こんにちは。製作部Iと申します。いきなりですが、みなさんは書店さんの文庫の棚にぶら下がってるアレをご利用いただいてますか?

 そう、『東京創元社 解説目録』(以下、目録)です。

目録写真1.jpg  読者さんより直接、弊社に「新しい目録はいつできますか?」というお問い合わせもしばしばあり、実は根強いファン(?)がいらっしゃるこちらの目録。創元推理文庫、創元SF文庫、創元ライブラリなどの文庫本に限らず、単行本の内容紹介も収録されております。目下アニメ化で話題の田中芳樹先生も『銀河英雄伝説』の創元SF文庫化の際に10年前の『webミステリーズ!』で愛読書(!?)である目録について触れて頂いてます。冒頭一部をご紹介いたしましょう。

 「中学生のころ、さまざまな本を読んだが、じつは最大の「愛読書」は『創元推理文庫解説目録』だった。『10月はたそがれの国』などというタイトルに心をさわがせ、四行に圧縮された内容紹介に胸をおどらせた。あれは無限の訴求力を持つ名文だったと思うが、誰が書いていたのだろう。(続きは下記リンク先でー)」

『銀河英雄伝説』創元SF文庫版に寄せて

 田中先生が中学生のころというと逆算して1965年から1967年辺りになりますでしょうか?弊社にある古い目録を漁ってみると、ちょっと時代的に後になってしまいますが1969年のもの発掘しました。

目録写真2.jpg 目録写真2-2差替え.jpg う、薄ぃ…。

銀河英雄伝説BOX
 『10月はたそがれの国』の内容紹介は現在の目録に載っているものとほぼ同じでしたので是非チェックしてみてください。そして更に新しい「棲処」を得た『銀河英雄伝説 全15巻BOXセット』もよろしくお願いしまーす。

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 さて、ここからはそんな隠れ読者の多い目録が出来上がるまでの工程をざっくり説明いたします。

 前回の目録以降からその年の目録刊行月までに出たものと復刊した商品が毎年目録に新たに追加されます。これらの紹介文を集め始めるのが目録刊行年の2月ごろから。この段階では7月までの刊行予定は変わることがありますので、これは目録を実体化するまでの戦いの幕開けにすぎません。
 集まった紹介文を印刷所に入稿→出稿→校正→編集部で校正箇所チェック&手直し→印刷所→出稿→校正(以下繰り返し)の流れでだんだん皆さんのお手元に届くものに近づいていきます。一旦校正した紹介文を全文改稿という編集部員の星一徹的振る舞いにもめげず(作業段階で出来上がってない書籍もありますし仕方ないッスよねー)、ひたすら最終形態まで磨きあげます。

目録写真3.jpg 入朱の多い原稿(加工は自主規制)。

 2017年7月刊行の目録の追加項目は約180でした。増えた分削らなくていけません。ここで軽く編集部とバトります。「思い入れのある商品はなかなか削れない」という編集部の思いに対して、心を鬼にして削ってもらいます。削らされる側が辛いか、削らせる側が辛いか。毎年、ページ増加傾向にあった目録も今回はなんとか前回の目録と同じページ数に抑えることができました。編集部ノ皆サン、アリガトウゴザイマシター。

 ワタクシの作業的に一番しんどいのは索引の読合せです。これは巻末の索引が正しいページを示しているか逐一、校正者とタッグを組みひたすらチェック。全著作、全著者を読み上げてチェックするので咽喉は嗄れ、一方では食後の眠気に襲われ…。この作業を二日間かけフィニッシュ。さっき改めて全掲載作品数をざっと調べてみたら約2000作品、著者編者が約800名の計512ページ(索引含む)でした。多いっスね。それから本体価格などを全部チェックしたら目録コンテンツ的にはOK。表紙のデザインを決定して、印刷、製本の工程を経て足かけ5か月ついに完成です。

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 いかがでしたでしょうか。こちらの目録は書店さんでお取り寄せもできますし、弊社にご連絡いただければ送付も可能です。書店さんによっては毎年8月中旬あたりにピカピカした新しいものがぶら下がっているかもしれませんので、是非、書店さんにも足運んで、眺めて見てください。皆さんも未読の紹介文を読み妄想を膨らませてみてはいかがでしょうか?

(2017年10月27日)



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