今月の本の話題

2009.11.05

英国冒険小説の雄『追われる男』続編登場 ジェフリー・ハウスホールド『祖国なき男』[2009年11月]

名作『追われる男』を凌駕するスケールと密度を誇る傑作

 2002年に弊社から新訳復刊した『追われる男』。1939年に発表された同書は、英国冒険小説を代表する作品として知られ、かつて〈サンデー・タイムズ〉のミステリ・ベスト99に選ばれました。
 本書『祖国なき男』は、その『追われる男』刊行から43年を経て発表された続編です(1982年刊)。
 物語は、イギリス軍のロストク空襲によって、主人公が収監された収容所が破壊されるシーンから始まります。辛くも生き延びた主人公は、自らが死んだと偽装し、ゲシュタポの将校に扮装して、ただひとりドイツ軍との戦いに挑むことになります。
 前作『追われる男』が追われるものと刺客との息詰まる心理戦を描いた〈静〉の冒険小説とするならば、本書は〈動〉の冒険小説。全ドイツ軍と主人公ひとりの死闘が息つく間もなく展開します。また、前作では描かれなかったエピソードや事柄が次々と明らかになり、その意味で冒険小説史の金字塔たる『追われる男』は本書で、本当の終わりを迎えたといえるかもしれません。
『追われる男』をお読みの方はもちろんのこと、未読の方も前作『追われる男』(新カバーになりました)からぜひお楽しみいただければと思います。
(2009年11月5日)

 

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