Science Fiction
2011.09.15
「平田真夫/森山安雄の挑戦――ゲームブック『展覧会の絵』から小説『水の中、光の底』へ」平田真夫/森山安雄×岡和田晃(1/4)[2011年9月]
■特別寄稿 平田真夫インタビュー
平田真夫/森山安雄の挑戦
――ゲームブック『展覧会の絵』から小説『水の中、光の底』へ
平田真夫(SF作家)/森山安雄(ゲームブック作家)
× 岡和田晃(SF評論家/ゲームライター)
■はじめに 岡和田晃
東京創元社から連作小説集『水の中、光の底』を刊行された平田真夫さんにお話を伺います。
平田さんは本書が文芸書として初の作品集ということですが、1987年に森山安雄の名義で『展覧会の絵』というゲームブックを創元推理文庫から発表されており、それで平田さんを知った方も多いかも知れません。かくいう私もそうでした。ただ私個人はいわゆる「ゲームブック直撃世代」よりも少し後の世代で、94年頃から遡って、社会思想社の現代教養文庫や創元推理文庫などのゲームブックをかき集め、貪り読んだものでした。その過程で出会ったのが『展覧会の絵』で、本当に魅了されました。
印象的な題名と米田仁士さんのイラストに惹かれて購入したのですが、独特の読後感がありました。『展覧会の絵』は、ゲームブックやRPGを扱う月刊誌〈ウォーロック〉(社会思想社)の人気投票で非常に高く評価されましたが、それも充分理解できます。その後同作は、読者の熱い要望のもと2002年に創土社から復刊されました。
そして、25年近く経って発表された『水の中、光の底』にも『展覧会の絵』と相通じる叙情、実験精神、ひいてはある種の新しさがあると感じました。
今回はこの両作品を通じて、平田さん/森山さんの創作の秘密を伺いたいと思います。
■矢野徹、〈ポプコム〉、新井素子
岡和田 ゲーム仲間に『展覧会の絵』について訊いてみました。軽く尋ねただけで、周囲のアナログゲームファン20名以上から「あれは面白かった」という声があがりました。
平田真夫 ありがとうございます。
岡和田 「いったい何が面白かったのか」と突き詰めると、『展覧会の絵』の豊穣なイメージ、というところに行き着ます。
ゲームブックを好きな人たちと『火吹山の魔法使い』(社会思想社・現代教養文庫、のちに扶桑社文庫より復刊)をはじめとする名作ゲームブックについてよく話すのですが、彼らの多くは「死体に混ざった食屍鬼(グール)に不意を打たれた」とか「最後の鍵が合わずに力尽きた」など、具体的な冒険のディテールについて語ることが多い。ところが『展覧会の絵』については正反対で、音楽や絵画を受容したあとに近い、ある種のイメージを読者に強く残した、という印象です。
これはもちろん、当時として、そしておそらく今も異例であろう「ムソルグスキーやラヴェルの音楽を題材にしたゲームブック作品」だということも関わっているのでしょう。こうした幻想性は、どこまで意図して盛り込まれたのでしょうか。
平田 これは私の経歴とも関わってきますので、長くなりますが改めて自己紹介を。
もともとゲームブックについては素人です。『水の中、光の底』の著者紹介にもあるとおり、商業誌でのスタートは〈SFマガジン〉84年11月号に掲載された「マイ・レディ・グリーン・スリーヴス」(http://www.hirata-koubou.com/sf/novel/green.html)でした。これは純然たるアイデアSFでした。
岡和田 北海道で行われた日本SF大会(1984年、EZOCON2)の「SFコンテスト」で入選した短編ですね。
平田 その後、小学館の〈ポプコム〉というパソコン雑誌(1983~94年)が「欄外アドベンチャーゲーム」という企画を立て、そのときSF翻訳家・作家の矢野徹さん(1923~2004年)に「誰か出来る人はいないか」と相談がありました。当時はじまったばかりの分野だったこともあって、たまたま親交のあった私にご連絡をいただいたのです。
岡和田 なるほど、創土社版『展覧会の絵』に矢野徹さんが解説を寄せていらしたのには、そういう背景がありましたか。
矢野徹さんは還暦を過ぎてからアナログゲーム紹介の第一人者である安田均さんの『SFファンタジィ・ゲームの世界』(青心社)を読んで、コンピュータ・ゲームの「ウィザードリィ」を遊びはじめた方です。この経緯は『ウィザードリィ日記』(角川文庫)に書かれています。ゲーマーなら誰しも共鳴する熱い本です。
平田 矢野さんの紹介を受けて、まったくの素人だった私は、編集の方に会う前に研究しておかなくてはと思い、『火吹山』などを読み、このジャンルは新しい小説の形式になりうると思ったのです。
ただし、まだ小説の方法論、つまりストーリーを重視した構成、最終的な結末の意外性などまで出来ている作品はないんじゃないか。少なくとも当時、私は見つけられなかった。
そこで〈ポプコム〉の編集長に話したんです。私は決して小説のプロではないですが、お仕事をいただけるなら、小説の方法論を取り入れて、世界観をきちんとつくり、ストーリーを重視し、結末にいわゆる「落ち」を付けたいと。
岡和田 ゲームそのものには親しんでいらしたのですか?
