今月の本の話題

2009.11.05

ホーソーン先生さようなら エドワード・D・ホック『サム・ホーソーンの事件簿VI』[2009年11月]

ホーソーン先生さようなら
不可能犯罪連作シリーズ、最終巻


 シリーズ6冊目の、そして最後となる短編集、『サム・ホーソーンの事件簿VI』をお届けします。

 シリーズ第1作「有蓋橋の謎」『サム・ホーソーンの事件簿I』に収録)で、青年医師サム・ホーソーンがノースモントの町にやってきたのが、作中時間にして1922年のこと。最終作となる第72作「秘密の患者の謎」(本書に収録)の事件が1944年のできごとですから、シリーズを追ってきた読者はおよそ20年分の町の歴史と、不可能犯罪の数々を体験してきたことになります。
 その間、いろいろなことがありました。総合病院が建ち、町長が何度も何度も代わり(そのうち数人は不可解な事件に巻きこまれて死亡し、ホーソーン医師が謎を解くことになります)、町の創立百周年を迎えるうちに、小さな田舎町だったノースモントは、だんだんと発展していきます。
 医師個人についても、看護婦が入れかわったり、自動車を買い換えたりということがありましたが、この第6巻でついに結婚をし、第一子を授かることになります。

 とはいえ、本書はれっきとしたミステリ短編集ですので、ホーソーン医師は12の短編の中で、いつものごとく不可能犯罪と直面し、探偵役を務めます。起こる事件もオーソドックスな密室殺人から人間消失、透明人間や巨大生物によるとしか思えない殺人と、バラエティ豊か。それぞれの事件において発揮される、サム先生の名推理とあわせてお楽しみを。

 エドワード・D・ホック『サム・ホーソーンの事件簿VI』は11月27日刊行予定です。
 第1作が雑誌に掲載された1974年から著者が亡くなる2008年まで、30年以上にわたって書き継がれた長寿シリーズの最後を、ぜひお見届けください。

※  ※  ※  ※

 保安官候補の選挙参謀が、密室状態の丸太小屋で殺害された。第一容疑者は、発見者で選挙のライバルでもあるレンズ保安官。ホーソーン医師は、事件現場にいた一匹のチンパンジーに注目するが……(「対立候補が持つ丸太小屋の謎」)。
 そのほか、バリー賞受賞作「夏の雪だるまの謎」など、第二次世界大戦中に医師が遭遇した12の難事件を収録し、医師の結婚や第一子の誕生も描かれる、不世出の不可能犯罪連作シリーズ最終巻。

(2009年11月5日)

 

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