今月の本の話題

2009.04.20

奇怪な事件と繋がる“この世の秘密”――ジョナサン・キャロル『木でできた海』[2009年4月]

三本脚の犬、失踪した夫婦、そして木製の海。
奇怪な事件と繋がる“この世の秘密”とは?


 『蜂の巣にキス』『薪(たきぎ)の結婚』に登場する町、ニューヨーク州クレインズ・ヴュー。新刊『木でできた海』でも、この小さな町を舞台に、現実と夢幻が交錯する不可思議な物語が展開します。
 減らず口と過去の武勇伝、そして大きな度量と行動力で周囲から信頼されている、前2作でも活躍した警察署長フラニー・マケイブが今回の主人公です。

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 ニューヨーク州の小さな町クレインズ・ヴュー。かつては折紙つきの不良だった警察署長のフラニー・マケイブは、ある日三本脚の老犬〈オールド・ヴァーチュー〉を保護するが、犬は奇妙な目配せを残して彼の目の前で息絶えた。その直後、町の夫婦が謎の失踪を遂げる。彼らの家には、謎めいた美しい羽根が残されていた。
 結局、ヴァーチューをその羽根とともに埋葬するが、そののちなぜか犬の死体と羽根はフラニーの車に戻されていた。そして変死した女子高校生の遺体から、同じ羽根が発見される。しかも彼女が描き残した絵の中には、羽根と〈オールド・ヴァーチュー〉の姿があった。
 いったい誰が、何を企んでいる? 不可解な現象に頭を悩ませるフラニーの前に、あまりにも意外な人物と、“アストペル”と名乗る謎の男が現われる……

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 鬼才キャロルの新たな傑作にして新境地。前2作で登場した(あるいは言及された)クレインズ・ヴューの愛すべき住民たちも、様々な場面で活躍します。勿論この作品からでも充分お楽しみ頂けます。元不良の警官フラニーの爽快な冒険譚、是非ご期待ください。

(2009年4月6日)

 

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