平田 ファミコンすら持っていませんでした。東京工業大学SF研究会の出身ですから当然、小説や漫画、映画が中心です。会話型のRPGも存在を知っているだけでした。ゲームについては素人、アウトサイダーです。
つまり〈ポプコム〉の連載(1986年中に全6話を発表)は、「ゲームを全然知らない門外漢が、新しい小説の形式としてこのジャンルを捉え、ゲームシステムは後付けで勉強して手探りで書いた」ものです。
岡和田 ボードゲームやカードゲームなどは?
平田 チェスと将棋は好きでしたし、今も好きです。カードは普通のトランプしか知りません。
岡和田 失礼ですが、ゲームをあまりご存知なかったのに、なぜ矢野さんは「この人ならできる」と思われたのでしょうか。
平田 わかりません。「グリーン・スリーヴス」であるていど力を認めていただいたのかも知れませんが、当時はアドベンチャーゲーム自体が黎明期だったので、とりあえず紹介していただけただけかも知れません。
岡和田 EZOCON2が84年7月、ゲームブック『火吹山の魔法使い』の日本語版発売が同年12月。『火吹山』は200万部以上を売り上げたといいます。平田さんの〈ポプコム〉での連載が始まった86年の年末には社会思想社からゲームブック専門誌〈ウォーロック〉が創刊されました。〈ウォーロック〉も創刊時に読売新聞に広告が打たれたといいます。この頃すでに、ゲームブックは大きなブームになっていました。
ところで「マイ・レディ・グリーン・スリーヴス」は、アイデアSFとおっしゃいましたが、アイデアの背景にある叙情性に惹かれます。『水の中、光の底』の帯に推薦文を寄せられた梶尾真治さんの『おもいでエマノン』(徳間デュアル文庫)や、レスター・デル・リイの「愛しのヘレン」(光文社刊『ロボット・オペラ』所収)を連想しました。アイデアSF的な、ある種の工学的世界へ叙情的な感情移入を促す筆致というのは、矢野徹さんの『ウィザードリィ日記』とも相通じる部分があるかも知れません。
平田 抒情性については、当時は新井素子さんがとても人気があり、私も好きだったこと、それとホームページの私のイラストをご覧いただければわかりますが、私が少女漫画のファンだったことも関係します。
岡和田 それはよくわかるような、はたまた意外でもあるような(笑)
■『展覧会の絵』ができるまで
平田 ストーリー性、抒情性重視のつもりで書いた第1作「新世界から」が〈ポプコム〉(86年2月号)に載ります。いま見ると未熟な作品ですが、このジャンルに飢えていたファンの支持を受けたらしく、同誌での人気投票結果も悪くありませんでした。
岡和田 読みたい人が多いなかで、書ける人がいなかったのでしょうね。
平田 そうだったのかも知れませんね。その作品の反省と失敗点の修正を踏まえて第2作「昔々……」(86年4月号)を発表したんですが、これはすごく受けたんです。前作で手探りだったのが少しわかってきて、ゲームシステムを大幅に改善した成果だと思います。なんと矢野さんには、編集長から「いい人を紹介してくれた」とお礼の電話が行ったそうです。
岡和田 「昔々……」につづく「待祭の旅」(86年5月号)は伝説になっています。現在ゲームブックを精力的に出版し、イギリスに働きかけて翻訳している“FT書房”という団体があるのですが、彼らも絶賛していました。
平田 「待祭の旅」については、私自身がトランプの収集家だったこともあって、システムに工夫を施したものです。あれは、じつは何処かの女子高から編集部に、「文化祭の劇にしたい」という連絡があったそうです。その後どうなったのかわかりませんが、ストーリー重視の小説としても認められたと、心強く思いました。
岡和田 「待祭の旅」の演劇化、ぜひ見てみたいですね。それにしても平田さんがトランプの収集家だったとは。
平田 美術品としてコレクションしているんです。ゲームはしないのに(笑)。
岡和田 タロットはいかがですか?
