◎INTERVIEW 期待の新人 真紀涼介『勿忘草をさがして』
植物にまつわるささやかな“事件”を二人の青年が解き明かしていくことで徐々に大人に近づいていく様を描いた連作ミステリ『勿忘草(わすれなぐさ)をさがして』。
第32回鮎川哲也賞優秀賞受賞の本作でデビューされた真紀涼介(まき・りょうすけ)さんにお話を伺いました。
――最初に、簡単な自己紹介をお願いいたします。
真紀涼介と申します。1990年生まれ、宮城県出身です。読書とゲームとサッカー観戦が好きです。よろしくお願いします。
――小説の執筆歴、投稿歴を教えてください。
初めて小説を書いたのは、大学生のころのことです。一作目は全然ダメだったのですが、二作目に書いた小説が、某賞の最終選考一歩手前まで残りました。その結果を受け、生来の楽天家である私は、「これは、賞をいただける日も近いのでは」と考えました。ただ、現実は甘くありませんね。毎年様々な賞に応募しては落とされて、結局、ジャンプ小説新人賞2018で初めて賞をいただけるまで五年以上の月日が経ってしまいました。
――真紀さんはジャンプ小説新人賞2018の小説テーマ部門(同年のテーマは「ミステリ」)に投じられた『彼女は謎をつくりたがる』で銀賞を受賞されています。ずっとミステリを書かれてきたのでしょうか?
ミステリと青春小説が好きなので、その二つのジャンルをよく書いていました。他のジャンルも何度か書いたことはあるのですが、書いていて楽しいのは、やはりこの二つですね。どのジャンルでもそうだと思いますが、特にミステリは書けば書くほど成長が実感できるジャンルだと思っているので、やりがいがあります。
――その後、『勿忘草を探して』(投稿作「想いを花に託して」から改題)で第32回鮎川哲也賞優秀賞を受賞されました。まず鮎川哲也賞にご応募いただいたきっかけを教えてください。
実は、最初から鮎川哲也賞に応募しようと思って書き始めたわけではありませんでした。物語を半分ほど書き終えたあたりで、この小説をどこに投稿しようかと考え始め、鮎川哲也賞に決めた次第です。以前にも応募したことがありましたし、何より歴代の受賞者に好きな作家さんたちがいて、受賞作を何冊も読んだことがあったので、馴染(なじ)み深かったことが主な理由です。また、所謂(いわゆる)『日常の謎』と呼ばれるジャンルを受け入れてくれる賞というイメージが自分の中にあったことも大きかったです。
――『勿忘草を探して』は部活を辞めて鬱屈(うっくつ)した日々を送っていた高校生・森川航大(もりかわ・こうだい)が出会った謎を、祖母の家の庭に生える植物を守る大学生・園原拓海(そのはら・たくみ)と共に解き明かす連作ミステリです。まず、植物を共通の題材にしてミステリを書こうと思われたきっかけを教えてください。
父と祖母がガーデニングを趣味としていて、昔から自分もよくその手伝いをしていました。そうして庭仕事を手伝っているときに二人から教えてもらった植物の知識が面白く、ミステリとして書いたら楽しそうだなと思ったことが始まりです。植物や園芸に関する本が自宅にたくさんあったので、資料集めが楽そうだったからという理由もあります。実際にガーデニングをしている人からすぐに話を聞けるという環境は、執筆する上で非常に助けになりました。父と祖母には、本当に感謝しています。
――それぞれの作品はどのように書き進めていきましたか?
