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2010.01.06

『リアル脱出ゲーム』体験レポート&企画者インタビュー[全文]

会場となったIID 世田谷ものづくり学校
会場となったIID
世田谷ものづくり学校
 面白いミステリは小説だけでなく、ゲームの世界にもあるはず! 「ミステリーズ!」ではミステリ・ゲームの世界を紹介してきます。
 脱出ゲームをご存じですか? 閉ざされた空間の隅々を探索し、アイテムを探したり、暗号を解いたりしながら、その場所から抜け出すための鍵を探すというゲームです。今回はそんな脱出ゲームをリアルで遊んでしまおう、という「リアル脱出ゲーム」を体験してきました。

■「リアル脱出ゲーム」体験レポート
 2007年の京都での開催を皮切りに、大阪、東京と徐々に規模を大きくしながら開催されてきた「リアル脱出ゲーム」。今回参加してきたのは、第3回目の東京公演。その名も「終わらない学級会からの脱出」!
 ルール説明の紙と班分け用のカードホルダーを受け取ると、舞台となる教室に通されます。今回は班に別れての挑戦のようです。2、3人で遊びに来ている人たちがほとんどですが、同行者とは違うチームに分けられ、初対面の人同士で組むことに。
 案内された部屋の前方には黒板や机、提出箱と書かれた籠のほか、床に書かれて異彩を放つ数字たち。壁には☆や□などを使った数式や、カタカナと数字が組み合わされた盤面。世界地図すら怪しく見えてきます。数字錠のかかった工具箱、ガチャポンまであり期待が高まります。開始を待つ間にルールを読んでいると、テーマは「幻想」で、どうやらゲーム中、とりかえしのつかないことが起こる模様。そのときは時を戻すアイテムを探すことになるようです。
 時間になると教室の鍵がかけられ、参加者は閉じこめられます。そして司会者から具体的なゲームの進行方法が伝えられました。
・「解答用紙は、一部でも埋まり次第提出」
・「5分ごとにチャイムが鳴り、そのたびに先生が解答用紙を回収・採点」
・「カードホルダーは、とても硬く非常に貴重なものなので大事にしてほしい」
 そして、――起立、礼、着席。ついにゲームはスタートしました。

案内された教室には、怪しげなものだらけ
案内された教室には、
怪しげなものだらけ
 まずはそれぞれが部屋を探索し、様々なヒントを集めていきます。クロスワードの問題らしきものを発見するも、手元の解答用紙にその欄がないので、解くことができません。情報の整理をしているだけであっという間に時間が経過し、チャイムが……。
 見るに見かねた司会者から「床や壁以外もよく見るように」とヒントが。天井に貼られたカードに気づき、「a=カゲ」という答えがわかったところで、解答用紙で文字数を確認。次いで壁の数式に取りかかることに。式と壁の文字盤を組み合わせ、「g=ドラゴン」という解答を導き出しました。
 2つの解答欄を埋めた用紙を封筒に入れ提出。ほかのヒントを探しているとチャイムとともに先生が回収していきます。
 天井からぶら下がる、「e=」と書かれた謎のパイプを発見。でも意味がわからない。解答用紙にある、真上から見ろ、と書かれた円は、世界地図の隅にある、地球を上から見た図では? と思いつくも、一致するものがない……。悩んでいる間に次のチャイムが鳴り、採点を終えた解答用紙が返却されました。封筒を開けると、コインと靴ひもが一緒に入っています。正解すると、ほかのヒントになるようなアイテムが手に入るようです。冒頭で言われた「こまめに提出」する重要さを認識します。
 手に入れたコインをガチャポンに投入すると、テトリスのブロックのような欠片がたくさん入ったカプセルをゲット。靴ひもはさっきぶら下がっていたパイプに巻きつけるのでは、と気付いたメンバーが挑戦。見事「e=エルフ」という解答を得ました。
 また、教室に配置された机の端々に、ビニールテープが貼られていることに気づき、全員で並び変えることに。ガタガタ動かした結果、「c=ソウリョ」という解答が浮かびあがりました。皆で協力しないと見つからない答えもあるんですね。
 解答用紙を提出中、集めたクロスワードの問題と答えを書き出していきます。いくつも見つけた「h=」と書かれたものは、その並べ変えで答えが出るのではと気づき、「h=ユニコーン」をゲット。
参加者全員で机のパズルに挑戦。意外と難しい?
参加者全員で机のパズル
に挑戦。意外と難しい?
 チャイムとともに返却された封筒には待ちに待ったクロスワードの解答用紙が! 表を見ながら、最速で「f=カイフク」の解答を得る。全部埋める時間が惜しい! さらに、先ほどのカプセルの蓋にマジックで何か書いてあることに気づき、解答用紙に書かれた円に重ねてみると「d=マホウ」の文字が! この時点で30分が経過。
 次のチャイムの時、先生が転校生を連れて入ってきました。黒板に「フジタ・J=キャロル」と名前を書かれ、「仲良くしてあげてください」と言われ困惑する参加者に、続けて「皆さん、私に何かプレゼントはありませんか?」と先生。参加者は大混乱。しかも立ち上がった転校生が、隠し持っていた銃で先生を撃ってしまいます。立ち去る転校生と床に転がる先生の死体に茫然とするも、気を取り直して謎解きを再開する参加者たち。しかし、先生がいないと解答用紙は回収されず、さらにはアイテムが手に入らないことに気づきます。取り返しのつかないことってこれか!
 慌てて先生の死体をよく見ると、どうも不自然な格好で倒れている。ダイイングメッセージを解き、怪しい工具箱の錠を開け、参加者全員で力をあわせると、時間を戻すことができる球を手に入れました。合言葉とともに時間が戻ると、チャイムが鳴り、再び先生が転校生を連れて入ってきます。でもこのままではまた撃たれてしまう。先生の「皆さん、私に何かプレゼントはありませんか?」という声が響きます。
メンバー全員で知恵を絞って謎解き中。自分の頭だけが頼り
メンバー全員で
知恵を絞って謎解き中。
自分の頭だけが頼り
 焦りだけが募る中、一人の参加者が手を挙げ、ホルダーを差し出しました。そうだ、司会者が「とても硬い」と言っていたこれを渡せば! 首からかけられたいくつものホルダーは転校生の銃弾をはじき、見事先生を救うことができました。冒頭の伏線に気づけてよかった……。
 気持ちを切り替えてさらに解答用紙を埋めていきます。先生が倒れたおかげで、残り時間はあと少しです。黒板に書かれた「j=キャロル」。テトリスブロックのパズルを解いて、ヒントに照らして、「b=クイーン」と記入。手に入れた赤ペンで解答用紙の枠を塗り、「i=テンシ」の答えをゲット。ようやく全問埋まった解答用紙に「ゲンソウをエイゴニシロ」という文字が並びます。「ファンタジー」と書き込み最後の回収を待っていると、「『答え』の一字下を読め」という謎の紙が配布されました。
 解答用紙を埋めるだけではダメだったのか。しかし必死に「ファンタジー」の文字を探すも、見つかったのはルール説明の紙にあるものだけ。しかもその1字下にあるのは意味をなさない言葉の羅列。50音の1字下だとしても同じく意味不明。頭を悩ませるも時間切れで、最後のチャイムが無情にも響き渡ります。起立、礼、着席。ゲームが終わりました。脱出は失敗です……。
 答え合わせで、脱出の最後の鍵となっていたのは、クロスワードだったことが判明。時間を惜しまず全部マスを埋めていれば、「ファンタジー」の文字を見つけられて、「キリツスルナ」というキーにも気づけたはず……。最後のチャイムで起立しなかったチームが脱出成功とのこと。うーん、悔しい!

