営業部日誌をご覧の皆様、はじめまして。営業部のQと申します。
なぜQなのかと申しますと、名字が「キュウ」から始まる珍しいもので、Kよりはインパクトがあるかと思い、日頃からQで通しております。
 生まれてから大学卒業までを鹿児島で過ごし、東京創元社の書店営業の仕事をするようになって半年が経ちました。

 先月、大崎梢先生の大人気シリーズ最新刊『ようこそ授賞式の夕べに』が刊行されました。本作では『配達あかずきん』のキャラと、もうひとつの代表作『平台がおまちかね』の出版社の新人営業、井辻智紀がついに出会います。

 営業部としてこのシリーズをどう宣伝すべきか…そこでM先輩が出したアイデアが、実際の出版社の新人営業(つまり私)の1日に密着し、Twitterに投稿するというものでした。
(詳細は弊社営業部のアカウントをご覧下さい。)

 ということで今回はM先輩に密着された2月某日を振り返りながら、出版社営業の仕事についてご紹介いたします。

 まずは情報収集です。その日にお伺いする書店さんから最近どのような注文がきているか、その書店さんでは先月どの本が売れていたか、エリアとして売れている本はなにか、などを調べます。

 次は持参する注文書の確認です。新刊案内、最近の売れ行き良好書、メディア化関連の案内などを準備します。特にこの日は貫井徳郎先生の『愚行録』の映画公開前ということもあり、注文書の他にオビも鞄に詰め込みます。

図1.jpg 図2.jpg
M先輩「鞄の中には何が入ってるの?」
Q「注文書のファイルと、傘と、拡材とかですかね」
M先輩「……おもしろくない」
Q「す、すいません」

 やはりミステリー、SF、ファンタジーの老舗を自負している出版社の営業らしく、何かキャラの立つ「時刻表」や「十徳ナイフ」などを入れておくべきだった…と激しく後悔しました。

 書店に着くと直近の新刊の売れ行きを確認し、書店員さんと話した上で追加注文をいただいたりします。この日はお伺いした書店さんで『五十円玉二十枚の謎』をワゴンで展開中でした。

図3.jpg
 書店員さんとの交渉以外にも棚の整理や平台の売れ筋チェックも行います。特に欠本チェック(売れ行きのいい作品が棚から抜けていないか確認すること)は重要な仕事の一つです。

図4.jpg
 この日は17時過ぎに営業が終わりました。家路に着こうとする私にM先輩が慌てて話しかけてきました。

M先輩「大変!」
Q「え! 何ですか!?」
M先輩「謎に出合ってない!」
Q「……」

出版社営業の仕事中に謎に出合うなんてめったにないです!
(2017年3月17日)



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