平田 自分でつくるぐらい好きです。私のサイトに、矢野さんが翻訳したフランク・ハーバートの《デューン》シリーズをベースにした「デューン・タロー」(http://www.hirata-koubou.com/sf/dune/tarot/tarot.html)というのを上げてありますので、ぜひご覧ください。
岡和田 おお。かっこいいですね。
平田 85年からゲームブックを出しはじめていた東京創元社が、新しい日本人の書き手を探していました。ここでも矢野さんに相談が行き、私が紹介されたのです。もう自慢してもかまいませんよね(笑)、編集の方のお話では「矢野さんが絶賛していた」とのことでした。
岡和田 当時の東京創元社は、《ソーサリー》(現在は創土社から復刊)や《ゴールデン・ドラゴン・ファンタジー》シリーズなどの翻訳ゲームブックの名作シリーズを出版して支持を得ており、日本人による作品も出しはじめていました。
平田 はじめは東京創元社側で企画を用意していて、それを私に依頼する予定だったようです。ただまあ、行くからには自分のアイデアも持っていくかと思い、「じつは」と言って『展覧会の絵』の草案を話したんです。
岡和田 持ち込みだったんですね。結果として、それがゲームブックとしてのオリジナル作品に繋がった。
平田 そのときは「ムソルグスキーの組曲とその逸話を使った連作で、最後に主人公が『展覧会の絵』を作曲する」という程度の紹介でした。そうしたら「なんだか面白そうだから企画書にしてくれないか」と言われ、あらすじを文章にして提出したら通ったんです。
■ 平田真夫(ひらた・まさお)
1958年1月6日、東京都生まれ。83年、東京工業大学大学院理工学研究科化学専攻修士修了。在学中は東京工業大学SF研究会に所属。84年、日本SF大会EZOCON2主催の小説賞「エゾコンSFコンテスト」に「マイ・レディ・グリーン・スリーヴス」が入選し〈SFマガジン〉に掲載された。86年、小学館発行のパソコン雑誌〈ポプコム〉にアドベンチャーゲームを連載。87年には、森山安雄名義でゲームブック『展覧会の絵』(創元推理文庫)を発表。同書は当時刊行されていた社会思想社発行のゲームブック専門誌〈ウォーロック〉誌上で毎月開催された「読者による人気投票」の第1位を長らく獲得しつづけた。2011年3月発売の『水の中、光の底』は、文芸書での初めての書籍となった。公式サイト「アトリエ平田工房」(http://www.hirata-koubou.com/)。
■ 岡和田晃(おかわだ・あきら)
1981年、北海道生まれ。2004年、早稲田大学第一文学部文芸専修卒業。2010年「「世界内戦」とわずかな希望――伊藤計劃『虐殺器官』へ向き合うために」で第5回日本SF評論賞優秀賞を受賞。ほかに、佐藤亜紀『ミノタウロス』解説(講談社文庫)、「柴野拓美のメソドロジー――『「集団理性」の提唱』再読」(〈SF Japan〉2010 Autumn)、「救済なき救済の相(かたち)――《新しい太陽の書》小論」(〈SFマガジン〉2011年9月号)等。またRPG《ダンジョンズ&ドラゴンズ》、《ウォーハンマーRPG》シリーズの翻訳・紹介を手がける。現在〈Role&Roll〉誌上で「戦鎚傭兵団の中世“非”幻想事典」を連載中。新たなプロジェクト「Analog Game Studies」(http://analoggamestudies.seesaa.net/)を主宰。
SF|東京創元社
平田真夫/森山安雄の挑戦
――ゲームブック『展覧会の絵』から小説『水の中、光の底』へ
平田真夫(SF作家)/森山安雄(ゲームブック作家)
× 岡和田晃(SF評論家/ゲームライター)
■はじめに 岡和田晃
東京創元社から連作小説集『水の中、光の底』を刊行された平田真夫さんにお話を伺います。
平田さんは本書が文芸書として初の作品集ということですが、1987年に森山安雄の名義で『展覧会の絵』というゲームブックを創元推理文庫から発表されており、それで平田さんを知った方も多いかも知れません。かくいう私もそうでした。ただ私個人はいわゆる「ゲームブック直撃世代」よりも少し後の世代で、94年頃から遡って、社会思想社の現代教養文庫や創元推理文庫などのゲームブックをかき集め、貪り読んだものでした。その過程で出会ったのが『展覧会の絵』で、本当に魅了されました。
印象的な題名と米田仁士さんのイラストに惹かれて購入したのですが、独特の読後感がありました。『展覧会の絵』は、ゲームブックやRPGを扱う月刊誌〈ウォーロック〉(社会思想社)の人気投票で非常に高く評価されましたが、それも充分理解できます。その後同作は、読者の熱い要望のもと2002年に創土社から復刊されました。
そして、25年近く経って発表された『水の中、光の底』にも『展覧会の絵』と相通じる叙情、実験精神、ひいてはある種の新しさがあると感じました。
今回はこの両作品を通じて、平田さん/森山さんの創作の秘密を伺いたいと思います。
■矢野徹、〈ポプコム〉、新井素子
岡和田 ゲーム仲間に『展覧会の絵』について訊いてみました。軽く尋ねただけで、周囲のアナログゲームファン20名以上から「あれは面白かった」という声があがりました。
平田真夫 ありがとうございます。
岡和田 「いったい何が面白かったのか」と突き詰めると、『展覧会の絵』の豊穣なイメージ、というところに行き着ます。
ゲームブックを好きな人たちと『火吹山の魔法使い』(社会思想社・現代教養文庫、のちに扶桑社文庫より復刊)をはじめとする名作ゲームブックについてよく話すのですが、彼らの多くは「死体に混ざった食屍鬼(グール)に不意を打たれた」とか「最後の鍵が合わずに力尽きた」など、具体的な冒険のディテールについて語ることが多い。ところが『展覧会の絵』については正反対で、音楽や絵画を受容したあとに近い、ある種のイメージを読者に強く残した、という印象です。
これはもちろん、当時として、そしておそらく今も異例であろう「ムソルグスキーやラヴェルの音楽を題材にしたゲームブック作品」だということも関わっているのでしょう。こうした幻想性は、どこまで意図して盛り込まれたのでしょうか。