本作は全五話の連作ミステリとなっているのですが、一話目と最終話は、書きたいシーンと物語を決めてから謎を考えました。二~四話はその逆で、まず謎を考え、そこに物語を肉付けしていきました。四話目以外は、作中で使う植物のネタを初めから決めていたので、それらのネタをどのように絡めて、どんな謎にしようかという試行錯誤にかなりの時間を掛けました。それと、今回の投稿で初めてしっかりとプロットを書いてから執筆を始めたのですが、非常にやりやすかったので、これからも続けていこうと思います。
――謎が解かれると、二人が胸に秘めていることも少しずつ明らかになっていきます。こうした構成にした意図などございましたら教えてください。
構成に関しては、意図的なものではなく、自然とそうなったというのが正直なところです。ただ、主要人物の二人、特に航大の内面の変化については、あやふやにせず、丁寧(ていねい)にしっかりと描写すべきだということは、常に意識しながら書き進めました。また、登場人物たちの抱える悩みが読者に共感してもらえるものかどうかという点にも、かなり気を遣いました。
――四話目に収録されている「ツタと密室」は、単行本化にあたって書き下ろしていただきました。苦労した箇所などございましたらお聞かせください。
苦労した箇所は、ズバリ『謎』の部分です。編集部の方々と打ち合わせをさせていただき、ミステリ要素の強いお話を一編書くことになったのですが、これが全くと言っていいほど思い付きませんでした。三週間くらい、朝から晩まで悩み続けていた気がします。植物という題材の都合上、季節によって登場させられる植物が限られるという点も辛いところでした。しかし、ひとつアイデアが思い浮かぶと、自分でもビックリするくらいあっさりと話を組み立てることができました。プロットの段階で、かなり細かいところまで書くことができたと記憶しています。最終的に満足のいく作品を書き上げることができ、心の底からホッとしました。タイトル通り、ツタが関わる密室ミステリですので、楽しんでいただけたら幸いです。
――そのほか読者に注目してほしいという箇所がありましたらぜひ教えてください。
あまり先入観を持たずに読んでいただきたいのでノーコメントで、と書くことによって、読む前からハードルが上がらないようにさせてください。
――お好きな作家と作品を理由も含めて教えてください。
伊坂幸太郎(いさか・こうたろう)さんの小説は、どれも大好きです。個性的な登場人物と軽妙な文章が魅力的で、毎回ページを捲(めく)る手が止まらなくなります。私の地元である宮城県を舞台とした話が多いのも嬉しいところです。『アヒルと鴨のコインロッカー』、『マリアビートル』、『チルドレン』、『死神の精度』、『首折り男のための協奏曲』、『ガソリン生活』、『フーガはユーガ』あたりが特にお気に入りです。
知念実希人(ちねん・みきと)さんの『優しい死神の飼い方』とその続編の『黒猫の小夜曲(セレナーデ)』は、読後感が本当に素晴らしかったです。シリアスな場面とコミカルな場面の切り替えが見事で、登場人物たちの会話も面白く、主人公のレオとクロが愛らしいです。また、天久鷹央(あめく・たかお)シリーズも、よくこんな話を思い付くなあ、と毎回感心させられながら読んでいます。中でも『甦る殺人者』と『久遠の檻』はとても衝撃的でした。
相沢沙呼(あいざわ・さこ)さんの『午前零時のサンドリヨン』とマツリカシリーズは、どちらも登場人物の繊細な心理描写がとても巧みで、読んでいて色んなことに気付かされます。特にマツリカシリーズ三作目の『マツリカ・マトリョシカ』は、青春ミステリの傑作だと思います。
初野晴(はつの・せい)さんの『水の時計』と『向こう側の遊園』は、読み進めるうちに優しく物語の世界に惹きこまれていく感覚が心地良いです。そして、日常の謎を扱った青春ミステリであるハルチカシリーズは、まさに私の好みのど真ん中です。真っ直ぐな性格の千夏(ちか)に対し、春太(はるた)はちょっと捻(ひね)くれているのですが、そんな二人のバランスが絶妙で、キャラクター造形の大切さを痛感させられます。
半田畔(はんだ・ほとり)さんの『群青ロードショー』は、四人の女子高生のかけがえのない時間が瑞々(みずみず)しく描かれている青春小説です。これぞ青春と言わんばかりのストーリーで、読んでいて元気を貰(もら)えます。この本を読んで以来、自分の中の「青春小説を書きたい」という意欲がさらに大きくなりました。
それと、小説ではないのですが、ゲームのゼノブレイドシリーズも自分にとって特別な作品です。ゲームとして面白いのはもちろんですが、ストーリーも秀逸なので、遊ぶたびに心を揺さぶられ、創作意欲が刺激されます。
まだまだ紹介したい作品はあるのですが、既にだいぶ長くなってしまっているので、このくらいにしておきます。
――ご自身で目指す理想のミステリの形はありますか?
