2012~13年、星海社FICTIONSから刊行され反響を呼んだ、紅玉いづきさんの『サエズリ図書館のワルツさん』シリーズ。近未来の図書館を舞台に、本への愛を描いた傑作2巻を、この度創元推理文庫で文庫化し、2か月連続刊行することになりました!
まず、5月31日刊行の第1巻の内容を紹介しましょう。
世界情勢の変化と電子書籍の普及により、紙の本が貴重な文化財となった近未来。そんな時代に、本を利用者に無料で貸し出す私立図書館があった。“特別保護司書官”のワルツさんが代表を務める、さえずり町のサエズリ図書館。今日もまた、本に特別な想いを抱く人々がサエズリ図書館を訪れる――。書籍初収録短編を含む、本と人の奇跡を描いた伝説のシリーズ第1弾、待望の文庫化。
第1巻では、本と無縁の生活を送っていた会社員、娘との距離を感じる図書館常連の小学校教師、本を愛した祖父との思い出に縛られる青年など、様々な人々がサエズリ図書館を訪れます。本への複雑な感情を持つ彼らが出会うのが、「本は死にません。だって、みんな、本を愛していらっしゃるでしょう?」と本への愛を高らかに謳い、本を守る司書官のワルツさん。彼らがワルツさんと交流し、本を手にした時に訪れる奇跡とは? それぞれの、胸に染みる美しい結末を、ぜひ見届けてほしいと思います。
また、本書には書籍初収録となる、番外編「ナイト・ライブラリ・ナイト 真夜中の図書館のこどもたち」を収録しています。本作は『毎日新聞』(大阪版)朝刊(2014年1月1日、3~31日)に連載された、「ナイト・ライブラリナイト さえずり町の夜」を改題・加筆修正したものです。図書館を初めて訪れた子供たちの冒険を描いた、愛らしく温かな短編です。
更に、単行本版「著者あとがき」に加え、文庫版「著者あとがき」も書き下ろししていただきました。文庫化に際しての想いを、紅玉さんに存分に語っていただいております。
6月刊行の第2巻と共に、本への愛を綴った奇跡の物語をどうぞお楽しみください!