平田 これは私の経歴とも関わってきますので、長くなりますが改めて自己紹介を。
もともとゲームブックについては素人です。『水の中、光の底』の著者紹介にもあるとおり、商業誌でのスタートは〈SFマガジン〉84年11月号に掲載された「マイ・レディ・グリーン・スリーヴス」(http://www.hirata-koubou.com/sf/novel/green.html)でした。これは純然たるアイデアSFでした。
岡和田 北海道で行われた日本SF大会(1984年、EZOCON2)の「SFコンテスト」で入選した短編ですね。
平田 その後、小学館の〈ポプコム〉というパソコン雑誌(1983~94年)が「欄外アドベンチャーゲーム」という企画を立て、そのときSF翻訳家・作家の矢野徹さん(1923~2004年)に「誰か出来る人はいないか」と相談がありました。当時はじまったばかりの分野だったこともあって、たまたま親交のあった私にご連絡をいただいたのです。
岡和田 なるほど、創土社版『展覧会の絵』に矢野徹さんが解説を寄せていらしたのには、そういう背景がありましたか。
矢野徹さんは還暦を過ぎてからアナログゲーム紹介の第一人者である安田均さんの『SFファンタジィ・ゲームの世界』(青心社)を読んで、コンピュータ・ゲームの「ウィザードリィ」を遊びはじめた方です。この経緯は『ウィザードリィ日記』(角川文庫)に書かれています。ゲーマーなら誰しも共鳴する熱い本です。
平田 矢野さんの紹介を受けて、まったくの素人だった私は、編集の方に会う前に研究しておかなくてはと思い、『火吹山』などを読み、このジャンルは新しい小説の形式になりうると思ったのです。
ただし、まだ小説の方法論、つまりストーリーを重視した構成、最終的な結末の意外性などまで出来ている作品はないんじゃないか。少なくとも当時、私は見つけられなかった。
そこで〈ポプコム〉の編集長に話したんです。私は決して小説のプロではないですが、お仕事をいただけるなら、小説の方法論を取り入れて、世界観をきちんとつくり、ストーリーを重視し、結末にいわゆる「落ち」を付けたいと。
岡和田 ゲームそのものには親しんでいらしたのですか?
平田 ファミコンすら持っていませんでした。東京工業大学SF研究会の出身ですから当然、小説や漫画、映画が中心です。会話型のRPGも存在を知っているだけでした。ゲームについては素人、アウトサイダーです。
つまり〈ポプコム〉の連載(1986年中に全6話を発表)は、「ゲームを全然知らない門外漢が、新しい小説の形式としてこのジャンルを捉え、ゲームシステムは後付けで勉強して手探りで書いた」ものです。
岡和田 ボードゲームやカードゲームなどは?
平田 チェスと将棋は好きでしたし、今も好きです。カードは普通のトランプしか知りません。
岡和田 失礼ですが、ゲームをあまりご存知なかったのに、なぜ矢野さんは「この人ならできる」と思われたのでしょうか。
平田 わかりません。「グリーン・スリーヴス」であるていど力を認めていただいたのかも知れませんが、当時はアドベンチャーゲーム自体が黎明期だったので、とりあえず紹介していただけただけかも知れません。
岡和田 EZOCON2が84年7月、ゲームブック『火吹山の魔法使い』の日本語版発売が同年12月。『火吹山』は200万部以上を売り上げたといいます。平田さんの〈ポプコム〉での連載が始まった86年の年末には社会思想社からゲームブック専門誌〈ウォーロック〉が創刊されました。〈ウォーロック〉も創刊時に読売新聞に広告が打たれたといいます。この頃すでに、ゲームブックは大きなブームになっていました。
ところで「マイ・レディ・グリーン・スリーヴス」は、アイデアSFとおっしゃいましたが、アイデアの背景にある叙情性に惹かれます。『水の中、光の底』の帯に推薦文を寄せられた梶尾真治さんの『おもいでエマノン』(徳間デュアル文庫)や、レスター・デル・リイの「愛しのヘレン」(光文社刊『ロボット・オペラ』所収)を連想しました。アイデアSF的な、ある種の工学的世界へ叙情的な感情移入を促す筆致というのは、矢野徹さんの『ウィザードリィ日記』とも相通じる部分があるかも知れません。
平田 抒情性については、当時は新井素子さんがとても人気があり、私も好きだったこと、それとホームページの私のイラストをご覧いただければわかりますが、私が少女漫画のファンだったことも関係します。
岡和田 それはよくわかるような、はたまた意外でもあるような(笑)
■『展覧会の絵』ができるまで
平田 ストーリー性、抒情性重視のつもりで書いた第1作「新世界から」が〈ポプコム〉(86年2月号)に載ります。いま見ると未熟な作品ですが、このジャンルに飢えていたファンの支持を受けたらしく、同誌での人気投票結果も悪くありませんでした。
岡和田 読みたい人が多いなかで、書ける人がいなかったのでしょうね。
平田 そうだったのかも知れませんね。その作品の反省と失敗点の修正を踏まえて第2作「昔々……」(86年4月号)を発表したんですが、これはすごく受けたんです。前作で手探りだったのが少しわかってきて、ゲームシステムを大幅に改善した成果だと思います。なんと矢野さんには、編集長から「いい人を紹介してくれた」とお礼の電話が行ったそうです。
岡和田 「昔々……」につづく「待祭の旅」(86年5月号)は伝説になっています。現在ゲームブックを精力的に出版し、イギリスに働きかけて翻訳している“FT書房”という団体があるのですが、彼らも絶賛していました。
平田 「待祭の旅」については、私自身がトランプの収集家だったこともあって、システムに工夫を施したものです。あれは、じつは何処かの女子高から編集部に、「文化祭の劇にしたい」という連絡があったそうです。その後どうなったのかわかりませんが、ストーリー重視の小説としても認められたと、心強く思いました。
岡和田 「待祭の旅」の演劇化、ぜひ見てみたいですね。それにしても平田さんがトランプの収集家だったとは。
平田 美術品としてコレクションしているんです。ゲームはしないのに(笑)。
岡和田 タロットはいかがですか?
