2024年は東京創元社の創立70周年となる記念すべき年。その記念企画のひとつである、《ベスト1ミステリ・セレクション》が1月より創元推理文庫でスタートしています。
どんな企画かと申しますと「東京創元社の創立70周年を記念し、各種ランキングで1位となった翻訳ミステリの名作を、装いも新たにお届けする企画(帯より引用)」です。すべて文庫での刊行、「新訳」ではなく「新装版」となります。
1月に発売された第1弾――ジェレミー・ドロンフィールド/越前敏弥訳
『飛蝗(ばった)の農場』に続く第2弾が、3月18日(月)に刊行されるジル・マゴーン/中村有希訳
『騙し絵の檻』です。新装版のカバーはこちら。
本書の復刊にあたってはカバーを一新したほか、訳文の見直しをおこないました。法月綸太郎先生による解説も、同様に見直しのうえ一部加筆がなされています。電子書籍版も同時発売しますので、各種端末でもお読みいただけます。
【あらすじ】
無実の主張もむなしく、二人を殺めた冷酷な犯罪者として投獄されたビル・ホルト。そして十六年が過ぎ、仮釈放された彼は推理の鬼となる――自分を罠に嵌めた真犯人を突き止め、殺すために。疑惑を追い、仮説を検討しつくした果てに、明らかになる驚愕の真相! 識者により、2000年代の十年間に翻訳された海外本格ミステリの頂点に選ばれた、犯人当ての大傑作。解説=法月綸太郎
本書が獲得したのはただのミステリランキング1位ではありません。『2011本格ミステリ・ベスト10』(原書房)誌上でおこなわれた、2000年から2009年までの10年間に日本で翻訳されたすべての海外ミステリの中から頂点を決める「"ゼロ年代"海外本格ミステリ・ランキング」企画において、見事1位に輝いた最強の謎解きミステリなのです。
本書のミステリとしての魅力は、たったひと言で説明できます――「犯人当ての大傑作」。読者は無実の罪で16年の月日を刑務所で過ごした主人公ビル・ホルトと同じ視点に立ち、同じ情報を得ながら、二重殺人を犯してホルトにその罪をなすりつけ、いまも裁かれぬままのうのうと暮らす真犯人を探すことになります。
問われるのはきわめてシンプルな問題――「真犯人は誰か?」。その犯人は、登場人物表に掲載されている12人のうち、ホルト自身と被害者2人を除いた9人の中にいるのです。自信のあるかたは、ぜひ犯人当てにチャレンジしてみてください。ちなみに担当編集者は初読の際、ものの見事にはずしています(当時は一読者として接し、最終章の直前に置かれた文章を読んで、文字どおりのけぞりました……)。本当によくできた本格ミステリであることを、今回編集していて改めて痛感しました。
東京創元社創立70周年記念企画《ベスト1ミステリ・セレクション》第2弾、ジル・マゴーン/中村有希訳『騙し絵の檻【新装版】』(創元推理文庫)は3月18日発売です。
そして
『飛蝗の農場』『騙し絵の檻』に続く第3弾は……ミネット・ウォルターズ/成川裕子訳
『女彫刻家【新装版】』(創元推理文庫)! こちらを5月に刊行いたします。お楽しみに。
■書誌情報
書名:『騙し絵の檻【新装版】』(だましえのおり しんそうばん)
原題:The Stalking Horse
著者:ジル・マゴーン
訳者:中村有希(なかむら・ゆき)
判型:創元推理文庫
定価:1,144円 (本体価格:1,040円)
ページ数:314ページ
写真:Paulo Rui Martins/Getty Images
装幀:岡本洋平(岡本デザイン室)
刊行:2024年3月18日
■著者紹介
ジル・マゴーン(Jill McGown)
イギリスの作家。1947年スコットランド生まれ。83年にデイヴィッド・ロイド警部とジュディ・ヒル部長刑事が活躍するシリーズの第一作『パーフェクト・マッチ』を刊行、作家デビューする。その後は同シリーズを中心にミステリを執筆した。日本では特にノンシリーズ長編『騙し絵の檻』の評価が高い。そのほか翻訳された作品に『牧師館の死』『踊り子の死』、エリザベス・チャップリン名義の『幸運の逆転』がある。2007年没。
ジェレミー・ドロンフィールド
東京創元社
2024-01-29
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