今月の本の話題Science Fiction

2016.01.01

【新年特別企画】2016年 東京創元社 SF・ファンタジイ作品ラインナップのご案内

あけましておめでとうございます。
今年刊行予定のSF・ファンタジイ作品ラインナップをご案内いたします。読書計画の参考としていただければ幸いです。
ここに紹介した以外にも新作や名作の復刊・新訳など、東京創元社は今年も続々と良質のSF・ファンタジイをご紹介してまいります。
本年もご愛読のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
(タイトルは一部を除き仮題です)


《創元日本SF叢書》(四六判仮フランス装)
山田正紀『カムパネルラ』
気がつくと僕は、80年前――1933年の花巻にいた。宮沢賢治の研究者だった、母の遺骨を手にして。今なら、死亡する前の宮沢賢治に会える、『銀河鉄道の夜』を書いた彼に――。平凡な高校生の「僕」は、交通事故のショックから時空を超えて、宮沢賢治を巡る殺人事件に遭遇してしまう。時空と物語の枠を超えて贈る長編SF。

円城塔短編集
2008年の年刊日本SF傑作選『虚構機関』に収録された第50回群像新人文学賞二次選考通過作「パリンプセスト あるいは重ね書きされた八つの物語」と翌2009年刊の同傑作選『超弦領域』に収録された数学ハードSF「ムーンシャイン」の2編に、書き下ろしの3編を加えた理数SF短編集。


《創元海外SF叢書》(四六判仮フランス装)
マーク・ホダー『月の山脈と世界の終わり』Expedition to the Mountains of the Moon(《大英帝国蒸気奇譚》三部作)/金子司 訳(1月下旬刊行)
新鋭飛行船で〈月の山脈〉を目指す1863年のバートンと、従軍記者H・G・ウェルズとともに20世紀終末戦争の世界をさまよう記憶喪失の男。2つの時間線が交わるとき、最悪の時空パラドックスの真相が明らかに。世界線の分岐を食い止め、人類の滅亡を防ぎ時間の流れを正常に戻すため、バートンがくだす究極の決断とは? ディック賞受賞のスチームパンク時間SF、驚愕の三部作完結編。

ウィル・ワイルズ(Will Wiles)『ウェイ・イン』The Way Inn/茂木健 訳
出口のないホテル、謎の支配人、壁に掛けられた異様な抽象画、そして運命の女――他人の名前でホテルを渡り歩く男が遭遇する異様な一夜に始まる恐怖。J・G・バラード『ハイ‐ライズ』+スティーヴン・キング『シャイニング』ともいうべき巨大建築幻想譚!


創元SF文庫の注目作
叛逆航路
アン・レッキー
『亡霊星域』Ancillary Sword/赤尾秀子 訳(4月刊行予定)
『アンシラリー・マーシー』Ancillary Mercy/赤尾秀子 訳
ついに内戦が勃発したラドチ圏。宿敵アナーンダにより艦隊司令官に任じられたブレクは、オーン副官の妹が住む星系の防衛に赴く。無人の星域にしか繋がらないはずの“ゴースト・ゲート”があるこの星系では、内戦に加えて現地住民の不穏な動きまで見せていた。二重三重の陰謀に囲まれたブレクは、己の“正義”を貫けるか? ヒューゴー賞・ネビュラ賞ほか7冠制覇の『叛逆航路』につづく、本格宇宙SFのニュー・スタンダード、待望の第2弾。

汝、コンピューターの夢
ジョン・ヴァーリイ『さようなら、ロビンソン・クルーソー』EIGHT WORLDS COLLECTION volume 2/浅倉久志・大野万紀 訳(2月中旬刊行)
時は夏。ピリは二度目の幼年期を迎えていた―――冥王星でのバカンスを楽しむ少年少女の長い夏休みとそこからの卒業を鮮やかに描く表題作をはじめ、6編を収録。超越知性の侵略により地球を追放された人類が太陽系各地に進出し、身体改変や性別変更、記憶の保存や移植までもが自由となった未来を描く〈八世界〉シリーズ全短編集、『汝、コンピューターの夢』につづく第2弾。

ブラインドサイト 下
ブラインドサイト 上
ピーター・ワッツ『エコプラクシア』Echopraxia/嶋田洋一 訳
太陽系外縁で見つかった、謎の恒星間文明の信号源。その探査に向かい消息を絶った宇宙船からの、最後の通信。そこに秘められた情報をめぐり、研究所から脱走した意識を持たない“吸血鬼”と集合知性教団が動き出す。星雲賞受賞『ブラインドサイト』の鬼才が“意識”と“自由意志”の本質を問う、究極のハードSF。


ファンタジイ単行本の注目作
乾石智子『滅びの鐘』
北国カーランディア。建国以来、魔法の才をもつカーランド人と、征服民アアランド人がなんとか平和に暮らしてきた。だが、現王のカーランド人虐殺により、平和は消え去った。怒りに燃える大魔法使いが、平穏の象徴であった鐘を打ち砕いたのだ。そして闇の歌い手と魔物をも解き放ってしまった。闇を封じることができるのは、古の魔が歌のみ。『夜の写本師』の著者が長年温めてきたテーマを圧倒的なスケールと筆致で送る、本格ファンタジーの金字塔。