平田 自分でつくるぐらい好きです。私のサイトに、矢野さんが翻訳したフランク・ハーバートの《デューン》シリーズをベースにした「デューン・タロー」(http://www.hirata-koubou.com/sf/dune/tarot/tarot.html)というのを上げてありますので、ぜひご覧ください。
岡和田 おお。かっこいいですね。
平田 85年からゲームブックを出しはじめていた東京創元社が、新しい日本人の書き手を探していました。ここでも矢野さんに相談が行き、私が紹介されたのです。もう自慢してもかまいませんよね(笑)、編集の方のお話では「矢野さんが絶賛していた」とのことでした。
岡和田 当時の東京創元社は、《ソーサリー》(現在は創土社から復刊)や《ゴールデン・ドラゴン・ファンタジー》シリーズなどの翻訳ゲームブックの名作シリーズを出版して支持を得ており、日本人による作品も出しはじめていました。
平田 はじめは東京創元社側で企画を用意していて、それを私に依頼する予定だったようです。ただまあ、行くからには自分のアイデアも持っていくかと思い、「じつは」と言って『展覧会の絵』の草案を話したんです。
岡和田 持ち込みだったんですね。結果として、それがゲームブックとしてのオリジナル作品に繋がった。
平田 そのときは「ムソルグスキーの組曲とその逸話を使った連作で、最後に主人公が『展覧会の絵』を作曲する」という程度の紹介でした。そうしたら「なんだか面白そうだから企画書にしてくれないか」と言われ、あらすじを文章にして提出したら通ったんです。
■ 平田真夫(ひらた・まさお)
1958年1月6日、東京都生まれ。83年、東京工業大学大学院理工学研究科化学専攻修士修了。在学中は東京工業大学SF研究会に所属。84年、日本SF大会EZOCON2主催の小説賞「エゾコンSFコンテスト」に「マイ・レディ・グリーン・スリーヴス」が入選し〈SFマガジン〉に掲載された。86年、小学館発行のパソコン雑誌〈ポプコム〉にアドベンチャーゲームを連載。87年には、森山安雄名義でゲームブック『展覧会の絵』(創元推理文庫)を発表。同書は当時刊行されていた社会思想社発行のゲームブック専門誌〈ウォーロック〉誌上で毎月開催された「読者による人気投票」の第1位を長らく獲得しつづけた。2011年3月発売の『水の中、光の底』は、文芸書での初めての書籍となった。公式サイト「アトリエ平田工房」(http://www.hirata-koubou.com/)。
■ 岡和田晃(おかわだ・あきら)
1981年、北海道生まれ。2004年、早稲田大学第一文学部文芸専修卒業。2010年「「世界内戦」とわずかな希望――伊藤計劃『虐殺器官』へ向き合うために」で第5回日本SF評論賞優秀賞を受賞。ほかに、佐藤亜紀『ミノタウロス』解説(講談社文庫)、「柴野拓美のメソドロジー――『「集団理性」の提唱』再読」(〈SF Japan〉2010 Autumn)、「救済なき救済の相(かたち)――《新しい太陽の書》小論」(〈SFマガジン〉2011年9月号)等。またRPG《ダンジョンズ&ドラゴンズ》、《ウォーハンマーRPG》シリーズの翻訳・紹介を手がける。現在〈Role&Roll〉誌上で「戦鎚傭兵団の中世“非”幻想事典」を連載中。新たなプロジェクト「Analog Game Studies」(http://analoggamestudies.seesaa.net/)を主宰。
(2011年9月15日)
SF|東京創元社
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- 大野万紀/ロバート・チャールズ・ウィルスン『楽園炎上』(茂木健訳)解説(全文)[2015年8月]
- 宮澤伊織「SFのSは小文字のs」【第6回創元SF短編賞受賞記念エッセイ】
- 文庫化記念特別企画・その4 “異形の天才”の素顔に迫る! 酉島先生に20の質問
- 文庫化記念特別企画・その3 酉島伝法『皆勤の徒』(7/21発売)ビジュアル化・楽曲化された『皆勤の徒』をご紹介!