正直に言うと、考えたこともありません。元々、物事を理屈っぽく考えることが好きではないので、単純に「面白ければいいのではないか」と思っています。……ミステリ作家とは思えないような発言ですね。でも、こんなふうにシンプルに考えることが好きなのです。読者の皆様に楽しんでもらいたいという気持ちは大前提として、自分にとっての『面白い』を突き詰めていくことが、私にとっての理想です。
第32回鮎川哲也賞優秀賞受賞の本作でデビューされた真紀涼介(まき・りょうすけ)さんにお話を伺いました。
――最初に、簡単な自己紹介をお願いいたします。
真紀涼介と申します。1990年生まれ、宮城県出身です。読書とゲームとサッカー観戦が好きです。よろしくお願いします。
――小説の執筆歴、投稿歴を教えてください。
初めて小説を書いたのは、大学生のころのことです。一作目は全然ダメだったのですが、二作目に書いた小説が、某賞の最終選考一歩手前まで残りました。その結果を受け、生来の楽天家である私は、「これは、賞をいただける日も近いのでは」と考えました。ただ、現実は甘くありませんね。毎年様々な賞に応募しては落とされて、結局、ジャンプ小説新人賞2018で初めて賞をいただけるまで五年以上の月日が経ってしまいました。
――真紀さんはジャンプ小説新人賞2018の小説テーマ部門(同年のテーマは「ミステリ」)に投じられた『彼女は謎をつくりたがる』で銀賞を受賞されています。ずっとミステリを書かれてきたのでしょうか?
ミステリと青春小説が好きなので、その二つのジャンルをよく書いていました。他のジャンルも何度か書いたことはあるのですが、書いていて楽しいのは、やはりこの二つですね。どのジャンルでもそうだと思いますが、特にミステリは書けば書くほど成長が実感できるジャンルだと思っているので、やりがいがあります。
――その後、『勿忘草を探して』(投稿作「想いを花に託して」から改題)で第32回鮎川哲也賞優秀賞を受賞されました。まず鮎川哲也賞にご応募いただいたきっかけを教えてください。
実は、最初から鮎川哲也賞に応募しようと思って書き始めたわけではありませんでした。物語を半分ほど書き終えたあたりで、この小説をどこに投稿しようかと考え始め、鮎川哲也賞に決めた次第です。以前にも応募したことがありましたし、何より歴代の受賞者に好きな作家さんたちがいて、受賞作を何冊も読んだことがあったので、馴染(なじ)み深かったことが主な理由です。また、所謂(いわゆる)『日常の謎』と呼ばれるジャンルを受け入れてくれる賞というイメージが自分の中にあったことも大きかったです。
――『勿忘草を探して』は部活を辞めて鬱屈(うっくつ)した日々を送っていた高校生・森川航大(もりかわ・こうだい)が出会った謎を、祖母の家の庭に生える植物を守る大学生・園原拓海(そのはら・たくみ)と共に解き明かす連作ミステリです。まず、植物を共通の題材にしてミステリを書こうと思われたきっかけを教えてください。
父と祖母がガーデニングを趣味としていて、昔から自分もよくその手伝いをしていました。そうして庭仕事を手伝っているときに二人から教えてもらった植物の知識が面白く、ミステリとして書いたら楽しそうだなと思ったことが始まりです。植物や園芸に関する本が自宅にたくさんあったので、資料集めが楽そうだったからという理由もあります。実際にガーデニングをしている人からすぐに話を聞けるという環境は、執筆する上で非常に助けになりました。父と祖母には、本当に感謝しています。
――それぞれの作品はどのように書き進めていきましたか?
