国内ミステリ出張室

2009.10.05

神奈川県立近代文学館の「大乱歩展」(会期:10月3日~11月15日)[2009年10月]

見所が随所にある展覧会の開幕
戸川安宣
 yasunobu TOGAWA

 

大乱歩展


 横浜・山手の港の見える丘公園内にある神奈川県立近代文学館で、10月3日土曜から11月15日日曜まで、「大乱歩展」が開かれている。これは同館の25周年記念事業として行われるもので、館長の紀田順一郎氏の肝煎り企画だ。同展の編集委員として、紀田氏とともに藤井淑禎氏が名を連ねているのでもわかるように、平井家から邸や土蔵とともに膨大な資料を受け継いだ立教大学・江戸川乱歩記念大衆文化研究センターとの共催である。ということは、乱歩の旧蔵資料の整理・研究がどこまで進んでいるのか、がわざわざ「大」と銘打った今回の展示最大の見所と言えるだろう。

 オープン初日の前日、2日金曜の2時から行われた内覧会では、紀田館長、藤井編集委員、江戸川乱歩の令孫、平井憲太郎氏などが交々この展覧会にかける思いを語り、44日間に亘る会期の幕が切って落とされた。

 会場には乱歩が作家となるきっかけを作った小酒井不木の令息未亡人をはじめ、〈宝石〉編集長を務めた大坪直行氏、芦川澄子氏、新保博久氏、図録の表紙を飾った人形作家・写真家の石塚公昭氏なども駆けつけた。

 展示内容は三部に分かれ、まず第一部の「乱歩の軌跡」では、その一生を三つの時期に区分して展示(一、活字を愛する少年――作家以前の時代。二、うつし世はゆめ――デビュー、黄金時代、戦時下の発禁。三、幻影の城主――戦後の活躍)、つづく第二部が「怪人二十面相と少年探偵団」、そして旧乱歩邸の土蔵に遺された文献資料を紹介する第三部「蔵の中へ」、という構成になっている。

 中でも、祖母・わさ手書きの読み札に、父・繁男が絵を描いた百人一首はみごとな出来で、その几帳面さや美術的な才能が乱歩に受け継がれていることを知ることができる貴重な資料だ。

 見所が随所にある同展の開催に合わせ、館長・紀田順一郎氏の講演「江戸川乱歩と少年探偵の夢」(10月24日)や寺田農氏による「D坂の殺人事件」朗読会(11月1日)、乱歩原作、渡辺剣次脚本の映画『死の十字路』の上映会(11月7・8日)などのイベントが同館で予定されている。

(2009年10月5日)


●「大乱歩展」の詳細については下記ページをご覧ください。
 http://www.kanabun.or.jp/te0162.html

会 期:2009年10月3日(土)~11月15日(日)
 休館日は月曜日(10月12日は開館)
開館時間:午前9時30分~午後5時(入館は4時30分まで)
会 場:神奈川近代文学館展示室
 http://www.kanabun.or.jp/index.html
観覧料:一般600円(400円)、20歳未満及び学生300円(200円)
高校生以下、65歳以上は入場無料
 *( )内は20名以上の団体料金
(2009年10月5日)
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