- 連載エッセイ 高島雄哉 『想像力のパルタージュ 新しいSFの言葉をさがして』 第4回(1/3)
- 北原尚彦/マーク・ホダー『ねじまき男と機械の心』(金子司訳)解説(部分)[2015年7月]
- 文庫化記念特別企画・その2 酉島伝法『皆勤の徒』(7/21発売)これまでのレビューをご紹介!
- 文庫化記念特別企画・その1 酉島伝法『皆勤の徒』(7/21発売)追加挿画を先行公開!
- 連載エッセイ 高島雄哉 『想像力のパルタージュ 新しいSFの言葉をさがして』 第3回(1/2)
- 山本弘『幽霊なんて怖くない BISビブリオバトル部』著者あとがき(全文)
- 連載エッセイ 高島雄哉 『想像力のパルタージュ 新しいSFの言葉をさがして』 第2回(1/2)
- 牧眞司/フィリップ・K・ディック『ヴァルカンの鉄鎚』(佐藤龍雄訳)解説全文[2015年5月]
- 連載エッセイ 高島雄哉 『想像力のパルタージュ 新しいSFの言葉をさがして』 第1回(1/2)
- 橋本輝幸/チャーリー・ヒューマン『鋼鉄の黙示録』(安原和見 訳)解説(全文)[2015年3月]
- 渡邊利道/ラヴィ・ティドハー『完璧な夏の日』(茂木健 訳)解説(部分)[2015年2月]
- 高山羽根子『うどん キツネつきの』収録作品の人気投票・結果発表[2015年2月]
- 【新年特別企画】2015年 東京創元社 翻訳SF・ファンタジイラインナップのご案内
- 山本弘『翼を持つ少女 BISビブリオバトル部』著者あとがき(全文)
- 高山羽根子『うどん キツネつきの』収録作品の人気投票を実施します【2015年1月20日〆切】
- 中村融/ヴァン・ヴォークト、ヤング他『黒い破壊者 宇宙生命SF傑作選』編者あとがき(全文)
- 第5回創元SF短編賞・贈呈式+トークイベント(8月30日)レポート[2014年10月]
- 門田充宏「Connecting the dots.」【第5回創元SF短編賞受賞記念エッセイ】
- 高島雄哉「H+H」【第5回創元SF短編賞受賞記念エッセイ】
- 山田順子/ロバート・F・ヤング『宰相の二番目の娘』訳者あとがき(全文)[2014年10月]
- 渡邊利道/キム・スタンリー・ロビンスン『2312』解説(全文)[2014年9月]
- 中村仁美/ガース・ニクス『銀河帝国を継ぐ者』訳者あとがき(全文)[2014年9月]
- ピーター・ワッツ/嶋田洋一訳『ブラインドサイト』星雲賞受賞のことば(動画あり)[2014年7月]
- 渡邊利道/レイ・ヴクサヴィッチ『月の部屋で会いましょう』解説(全文)[2014年7月]
- 中村融/ロバート・F・ヤング『時が新しかったころ』訳者あとがき【2014年3月】
- 【新年特別企画】2014年 東京創元社 SFラインナップのご案内
- 北原尚彦『SF奇書コレクション』はしがき [2013年12月]
- 酉島伝法『皆勤の徒』収録作品の人気投票・結果発表[2013年11月]
- 『極光星群』刊行記念 第4回創元SF短編賞・贈呈式+トークイベント(8月9日)レポート[2013年10月]
- 三村美衣/松崎有理『あがり』解説 [2013年10月]
- 酉島伝法『皆勤の徒』収録作品の人気投票を実施します【10月31日〆切】
- 大森望/酉島伝法『皆勤の徒』解説(部分)[2013年8月]
- 中村融/『時を生きる種族 ファンタスティック時間SF傑作選』(ヤング、ライバー他/中村融編)編者あとがき[2013年7月]
- 日下三蔵/『極光星群 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編)序文[2013年6月]
- 会津信吾/〈ノット・アット・ナイト〉の世界(3・完)[2013年5月]
- 会津信吾/〈ノット・アット・ナイト〉の世界(2)[2013年4月]
- 第33回日本SF大賞受賞記念インタビュー――宮内悠介『盤上の夜』を語り尽くす!/宮内悠介(第33回日本SF大賞受賞作家)×草場純(ゲーム研究家)×岡和田晃(SF評論家/ゲームライター)(1/4)[2013年3月]
- 大森望/『星雲賞短編SF傑作選 てのひらの宇宙』編者序文[2013年3月]
- 会津信吾/〈ノット・アット・ナイト〉の世界(1)[2013年3月]
- 会津信吾・藤元直樹/『怪樹の腕 〈ウィアード・テールズ〉戦前邦訳傑作選』「はじめに」全文[2013年2月]
- 牧眞司/フィリップ・K・ディック『空間亀裂』(佐藤龍雄訳)解説全文[2013年2月]
- 牧眞司/『スペース・オペラ名作選 太陽系無宿/お祖母ちゃんと宇宙海賊』(野田昌宏・編訳)解説全文[2013年1月]
- 霜月蒼/ジェイムズ・ボーセニュー『キリストのクローン/覚醒』解説[2012年12月]
- 北原尚彦「総まくり! 科学童話『原子の踊り』から二十一世紀のSF奇書まで」――SF奇書天外REACT【第30回・最終回】(1/2)[2012年12月]
- 香月祥宏/ロバート・チャールズ・ウィルスン『ペルセウス座流星群』解説(全文)[2012年11月]
- 北原尚彦「意外な意外なロストワールドSF『巨龍と海賊』」――SF奇書天外REACT【第29回】(1/2)[2012年11月]