本作は全五話の連作ミステリとなっているのですが、一話目と最終話は、書きたいシーンと物語を決めてから謎を考えました。二~四話はその逆で、まず謎を考え、そこに物語を肉付けしていきました。四話目以外は、作中で使う植物のネタを初めから決めていたので、それらのネタをどのように絡めて、どんな謎にしようかという試行錯誤にかなりの時間を掛けました。それと、今回の投稿で初めてしっかりとプロットを書いてから執筆を始めたのですが、非常にやりやすかったので、これからも続けていこうと思います。
――謎が解かれると、二人が胸に秘めていることも少しずつ明らかになっていきます。こうした構成にした意図などございましたら教えてください。
構成に関しては、意図的なものではなく、自然とそうなったというのが正直なところです。ただ、主要人物の二人、特に航大の内面の変化については、あやふやにせず、丁寧(ていねい)にしっかりと描写すべきだということは、常に意識しながら書き進めました。また、登場人物たちの抱える悩みが読者に共感してもらえるものかどうかという点にも、かなり気を遣いました。
――四話目に収録されている「ツタと密室」は、単行本化にあたって書き下ろしていただきました。苦労した箇所などございましたらお聞かせください。
苦労した箇所は、ズバリ『謎』の部分です。編集部の方々と打ち合わせをさせていただき、ミステリ要素の強いお話を一編書くことになったのですが、これが全くと言っていいほど思い付きませんでした。三週間くらい、朝から晩まで悩み続けていた気がします。植物という題材の都合上、季節によって登場させられる植物が限られるという点も辛いところでした。しかし、ひとつアイデアが思い浮かぶと、自分でもビックリするくらいあっさりと話を組み立てることができました。プロットの段階で、かなり細かいところまで書くことができたと記憶しています。最終的に満足のいく作品を書き上げることができ、心の底からホッとしました。タイトル通り、ツタが関わる密室ミステリですので、楽しんでいただけたら幸いです。
――そのほか読者に注目してほしいという箇所がありましたらぜひ教えてください。
あまり先入観を持たずに読んでいただきたいのでノーコメントで、と書くことによって、読む前からハードルが上がらないようにさせてください。
――お好きな作家と作品を理由も含めて教えてください。
伊坂幸太郎(いさか・こうたろう)さんの小説は、どれも大好きです。個性的な登場人物と軽妙な文章が魅力的で、毎回ページを捲(めく)る手が止まらなくなります。私の地元である宮城県を舞台とした話が多いのも嬉しいところです。『アヒルと鴨のコインロッカー』、『マリアビートル』、『チルドレン』、『死神の精度』、『首折り男のための協奏曲』、『ガソリン生活』、『フーガはユーガ』あたりが特にお気に入りです。
知念実希人(ちねん・みきと)さんの『優しい死神の飼い方』とその続編の『黒猫の小夜曲(セレナーデ)』は、読後感が本当に素晴らしかったです。シリアスな場面とコミカルな場面の切り替えが見事で、登場人物たちの会話も面白く、主人公のレオとクロが愛らしいです。また、天久鷹央(あめく・たかお)シリーズも、よくこんな話を思い付くなあ、と毎回感心させられながら読んでいます。中でも『甦る殺人者』と『久遠の檻』はとても衝撃的でした。
相沢沙呼(あいざわ・さこ)さんの『午前零時のサンドリヨン』とマツリカシリーズは、どちらも登場人物の繊細な心理描写がとても巧みで、読んでいて色んなことに気付かされます。特にマツリカシリーズ三作目の『マツリカ・マトリョシカ』は、青春ミステリの傑作だと思います。
