今月の本の話題

2009.12.07

ロマンスとファンタジーの見事な融合 RITA賞YA部門受賞作 メリッサ・マール『妖精の女王』[2009年12月]

「彼女こそ選ばれしものだ」妖精の魔法と人間の愛のあいだで少女の心はゆれる。

 サマー・キングは娘の前にひざまずいた。「この選択は、きみの自由な意思によるものだな? たとえ冬の寒さの危険とひきかえにしても?」
 娘は王――数週間前に恋に落ちたばかりの相手――を見つめた。夢にも思わなかった。まさか自分が愛した男が人間ではないなんて。だが、今、男の肌は輝いている。まるで体の中に揺らめく炎を抱えているかのように。妖しいまでに美しいその男から、目をそらすことができない。「ええ、それがわたしの望みよ」
「わかっているな? もし〝選ばれしもの〟でない場合、きみは体の中にウインタークイーンの冷気を抱えつづけ、次に同じ危険を冒すものが現れるのを待つことになる。そして次の女が現れたら、警告するのだ。ぼくを信用するなと」

ルール#1フェアリーの気をひくな。
ルール#2フェアリーに返事をするな。
ルール#3フェアリーを見つめるな。
 フェアリーを見る力を持つ少女アッシュリンは、現実世界の陰からのぞく彼らの不気味な世界など見えないふりをして生きてきた。
 ところがそんなある日、人間の男の姿をした美しいフェアリーの青年に誘いをかけられる。
 こんなことはじめて。なぜわたしにつきまとうの? 彼らの目的はなに? 
アッシュリンは親友のセスに思い切ってうちあけるのだが……
 人間の恋とフェアリーの魅了の間で揺れるアッシュリンの心……。
 RITA賞YA部門受賞、ローカス賞推薦作品に選ばれたロマンスとファンタジーの見事な融合。
 美しくも妖しいフェアリーの世界と少女の恋を描いた、ロマンティック・ファンタジーの決定版。シリーズ第1弾。
(2009年12月7日)

 

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