- 北原尚彦「地球の危機そっちのけで拳法修業?『燃える地球』」――SF奇書天外REACT【第28回】(1/2)[2012年10月]
- 北原尚彦「人気作家が好きに書いた同人作品『チャリス・イン・ハザード』」――SF奇書天外REACT【第27回】(1/2)[2012年9月]
- 海外SF通信・〈Webミステリーズ!〉出張版[2012年9月]
- 北原尚彦「『醗酵人間』よりも奇書だと言われては……『銀座快男児』」――SF奇書天外REACT【第26回】(1/2)[2012年8月]
- 『拡張幻想』刊行記念 第3回創元SF短編賞・贈呈式+トークイベント(7月14日)レポート[2012年8月]
- 北原尚彦「1960年代にかくもディープな私家本が!『宇宙生物分類学』」――SF奇書天外REACT【第25回】(1/2)[2012年7月]
- 北原尚彦「木枯し紋次郎+ブラック指令が書いたSF劇『すばらしい新世界!』」――SF奇書天外REACT【第24回】(1/2)[2012年6月]
- 宮内悠介『盤上の夜』収録作品の人気投票結果および著者からの「粗品」当選者発表[2012年6月]
- 『原色の想像力2 創元SF短編賞アンソロジー』人気投票結果を発表します![2012年6月]
- 大森望『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編)序文[2012年6月]
- 北原尚彦「映画化までされていた! 透明人間SF『忍術三四郎』」――SF奇書天外REACT【第23回】(1/2)[2012年5月]
- 〈KAIJU小説〉 はアメリカでどう読まれたか? 山本弘『MM9』英訳版レビュー翻訳[2012年5月]
- 北原尚彦「『醗酵人間』以上の価値があるレア本『三代の科学』」――SF奇書天外REACT【第22回】(1/2)[2012年4月]
- 第2回創元SF短編賞アンソロジー『原色の想像力2』収録作品の人気投票を実施します[2012年3-5月](終了しました)
- 宮内悠介『盤上の夜』収録作品の人気投票を実施します[2012年3-5月](終了しました)
- 大森望・日下三蔵・堀晃/『原色の想像力2 創元SF短編賞アンソロジー』序[2012年3月]
- 北原尚彦「東北の民話&童謡作家の書いたロストワールドSF『沙漠の下の海』」――SF奇書天外REACT【第21回】(1/2)[2012年3月]
- 北原尚彦「実在の市が住民ごと縮んでしまった『小さくなった町』」――SF奇書天外REACT【第20回】(1/2)[2012年2月]
- 北原尚彦「遅れてきた新入会員・天瀬裕康=渡辺晋」――SF奇書天外REACT【第19回】(1/2)[2012年1月]
- 北原尚彦「南沢十七は異星でもハチャメチャ!『天外魔境』」――SF奇書天外REACT【第18回】(1/2)[2011年12月]
- 松崎有理『あがり』収録作品の人気投票結果および著者からの「粗品」当選者発表[2011年12月]
- 【特別寄稿】高橋良平「墓碑銘2011年――岡田正哉さんの思い出に」(1/2)[2011年12月]
- 北原尚彦「知られざるSF新人賞受賞作『無意識の底で』」――SF奇書天外REACT【第17回】(1/2)[2011年11月]
- 北原尚彦「聞いたこともなかった児童SF『正義のロボット』」――SF奇書天外REACT【第16回】(1/2)[2011年10月]
- 松崎有理『あがり』収録作品の人気投票を実施します[2011年9月](終了しました)
- 「平田真夫/森山安雄の挑戦――ゲームブック『展覧会の絵』から小説『水の中、光の底』へ」平田真夫/森山安雄×岡和田晃(1/4)[2011年9月]
- 高野史緒『時間はだれも待ってくれない 21世紀東欧SF・ファンタスチカ傑作集』(高野史緒編)序文[2011年9月]
- 北原尚彦「原子が少年になっちゃった『アトミーノは戦争がきらい』」――SF奇書天外REACT【第15回】(1/2)[2011年9月]
- 北原尚彦「知られざる静岡SF作家・杉山恵一」――SF奇書天外REACT【第14回】(1/2)[2011年8月]
- 日下三蔵『結晶銀河 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編)序文[2011年7月]
- 『異星人の郷』2011年度星雲賞受賞のことば[2011年6月]
- 北原尚彦「実はSF含有率が高かった「原爆児童文学集」(後篇)」――SF奇書天外REACT【第13回】(1/2)[2011年7月]
- 北原尚彦「実はSF含有率が高かった「原爆児童文学集」(前篇)」――SF奇書天外REACT【第12回】(1/2)[2011年6月]
- 北原尚彦「三種コンボ先取り! 科学博で刊行の『象昆鳥』」――SF奇書天外REACT【第11回】(1/2)[2011年5月]
- 堺三保/ロバート・チャールズ・ウィルスン『クロノリス─時の碑─』解説[2011年5月](1/2)
- 『原色の想像力 創元SF短編賞アンソロジー』人気投票結果を発表します!
