今月の本の話題

2012.10.05

ペニーフット・ホテルの面々、悪ガキに悩まされる ペニーフット・ホテル第5弾 ケイト・キングズバリー『支配人バクスターの憂鬱』[2012年10月]

●最新作『支配人バクスターの憂鬱』

「バクスター、まちがいなくあなたは太りだしているわよ」女主人セシリーの言葉に、支配人バクスターはただちに腹を引っこめた。
 ここは紳士淑女御用達の隠れ家、ペニーフット・ホテル。いつになく暑い夏に村もホテルもにぎわうなか、謹厳な支配人バクスターはどういうわけか不機嫌だった。
 新しく雇ったドアマン、アーサーが、宿泊客になれなれしすぎるのだ。苦言を呈したものの、セシリーはとりあおうとしない。アーサーのお世辞は上流階級のご婦人方に人気があるからだ。
 セシリーの親友で未亡人のフィービも、ホテルの、メイド頭のミセスチャッブ、どうやらアーサーに気があるらしい。
 そんなとき、宿泊客のひとりサー・リチャード・モルトンがバルコニーから転落死。ホテル内で起きた事件にセシリーがおとなしくしているはずもない。
 おまけに、亡くなったサー・リチャード・モルトンの忘れ形見スタンリー坊ちゃんは、ただの貴族の子弟ではなかった。
 スタンリーは、とんでもない悪ガキだった! 怪物スタンリー坊ちゃんvs口の悪いメイドのガーティー。
 そして堅物の支配人の憂鬱は深まるばかり……。人気シリーズ第五弾。

『首なし騎士と五月祭』

ここは紳士淑女の御用達の静かな隠れ家、ペニーフット・ホテル。
 そんなホテルの常連客フォーテスキュー大佐が、村のパブで一杯ひっかけての帰り道、道を間違えて迷い込んだ草原で首なし騎士に遭遇。さらに必死で逃げる途中、崖際に立てられた五月祭の柱に縛りつけられた女性の死体を見たというのだ。
 普段から酔っぱらっている大佐の言うこととて、ホテルじゅう探しても本気にする者はなかったが、翌日、ホテルの宿泊客のひとりシェルボーン卿から、妻が行方不明との訴えが。
 近くの森に住みついていたジプシーたちに疑いの目が向けられた。
 もうすぐ五月祭。友人にしてホテルの催し物担当のフィービは村の娘達たちを集めて、メイポールのダンスを必死で覚えさせている。ホテル恒例の五月祭の催しを楽しみに来てくださるお客さまも多いのだ。事件が解決しなければ、催しは中止にされてしまうかもしれない。ジプシーを疑うのはいいが、シェルボーン卿夫妻とふたりの弟とその妻、3組の夫婦の間になにやらトラブルの気配があるではないか。
 ホテルの女主人で勝ち気なセシリーは、どうも納得がいかず、石頭の支配人の心配をよそに、またしても調査を始める。好評シリーズ第4弾。

『マクダフ医師のまちがった葬式』

 紳士淑女御用達の隠れ宿、ペニーフット・ホテルは大忙しだった。
 メイドのガーティーが、もとボーイにしていまや厩の責任者のイアンと結婚するというので、従業員を家族同然に思う女主人のセシリーが、披露宴と舞踏会を開いてくれることになたのだ。
 だが、めでたいことばかりではない。村でも皆に慕われ、ホテルの女主人セシリーが幼いころから世話になっていた老マクダフ医師が亡くなったのだ。
 葬儀をとりしきるのはセシリーの友人フィービの愛息子で牧師のアルジー。
 ところが、その葬儀でとんでもない事件が発生。なんとマクダフ医師の柩のなかにいたのは本人ではなく見知らぬ若い男。しかも心臓を刺されて殺されていた。
 当然葬儀は延期。殺された男は誰でなぜ殺されたのか? 肝腎のマクダフ医師の遺体はどこに?

 今回はホテルとはなんの関係もない事件……のはずだったのだが、セシリーと支配人のバクスター、メイド頭のミセス・チャッブとシェフのミシェル以外には絶対秘密のはずのホテルの献立表が、死体のそばで発見されてしまう。ガーティーの結婚騒ぎでてんやわんやのホテルを尻目に、セシリーは堅物の支配人バクスターの制止を振り切り、犯人捜しに乗り出す決心を固める。

 好評シリーズ第3弾。

『バジャーズ・エンドの奇妙な死体』

 ここはペニーフット・ホテル。鄙びた田舎町バジャーズ・エンドにひっそりと建つ、紳士淑女御用達の隠れ処だ。上流階級に人気の宿で、プライバシーと従業員の口の固さは保証付き。さるやんごとない方も宿泊されるとか、されないとか。
 亡き夫の遺したホテルをけなげに守る、勝ち気で行動的な女主人セシリーと、よく言えば忠実で謹厳実直、悪く言えば堅物で融通がきかない支配人がしっかりと切り盛りしている。

 ところがホテルのあるバージャーズ・エンドで、灯台建設の現場監督が不審死。どうやら現場監督は、死の前にホテルの装花係でセシリーの友人マデラインの家に行ったらしい。
 おまけに、ホテルの元ボーイで、メイドのガーティの恋人イアンとも、なにやら衝突があったあしい……

 静かな町での事件は、ただでさえホテルには痛手なのに、そのうえホテルの関係者がふたりも疑われているとあっては、見過ごすわけにはいかない。メイドの妊娠騒ぎに友人の恋愛騒動、内憂外患をかかえ、ホテルを気丈に切り盛りするセシリーは、支配人バクスターの心配をよそに調査をはじめる。
 古き良き英国の香り漂うシリーズ第2弾。

『ペニーフット・ホテル受難の日』

 ここはペニーフット・ホテル。静かな田舎町バジャーズ・エンドにひっそりと建つ隠れ家のような快適なホテルだ。上流階級に人気の宿で、プライバシーと従業員の口の固さは保証付き。
 そんなホテルで、ひとりの宿泊客の婦人が墜落死した。どうやら屋上庭園から転落したらしい。事故、自殺、それとも?
  ちょうどホテルでは、催しものとして、仮面舞踏会が開かれようとしていた。テーマはなんとアラビアン・ナイト。スルタンも、踊り子たちも、そして余興の目玉ニシキヘビ“ヘンリー”も、準備万端のはず……!?
 宿泊客の墜落死と行方不明の大蛇、相次ぐトラブルに、亡き夫が遺したホテルの名誉と評判を守ろうと、勝ち気で行動的な女主人セシリーが立ちあがり、忠実で謹厳実直な支配人のバクスターとともに、こっそり宿泊客らに事情を聞いてまわるのだが……。

 20世紀初頭、イギリスの保養地にある優雅なホテルで起こる事件の数々と、そこに関わる紳士淑女の人間模様を描くシリーズ第1弾。
(2009年9月7日/2012年10月5日)

 

【2009年3月以前の「本の話題」はこちらからご覧ください】

推理小説の専門出版社|東京創元社
バックナンバー