今月の本の話題

2010.01.06

変人だらけの古都エディンバラを舞台にした、大人の女性のちょっと刺激的な冒険 アレグザンダー・マコール・スミス『友だち、恋人、チョコレート』[2010年1月]

 イザベル・ダルハウジー、40歳代前半、離婚歴あり、現在独身。ひと癖もふた癖もある人々が集う国スコットランドの古都エディンバラに住む、知的で好奇心溢れる女性哲学者。〈応用倫理学レビュー〉誌の編集をしている。
 そんな彼女が主宰するのが〈日曜哲学クラブ〉。一度も開かれたことがないという変なクラブだ……



●最新刊『友だち、恋人、チョコレート』

 そんな一見優雅な生活を送っているのイザベルに、仲良しの姪が、友だちの結婚式にイタリアに行きたいから、彼女が営んでいるデリカテッセンを一週間ほど見ていてくれないかと頼んできた。
 こころよくひきうけたイザベルだが、それが不可解な事件に遭遇するきっかけになろうとは……。
 接客の合間に休憩をとっていたイザベルに、一人の男性が話しかけてきた。何気なく言葉を交わすうちに、その男性イアンが奇妙な打ち明け話をしてきたのだ。
 心臓移植を受けて以来、不可解な現象に悩まされているという。まったく覚えのない映像がよみがえってくるというのだ。果たしてこれはドナーの記憶なのか?
 得意の哲学的思考と行動力で、試行錯誤しながら謎を解こうとするイザベル。姪が旅先で知り合ったイタリア男の誘惑や、友人以上恋人未満のジェイミーへの想いに揺れつつも真相を追うのだが……。
 寄り道だらけの哲学探偵シリーズ第2弾。



『日曜哲学クラブ』

 芸術をこよなく愛するイザベル。ある日アイスランドのレイキャビクからきた(!)オーケストラのコンサートを聴きに行った劇場で、天井桟敷から若い男性が墜落するのを目撃する。
 若者の死に衝撃を受けたイザベルだが、事はそれだけにとどまらなかった。もしかしたら若者がこの世で見た最後の人物は自分だったかもしれないと思うと、持ち前の社会的責任感が頭をもたげ、いてもたってもいられなくなってしまったのだ。
 長年の哲学的思考で培った優れた観察力をたよりに、若者の死の謎を探るが……。

 大人の女性の知的な冒険。哲学者探偵(?)シリーズ開幕。

(2009年8月5日/2010年1月6日)


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