- 北原尚彦「ウェルズの時代に書かれたゴルフSF『21世紀のゴルフ』 」――SF奇書天外REACT【第10回】(1/2)[2011年4月]
- 北原尚彦「二十二世紀なのに未来感ほぼゼロの武術SF『合気道小説 神技』」――SF奇書天外REACT【第9回】(1/2)[2011年3月]
- 「ベストSF2010」1位『異星人の郷』マイクル・フリン氏のメッセージ
- 軍人が書いた未来架空戦記SF『血の叫び』は××本だった!――SF奇書天外REACT【第8回】(1/3)[2011年2月]
- 創元社初のSF? 『笑の話』――SF奇書天外REACT【第7回】(1/2)[2011年1月]
- 地方色たっぷりの名古屋ご当地SF『アトランティス名古屋に帰る』――SF奇書天外REACT【第6回】(1/2)[2010年12月]
- 大森望・日下三蔵・山田正紀/『原色の想像力 創元SF短編賞アンソロジー』序[2010年12月]
- 大森望『逃げゆく物語の話 ゼロ年代日本SFベスト集成〈F〉』序 [2010年10月]
- 大森望『ぼくの、マシン ゼロ年代日本SFベスト集成〈S〉』序 [2010年10月]
- SF奇書天外REACT【第5回】(1/2)[2010年10月]
- 嶋田洋一/マイクル・フリン『異星人の郷』訳者あとがき[2010年10月]
- SF奇書天外REACT【第4回】(1/2)[2010年8月]
- 大森望『量子回廊 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編)序文[2010年7月]
- SF奇書天外REACT【第3回】(1/2)[2010年6月]
- SF奇書天外REACT【第2回】(1/2)[2010年4月]
- SF奇書天外REACT【第1回】(1/2)[2009年11月]
- 中村融『時の娘 ロマンティック時間SF傑作選』編者あとがき(1/2)[2009年9月]
- 『時間封鎖』が2009年度星雲賞を受賞![2009年7月]
- 日下三蔵『超弦領域 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編)序文[2009年6月]
- 発表! 創元SF文庫を代表する1冊は何か?――読者投票によるベスト20結果発表[2009年6月]
- 佐藤龍雄/ネヴィル・シュート『渚にて』訳者あとがき[2009年4月]
- 向井淳/ヴァーナー・ヴィンジ『レインボーズ・エンド』解説[2009年4月]
- 大森望『虚構機関 日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編)序文[2008年12月]
- 眉村卓『消滅の光輪』あとがき[2008年7月]
- 野田昌宏『風前の灯!冥王星ドーム都市』あとがき[2008年6月]
- 新井素子『ひとめあなたに…』あとがき[2008年5月]
- 夢枕獏『遙かなる巨神』まえがき[2008年3月]
- 眉村卓『司政官 全短編』あとがき[2008年1月]
- 山本弘『MM9(エムエムナイン)』[2008年1月]
- 新井素子『グリーン・レクイエム/緑幻想』あとがき[2007年11月]
- 菅浩江『プリズムの瞳』変わるものと変わらないものと[2007年11月]
- 堀 晃『遺跡の声』創元SF文庫版あとがき[2007年9月]
- 北原尚彦『SF奇書天外』はしがき[2007年8月]
- 鏡 明『不確定世界の探偵世界』創元SF文庫版あとがき[2007年7月]
- 川又千秋『幻詩狩り』創元SF文庫版あとがき[2007年5月]
- 菅浩江『シエラ』の頃[2007年3月]
- 堀 晃『バビロニア・ウェーブ』創元SF文庫版あとがき[2007年2月]
- 田中芳樹『銀河英雄伝説』創元SF文庫版に寄せて[2007年2月]
- 鶴田謙二〈キャプテン・フューチャー全集〉完結にあたって[2007年1月]
- 山岸真「グレッグ・イーガン全小説」[2006年3月]
- 中村融/H・G・ウェルズ『宇宙戦争』訳者あとがき[全文][2005年5月]
- 山岸真/グレッグ・イーガン『万物理論』訳者あとがき[部分][2004年10月]
- 創元SF文庫入門――歴史編
- 小隅 黎/完全新訳版レンズマン・シリーズ1 E・E・スミス『銀河パトロール隊』訳者あとがき(部分)[2002年1月]