■企画者にインタビュー
――なぜこのようなイベントを計画されたのでしょうか?
加藤隆生氏(以下加):
子供の頃、すごく少年探偵団に憧れていたんです。きっと自分のまわりでもいつか事件が起こるに違いない、と思っていたんですが、待てども待てども事件は起こらない。暗号もないし、怪人も出ない。それがとても残念だったんです。自分が主人公になって、物語の中心になりかった。だから自分が主人公になれる、『ポートピア連続殺人事件』や『ドラゴンクエスト』が発売されたときは、夢中になって遊びましたね。でもあるとき、もっと自分が実際に動いて謎解きをすることができる場所が欲しくなってしまって、こういったゲームを思いつきました。
――最初は京都で始められたんですよね?
加:
はい。京都のフリーペーパーを制作する会社を運営しているんですが、フリーペーパー発行の際も、単に読んで面白いだけでなく、読んだことで人が動くようなものにしたいと考えています。特集記事に関連したイベントを企画したりだとか。だから「リアル脱出ゲーム」をやりたい、と思ったときには、スキルが全部あったんです(笑)

SCRAP代表 加藤隆生氏
SCRAP代表 加藤隆生氏
――参加者はどの程度いるのでしょうか?
加:
初めて京都で開催したときには、200枚のチケットがすぐに売り切れてしまいました。大阪での公演も、チケットは即完売。今回も700枚が売り切れました。
 ちなみに東京での公演では、主催はOTOTOYの飯田くんたちにお願いして、企画をSCRAPでやる、というスタイルにして、謎作りに専念してます。年明け早々、また東京公演があります。といっても開催場所は横浜なんですが(笑)そちらは今までにない規模のものになりますね。
――「リアル脱出ゲーム」を企画する上で一番大変なのは、どこでしょうか?
加:
難易度の設定です。だいたい3、4割の方が成功できるくらいの難易度を常に目指しているのですが、今回は最後の「××××××(Web版のみ伏せ字とさせていただきます)」というのを思いついてしまって、どうしても使ってみたかったので、成功率1割という、最も脱出成功者が少ない公演となってしまいました。
 でも失敗して悔しくても、その悔しさは、ポジティブなものだと思うんです。用意されている解答が「そんなのわかるわけないじゃないか!」とか「それは理不尽すぎる!」といったものでなければ、「次回こそは!」とか「あそこでこうしておけば!」といった、次に繋がる悔しさになるはず。
――先ほど少年探偵団の話が出ましたが、お好きなミステリはありますか?
加:
乱歩やホームズ、リュパンものは子供の頃から好きですが、一冊だけなら、藤原伊織さんの『テロリストのパラソル』です。
――最後に、どんな方にこの「リアル脱出ゲーム」に参加してほしいですか?
加:
脱出ゲームが好きな方はもちろん、少年探偵団になりたかった方、謎解き好きの方には是非。次回公演では、もっとたくさんの方に楽しんでいただけるように、色々企画中です。どうぞ遊びにきてください。
――ありがとうございました。

■PROFILE
加藤隆生
株式会社SCRAP代表

■『リアル脱出ゲーム』公式サイトはこちら
http://realdgame.jp/

(2010年1月6日)


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