Science Fiction

2016.07.11

アン・レッキー/赤尾秀子訳『叛逆航路』が星雲賞受賞! シリーズ12冠達成![2016年7月]

『叛逆航路』と第二部『亡霊星域』
ファン投票で選ばれる、2016年の第47回星雲賞が決定し、海外長編部門アン・レッキー/赤尾秀子訳『叛逆航路』(創元SF文庫)が受賞しました。著者アン・レッキー氏と訳者の赤尾秀子氏より「受賞のことば」をいただきましたので、下記をご覧ください。

なお、『叛逆航路』単体としては、今春フランス語版が受賞した Prix Bob Morane につづき全世界9冠達成。《叛逆航路》三部作としては、2016年6月に第3部 Ancillary Mercy が受賞したローカス賞SF長編部門につづく全世界12冠達成となります。

また、既刊の『叛逆航路』と第2部『亡霊星域』につづく第3部は、邦題『星群艦隊』として2016年10月下旬に刊行予定です。ご期待ください。

星雲賞は、日本のSF及び周辺ジャンルのアワードとしては最も長い歴史を誇るSF賞です。星雲賞は、前年度に発表された作品および活動の中から、日本SF大会参加者のファン投票により決まります。
第47回星雲賞は、3月26日から5月8日にかけて第55回日本SF大会参加者による投票がおこなわれました。他部門の結果など、星雲賞の詳細は「日本SFファングループ連合会議」公式サイト内の結果発表ページをご覧ください。
星雲賞の結果発表と授与式は、2014年7月9日(土)~10日(日)、三重県鳥羽市の旅館戸田家で開かれた「第55回日本SF大会 いせしまこん」で行われました。詳細は「第55回日本SF大会 いせしまこん」公式サイトをご覧ください。

■ 著者アン・レッキー氏のコメント
 いせしまこんでみなさんとご一緒できず、とても残念です。4月のはるこんには参加させていただき、たくさんの方々とすばらしい時間を過ごすことができました。そしていま、『叛逆航路』 Ancillary Justiceがこのような賞を受賞できたことをたいへん名誉に思い、感激しています。
 わたしは自分が読んで楽しめるような作品を書きたいと思うばかりで、ほかの方にも楽しんでもらえるかどうかの自信はありませんでした。心に浮かんだアイデアをなんとか文字にしようと懸命に仕上げたものが、ほかの方々の心にも届いたとわかる――。これほどうれしいことありません。
 しかし、『叛逆航路』に力を注いだのは、わたしひとりではありません。わたしが英語で書いた Ancillary Justice を、東京創元社が日本で出版できるようにしてくださり、日本語に訳してくれたのは翻訳者の赤尾秀子さんです。
 翻訳という作業は機械的にやればすむ、辞書をひいて単語を置きかえればよい、と思われがちです。でも言語というものは、たとえ近い関係にあっても、それほど簡単には置き換えられません。わたしが英語で表現できたものがほかの言語ではできないこともあれば、英語では思いもしなかったかたちで表現できることもあります。翻訳はアートであり、翻訳者はアーティストだといってよいでしょう。 Ancillary Justice がこのようなすばらしい賞をいただけたのは、日本での出版と日本語訳に携わった方々のご尽力があってこそです。
 ほんとうにありがとうございます。東京創元社と出版にかかわった方々、そして投票してくださった読者のみなさんに、心より感謝申し上げます。

I'm so very sorry I can't be with you right now. I was at Hal-con in April and I had such a wonderful time meeting so many people, and I am so very touched and honored that the voters hold Ancillary Justice in such regard. I wanted so much to write the kind of book that I would love to read, and I could only vaguely hope that anyone else would want to read it, too. It is such a delightful thing, to work so hard at getting an idea out of your mind and onto paper, and then to discover that it has reached other people.
But I'm not alone in working on this book. I wrote in English, but it was Wataru Ishigame of Tokyo Sogensha who made it possible for Ancillary Justice to be published in Japan, and Hideko Akao who translated it into Japanese.
Sometimes people think of translation as an easy, rote process. Just look in a dictionary and replace the words in one language with the equivalent words in another. But languages, even closely related ones, don't work like that. There are things English can do that other languages my book has been translated into can't, and things those other languages can do that I could never even dream of doing in English. Translation is an art, and clearly Hideko Akao is the artist who has not only made it possible for Ancillary Justice to be read in Japanese, but did it so well that the voters have honored it with this award.
I thank you all so much. Many, many thanks to Wataru Ishigame and Tokyo Sogensha, and most of all thanks to Hideko Akao.

■ 訳者、赤尾秀子氏のコメント
 Ancillary Justice は著者アン・レッキーさんの思いがこもった作品であり、その邦訳にかかわることができたのをたいへん光栄に思っています。と同時に、訳者まで賞をいただけることに、ただただ恐縮するばかりです。訳出にあたってはたくさんの方々にご教示を仰ぎ、編集や校正の方にも数多くの貴重なご指摘をいただきました。
『叛逆航路』が星雲賞を受賞できたのは、原著のすばらしさはいうまでもなく、邦訳版刊行にかかわった方たち、そしてつたない訳をものともせず原著の魅力を感じとってくださった読者のみなさんのおかげです。投票してくださった方々には、感謝のことばもありません。
 3巻めとなる『星群艦隊』は、巻末に短編をひとつ加え、秋の刊行をめざして鋭意制作中です。少しでも楽に読んでいただけるよう、精一杯努めたいと思っています。
 ほんとうにありがとうございました。

(2016年7月11日)



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