月]
- 柚木草平シリーズ番外編、樋口有介『プラスチック・ラブ』[2009年6月]
- セレブ探偵(と、その旦那様)華麗に?登場 マーガレット・デュマス『何か文句があるかしら』[2009年6月]
- ようこそ、ペニーフット・ホテルへ――ケイト・キングズバリー『ペニーフット・ホテル受難の日』[2009年5月]
- 実在の冤罪事件をモデルに、検察・裁判に翻弄される人々を描く、巨匠幻の傑作長編――開高健『片隅の迷路』[2009年5月]
- 今回は海賊? 読まなくちゃ。――ジェイ・エイモリー『海賊船ベヘモスの襲撃』[2009年5月]
- 世界で一番愛されている少女探偵、ナンシー・ドルー登場! キャロリン・キーン『シャドー牧場の秘密』[2009年5月]
- 主婦探偵ジェーンの自宅に突撃取材!? ジル・チャーチル『カオスの商人』[2009年5月]
- 奇怪な事件と繋がる“この世の秘密”――ジョナサン・キャロル『木でできた海』[2009年4月]
- 『ミステリーズ!』装画のトヨクラタケルさん、制作過程の秘密が明らかに……[2009年4月]
- 『刺青白書』以来9年ぶりの柚木草平長編シリーズ――樋口有介『捨て猫という名前の猫』[2009年3月]
- 伝説の第1短編集を大幅増補 野田昌宏『レモン月夜の宇宙船』[2008年12月]