国内ミステリ出張室

2014.02.05

第23回鮎川哲也賞 第10回ミステリーズ!新人賞 贈呈式レポート


 去る2013年11月1日、飯田橋のホテル メトロポリタン エドモント〈悠久の間〉にて、〈第23回鮎川哲也賞〉および〈第10回ミステリーズ!新人賞〉の贈呈式が開かれました。当日は、多数の皆さまにご来席いただいたほか、ニコニコ生放送によるインターネット中継もおこないました(300名以上の方にご視聴いただくことができました)。
〈第23回鮎川哲也賞〉は市川哲也氏『名探偵の証明』が受賞しました。また、〈第10回ミステリーズ!新人賞〉は櫻田智也氏「サーチライトと誘蛾灯」が受賞しました。受賞されたお二方、おめでとうございます。
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 まず、〈第23回鮎川哲也賞〉の選考経過と選評を、選考委員を代表して北村薫先生が述べられました。
「全ての最終候補作から本格ミステリに対する愛情が感じられ、それらを読めて幸せでした。受賞作は『名探偵』という特別な存在を本格ミステリの世界に取り込み、本格ミステリと探偵についての一つの物語を見事に構築しています。正に鮎川哲也賞でなければ評価し得ない作品であり、ぜひ本格ファンの皆さんに読んでいただき、その妙味を味わってもらいたいと思います」
 
 次に、受賞者の市川哲也氏が登壇され、小社社長・長谷川晋一より賞状が授与されました。さらに選考委員の芦辺拓先生より、正賞のコナン・ドイル像が手渡され、〈第22回鮎川哲也賞〉の受賞者である青崎有吾先生より花束が贈呈されました。
 また、2010年に逝去された北森鴻先生のご遺族からの花束が、代理として近藤史恵先生より、〈浜松ミステリー愛好会〉からの記念の花束が、谷島屋書店イオンモール浜松志都呂店・寺田結美さんより、それぞれ贈呈されました。
 
PB010289.JPG  受賞の挨拶で、市川哲也氏は「受賞作は地元の高知県ではかなり推していただいているのですが、今後はそういう後押しがなくても買っていただけるような作品を書こうと思っています。また、作中のあるトリックに関してですが、変えた方がいいかなと思いつつ、あのトリックでどうしてもやりたいことがあったので、そのままにしました。現在、次回作について色々と考えているところですが、トリックにこだわったものを書きたいと思っています」と今後の抱負を語り、「最後に、受賞作を手直ししていて感じたのは、作品は決して一人では作れないということでした。担当編集の方、校閲の方、そして両親にお世話になりました。ありがとうございました」と感謝を述べました。

 続いて、〈第10回ミステリーズ!新人賞〉の選考経過と選評を、選考委員を代表して米澤穂信先生が述べられました。
「最終候補作はそれそれバリエーションに富んでおり、ミステリの見本市のようでした。受賞作は泡坂妻夫作品との類似性は感じるものの、細かな点まで神経が行き届いた企みと、オフビートな外連味に満ちた作品です。受賞したことにより、櫻田さんの第二作が読めることをたいへん嬉しく思います」

PB010311.JPG  受賞者の櫻田智也氏が登壇され、小社社長・長谷川晋一より賞状が授与されました。さらに選考委員の法月綸太郎先生より、正賞の懐中時計が手渡され、〈第9回ミステリーズ!新人賞〉の受賞者である近田鳶迩先生より花束が贈呈されました。

 受賞の挨拶で、櫻田智也氏は学生時代に、泡坂妻夫先生と電車内で遭遇したエピソードを語りました。その際にいただいたサイン(『セサミストリート』のメモ用紙に書かれたもの!)を披露し、会場が歓声に包まれました。
また、「選評を拝読し、色々と抱えていた不安が晴れると同時に、書き続ける力をいただいたと思います。私が長い間ミステリを読み続けてきたのも、泡坂作品と出会えたことが大きいと思っています。質は及ばないにしろ、『泡坂作品が好きなんだね』ということが分かってもらえる作品で、この場に立てたことを嬉しく思います。以上、ミステリファンで良かったなという話でした。ありがとうございました」と受賞の喜びを語られました。

 さらに、長谷川晋一による挨拶のあと、乾杯の辞として、2013年に『本格ミステリ鑑賞術』で第13回本格ミステリ大賞評論・研究部門を受賞した福井健太先生より「今年の受賞作は、それぞれの形で本格ミステリが好きなことが伝わってくる、僭越な言い方をすれば頼もしい作品だと感じました。おふたりの今後のご活躍と、これからの本格ミステリのますますの発展を祈ります」とお言葉をいただき、その後大いに歓談が盛り上がりました。

 市川哲也『名探偵の証明』は好評発売中です。櫻田智也「サーチライトと誘蛾灯」、および両賞の選評は『ミステリーズ! vol.61』に掲載されています。
 次回〈第25回鮎川哲也賞〉は平成26年10月末日〆切、〈第11回ミステリーズ!新人賞〉は、平成26年3月末日〆切となります。皆さまのご応募をお待ちしております。

 鮎川哲也賞の応募要項はこちらを、ミステリーズ!新人賞の応募要項はこちらをご覧ください。

(2014年2月5日)
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