今月の本の話題

2009.05.07

今回は海賊? 読まなくちゃ。――ジェイ・エイモリー『海賊船ベヘモスの襲撃』[2009年5月]


ウェルズの『タイムマシン』を現代に引きずり出して思いきりデフォルメして、登場人物を思いきり魅力的にしたエンタテイメントSF。今回は海賊? 読まなくちゃ。――金原瑞人

 天空にそびえる奇抜で美しい都市スカイシティに住む、翼ある人々エアボーンと、汚染された地上に住む、翼のない人々グラウンドリング。
 地上での大災害の後、長年続いてきたふたつの世界のシステムを危うくするある事件から世界を救ったのは、生まれつき翼をもたないエアボーンの少年アズだった。

 だが、ようやく新たな関係が築かれたかに見えた矢先、グラウンドリングの精油場がエアボーンの海賊に襲撃されるという事件が起きる。
 黒い雲のように、空に浮かぶ不吉な影、海賊船ベヘモス。エアボーンとは思えない無頼の輩を率いるひとりの女。背が高くすらりとしなやかな身体を、頭からつま先まで黒いレザーに包み、翼は漆黒。

 このままでは、はじまったばかりのグラウンドリンクとの交流が、早くも危機に陥ってしまう。苦悩するエアボーンの指導者セリーナは、腹心の部下ミスター・モーダドサンに海賊討伐を命じる。
 新たな使命を託され、飛行船セルリアンは飛び立ったった。そしてそこには重大な任務を帯びたアズのすがたが……。

 一方地上ではアズの友人グラブダラー一家が大変なことになっていた。
 父ちゃんデンが、書き置きを残していなくなってしまったのだ! キャシーと兄弟、そして一家の友人コリンは、デンを探しに出発する。


 天空と地上のふたつの世界を舞台に、少年の成長を描く冒険ファンタジー第2弾。



 『スカイシティの秘密』〈翼のない少年アズの冒険〉
ジェイ・エイモリー著/金原瑞人・圷香織訳

 地上での大災害の結果、生き残った人々は汚染された地上を逃れ、空高くそびえたつ巨大な柱の上に、いくつものスカイシティを建設した。そして、そこに住む人々は、天使のような翼をもち、空を飛べるように進化していった。

 この素晴らし天空人(エアボーン)の世界を支えるのは、捨ててきたはずの大地の恵み。土や金属、燃料は、すべて地上から供給されていたのだ。
 だが、このところその地上からの供給システムが何者かに妨害されているらしい。スカイシティーの一大事に、調査の使命を帯びて地上に派遣さることになったのは、先祖返りか、生まれつき翼をもたない少年アズだった。

 美しくも快適なスカイシティとはあまりに違う地上の姿に、アズは驚愕する……
 過酷な地上でアズは無事に使命を達成し、天空人の世界に帰ることができるのか?


 天空と地上、ふたつの世界の相克を描く冒険ファンタジー『スカイシティの秘密』。〈翼のない少年アズの冒険〉開幕。

(2009年5月7日)

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