エドワード・ケアリー(Edward Carey)『堆塵館』Heap House/古屋美登里 訳
ロンドンにある〈堆塵館〉は、ゴミで材をなしたアイアマンガー一族の広大な屋敷だ。屋敷の裏手には百年以上にわたって集められたロンドンじゅうのゴミが山となって広大な敷地を占領している。屋敷では、一族数百人がひとつ屋根の下で暮らしている。屋敷の地上階に暮らしているアイアマンガーたちは屋敷から出ることをゆるされず、彼らに使える召使いたちもみな一族の遠い縁戚にあたる。アイアマンガー一族は生まれるとすぐに何か品物をひとつ与えられ、生涯持ち続けるのだ。バースオブジェクトという。そんなアイアマンガーのひとり、クロッドには、品物の声が聞こえるという特殊な力があった……。読書人の話題をさらった『望楼館追想』の著者が贈る奇書中の奇書。

ショーン・ステュアート(Sean Stewart)『モッキンバード』Mockingbird/鈴木潤 訳
これはわたしが母親になるまでの物語。娘であることから、娘を持つ母親になるまでの。その旅は母を埋葬した日にはじまった――不思議な力を持ち奔放に生きた母とは逆に、真面目に堅実に生きてきたわたし。その母が亡くなったとき、遺言で彼女の力を受け継いだのは妹ではなく、なぜかわたしで……。母娘、姉妹、家族をめぐる人々の絆を、深く伝える物語。世界幻想文学大賞・ネビュラ賞候補作。


創元推理文庫(F)のファンタジイ注目作
羽角曜『影王の都』
・内容紹介:両親が亡くなりひとり残された少女リアノのもとにやってきたのは、口をきく髑髏。図々しいことにそいつは砂漠に連れて行って欲しいと求めた。だが、砂漠で待っていたのは〈影王〉が統べる呪われた都。神の怒りにふれ、永遠に砂漠を彷徨う運命となったという伝説の都だった。ねじれた運命の糸に絡め取られるリアノ。〈影王〉とは何者なのか。第一回創元ファンタジイ新人賞選考委員特別賞受賞作。

廣嶋玲子『妖怪の子預かります 1』
弥助は十二歳。養い親と共におんぼろ長屋で平和に暮らしていたが、ある夜いきなり妖怪にさらわれ、妖怪奉行所につれていかれる。弥助が割ってしまった石が、子預かり妖怪うぶめの住まいだったというのだ。妖怪の御奉行に、「新たな住まいが見つかりうぶめが戻るまで、妖怪子預かり屋になれ」と命ぜられるが……。心温まるお江戸妖怪ファンタジイ。

真園めぐみ『玉妖綺譚 1』
異界と現実世界とのあいだの “はざま”で産する竜卵石は妖力をもち、玉妖と呼ばれる精霊を宿す。なかでもその美しさ、知性から伝説的な存在とされるのが、 “難波コレクション”の七つの玉妖たちだ。修行中の駆妖師・彩音は、そのひとつ〈くろがね〉を受け継いでいた。だが、たった一人の身内である姉が玉妖に魅入られてしまった。彩音は姉を取りもどそうとするが……。創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞作。

オーリエラントの魔道師たち
乾石智子『オーリエラントの魔道師たち』(文庫化)
人はいかにして魔道師となるのか……。女たちの密かな魔法組織を描く「闇を抱く」、死体を用いる姿なきプアダンの魔道師の復讐譚「黒蓮華」、魔道ならざる魔道をあやつるもうひとりの夜の写本師の物語「魔道写本師」の、単行本収録中3編に書き下ろし「陶工魔道師」を加えた四編を収録。著者の初短編集文庫化。

佐藤さくら『魔導の系譜』
魔導士が忌み嫌われる国ラバルタ。豊かな才能を持つものの、どうしても魔導が習得できず見放されかけていた孤児の少年ゼクスは、三流魔導士レオンのもとに弟子入り、レオンの忍耐と独特の教え方が実り、ようやく心をひらき、力を伸ばし始めた。だが、その才を認められ、力ある魔道師が集まる〈鉄の砦〉に行ったゼクスは、否応なく内乱の渦に巻きこまれてゆく。創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞作。

星の羅針盤
遠藤文子『星の羅針盤〈サラファーンの星1〉』(文庫版)
人間の六つの王国と神秘に包まれた種族フィーンの王国は、長いこと平和のうちに栄えていた。だがフィーンのもとから大いなるダイヤモンドが奪われると、戦の暗い影が世界を覆いはじめる。戦火の迫る故国を脱し、家族とともに母の故郷の村に身を寄せていたリーヴは、村はずれの森で紫の瞳をもつ不思議な少女に出会った。世界の運命を変えることになる出会い……。平和を願い暗黒に立ち向かう少女の姿を描いた、異世界ファンタジー。

キャサリン・アディスン(Katherine Addison)『ゴブリン・エンペラー』The Goblin Emperor/和爾桃子 訳
内容紹介:父であるエルフ帝国皇帝にうとまれ、片田舎に追いやられていた第四皇子マヤのもとに、ある夜、宮廷からの急使が訪れた。皇帝と異母兄皇子の乗った飛行船が墜落、全員が帰らぬ人となったというのだ。突然、帝位継承者となったマヤ。だが宮殿で彼を見る人々の目は冷たい。マヤがゴブリンとの混血だったからだ。権謀術数渦巻く宮廷で、若き皇帝は生き残ることができるのか? 2015年ローカス賞受賞の傑作ファンタジイ。

ヘスター・ブラウン(Hester Browne)『逃げ出したプリンセス』 The Runaway Princess/今泉敦子 訳
・内容紹介:ガラスの靴とロイヤルウェディングの物語を主食に育った女の子たちの多くがそうであるように、わたしもかつてはプリンセスは生まれながらにプリンセスなのであって、あとからなるものではないと思っていた。そう、あの日までは……。ヨークシャーから出てきてロンドンで庭師をしている女の子が、ある日出会ったのは理想の彼、あっという間に意気投合した二人だったが……。スウィートでビターな、これぞ現代版シンデレラストーリー。



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