Science Fiction

2014.07.19

ピーター・ワッツ/嶋田洋一訳『ブラインドサイト』星雲賞受賞のことば(動画あり)[2014年7月]

 日本SF大会参加者が選ぶ2014年(第45回)の星雲賞が決定し、海外長編部門ピーター・ワッツ/嶋田洋一訳『ブラインドサイト』(創元SF文庫)が受賞しました。

ブラインドサイト
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 他部門の受賞作など詳細は「日本SFファングループ連合会議」内の公式ページをご覧ください。

発表と贈賞は、2014年7月19日(土)~20日(日)、茨城県のつくば国際会議場で開かれる「第53回日本SF大会 なつこん」で行われました。詳細は「なつこん」公式サイトをご覧ください。


■ 著者、ピーター・ワッツ氏のコメント



『ブラインドサイト』は最初に英語で刊行され、五つの主要SF賞の候補になりましたが、受賞できた数はゼロでした。

 ところが、翻訳された『ブラインドサイト』は、フランス、フィンランド、ロシア、スペインで、またポーランドでは二つか三つと、各国で賞を受賞し――今度は日本です。単なる自慢ではなく、ここには興味深いパターンが見られます。翻訳者はわたしの作品に、それぞれの言語で、わたしが自分の言語ではできないことをしているようです。つねに賞が取れるレベルまで、作品を“改良”してくれるのです。『ブラインドサイト』のような難解な作品で、これは実に驚くべきことだといえます。実際、わたしは以前、いつになったら『ブラインドサイト』は英語に翻訳されるのかと尋ねられたことがあります。

『ブラインドサイト』の星雲賞受賞を名誉に思います。この栄誉にともなうプレートなり、賞状なり、ほんわかした温かい気分なりを、喜んで受け取らせていただきます。ただ、その栄誉の多く、たぶん大部分は、翻訳者である嶋田洋一氏のものでしょう。きわめて実質的な意味で、わたしのキャリアの多くは彼のような人々のおかげなのです。

 当然、同じ理屈で、姉妹編のEchopraxiaがコケたら、少なくとも半分は彼のせいです。

 今はただ、彼に心からの感謝を表明するばかりです。版元の東京創元社にも感謝を。そして、わたしたちの作品を気に入ってくれた、みなさんすべてに感謝します。

(嶋田洋一訳)


■ 訳者、嶋田洋一氏のコメント

 第53回日本SF大会「なつこん」の実行委員会から、2014年の星雲賞(海外長編部門)を拙訳の『ブラインドサイト』が受賞することになったと連絡をいただきました。

 なにぶんにも難解な作品で、いろいろな方の助言を仰ぎ、一人ではとても翻訳できなかったと思っていますので、何だか申し訳ないような気分です。訳者としての受賞は、『ブラインドサイト』の翻訳に関与したすべての方々を代表してのものだと思っています。

 翻訳に苦労しただけに、あちこちで「星雲賞狙ってます」と(なかばギャグで)アピールしてきましたが、正直、受賞できるとは思っていませんでした。参考作として挙げられていたどの作品が受賞しても納得できるほど、2013年は海外SF長編豊作の年だったと思います。4月に著者のピーター・ワッツ氏が「はるこん」のゲスト・オヴ・オナーとして来日したのが、ずいぶん受賞の力になったのではないでしょうか。

 姉妹編のEchopraxiaも、来年には翻訳に取りかかる予定です。今後とも精進を重ねていきたいと思います。本当にありがとうございました。

(2014年7月19日)



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