初野晴(はつの・せい)さんの『水の時計』と『向こう側の遊園』は、読み進めるうちに優しく物語の世界に惹きこまれていく感覚が心地良いです。そして、日常の謎を扱った青春ミステリであるハルチカシリーズは、まさに私の好みのど真ん中です。真っ直ぐな性格の千夏(ちか)に対し、春太(はるた)はちょっと捻(ひね)くれているのですが、そんな二人のバランスが絶妙で、キャラクター造形の大切さを痛感させられます。
半田畔(はんだ・ほとり)さんの『群青ロードショー』は、四人の女子高生のかけがえのない時間が瑞々(みずみず)しく描かれている青春小説です。これぞ青春と言わんばかりのストーリーで、読んでいて元気を貰(もら)えます。この本を読んで以来、自分の中の「青春小説を書きたい」という意欲がさらに大きくなりました。
それと、小説ではないのですが、ゲームのゼノブレイドシリーズも自分にとって特別な作品です。ゲームとして面白いのはもちろんですが、ストーリーも秀逸なので、遊ぶたびに心を揺さぶられ、創作意欲が刺激されます。
まだまだ紹介したい作品はあるのですが、既にだいぶ長くなってしまっているので、このくらいにしておきます。
――ご自身で目指す理想のミステリの形はありますか?
正直に言うと、考えたこともありません。元々、物事を理屈っぽく考えることが好きではないので、単純に「面白ければいいのではないか」と思っています。……ミステリ作家とは思えないような発言ですね。でも、こんなふうにシンプルに考えることが好きなのです。読者の皆様に楽しんでもらいたいという気持ちは大前提として、自分にとっての『面白い』を突き詰めていくことが、私にとっての理想です。
――本誌の読者に向けて一言お願いいたします。
『丁度日常の謎を扱った青春ミステリが読みたい気分だった』という方がいらっしゃいましたら、私の小説を手に取っていただけると幸いです。
『丁度日常の謎を扱った青春ミステリが読みたい気分だった』という方がいらっしゃいましたら、私の小説を手に取っていただけると幸いです。
――今後書きたい題材や抱負があればお聞かせください。
書きたい題材はいくつかあるのですが、まだどれも漠然としているので、まずはそれらをしっかりとプロットとして組み立てていきたいです。それと、鮎川哲也賞の贈呈式のときに選考委員の先生方とお話をさせていただいて気付いたのですが、投稿作品でそれなりの数のミステリを書いているのに、自分はまだ殺人事件を扱ったことがありませんでした。無意識に、日常の謎ばかり書いていたのです。なので、名探偵が出てきて殺人事件を解決するといった、ミステリらしいミステリにもいつか挑戦したいです。もしかしたら『迷』探偵になってしまうかもしれませんが、それはそれで楽しくなりそうな気もします。
書きたい題材はいくつかあるのですが、まだどれも漠然としているので、まずはそれらをしっかりとプロットとして組み立てていきたいです。それと、鮎川哲也賞の贈呈式のときに選考委員の先生方とお話をさせていただいて気付いたのですが、投稿作品でそれなりの数のミステリを書いているのに、自分はまだ殺人事件を扱ったことがありませんでした。無意識に、日常の謎ばかり書いていたのです。なので、名探偵が出てきて殺人事件を解決するといった、ミステリらしいミステリにもいつか挑戦したいです。もしかしたら『迷』探偵になってしまうかもしれませんが、それはそれで楽しくなりそうな気もします。
真紀涼介(まき・りょうすけ)
1990年宮城県生まれ。東北学院大学卒。『勿忘草をさがして』(応募時タイトル「想いを花に託して」)で第32回鮎川哲也賞優秀賞を受賞しデビュー。 【本インタビューは2023年4月発売の『紙魚の手帖』vol.10の記事を転載したものです】