ラウンジ

2017.02.27

校正課だより コーセーシャという人々――気になるロゴの巻――

 最近ドラマなどにとりあげられて、校正という職業も以前よりは世間に知られるようになったかもしれません。でもその生態はまだまだ未知の領域かも――なにしろもっぱら縁の下に生息しているもので(笑)――というわけで、コーセーシャの日々をお伝えします。

 校正のチェックポイントのひとつに書体(フォント)があります。同じ字でも明朝体、ゴシック体などなど、いろいろな書体があるのです。

ゴシック体(『深夜の市長』より).jpg  また、同じ書体でも太さ(ウェイト)のバリエーションがあります。ものによっては8段階ぐらいあるでしょうか。ですから、ゲラを読むときには、書かれている内容に関することのほかに、指定どおりの書体で組まれているかとか、あそこをゴシックで組んだなら、ここもゴシックにしないとおかしいのではないか、太さはこれでいいのか、なんてことも考えているのです。

weigt.jpg  さて、毎朝会社に来るときかならず渡る横断歩道がありまして、信号待ちをしていると道路の反対側にあるスーツ屋さんが目に入るわけです。

スーツカンパニーのロゴ.jpg
 校正者としてまずはスペルをチェック――なんてことは日常生活のなかではしません。ずっと〈校正スイッチオン〉ではくたびれてしまうので。でも、このお店のロゴにはどうしても気になる不思議な点があるのです。
 写真を見ていただくと、店名の「THE SUIT」と「COMPANY」の書体の印象が違うことがわかります。「THE SUIT」は太い書体で強く見えるのに対し、「COMPANY」は少し弱めになっていますね。このことは不思議ではありません。売り物であるスーツを強調し、「COMPANY」は少しやわらかい感じで、というのは表現として狙いが理解できます。

 不思議なのは、「COMP」より「ANY」の書体が細く見えることなのです。気のせいかな~と思うのですが、目をこすって見てもやはり細く見える。みなさんはいかがでしょうか。気にして見はじめると、なんだか「SUIT」の最後のTが「THE」の最初のTより細いような気がしてきて……もはや疑心暗鬼の世界です。錯覚か? それともほんとうに太さが違うのか? ほんとうだとしたらその狙いは?――入社以来十数年、毎朝頭の上にいくつも疑問符をのっけて出社しているワタクシなのでした(どなたか正解をご存じの方がいらっしゃいましたら、教えてください)。
(校正課K)

(2017年2月27日)



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